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技術情報

RNAi基本情報 (手法)

記事ID : 11404

siRNA 効果の誘導


RNAi 効果を誘導するsiRNA形態の決定

研究対象となる細胞や遺伝子の特徴ならびに研究目的に応じ、合成siRNAを用いるかsh/siRNA発現ベクターを用いるのかを決定します。哺乳類を対象としたRNAi実験を始める場合には、培養細胞を用いて下記の2点を確認することが一般的です。

(1) 使用するsiRNAがRNAi効果を誘導できるか/ターゲット配列が有効な配列であるかどうか
(2) 対象とする遺伝子が容易にノックダウンできる遺伝子であるか

RNAi 効果を誘導するsiRNA形態の決定 トランスフェクションが難しい細胞を使用する予定 si/shRNAライブラリー 合成siRNA RNAi遺伝子スクリーニング実験をしたい

 

◆ 合成siRNAを使用

一過性の反応となります。弊社では種々のsiRNAオリゴをご用意しておりますので下記のページをご参照ください。

◆ プラスミドベクターもしくはウイルスベクターを使用する

基本的に一過性の反応となりますが、stable株も樹立可能です。ウイルス粒子を利用する場合はゲノムに integrate されますので、Stable株が構築できます。主に下記の3点を考慮します。

(1)プロモーター: pol II または pol III 系
(2)ベクター骨格: プラスミドベクターまたはウイルスベクター
(3)RNA 発現方法: siRNA発現系またはshRNA発現系

※とくに、初代培養細胞や非分裂細胞など、トランスフェクションの困難な細胞を利用する場合にはレンチウイルスベクターの利用をご検討ください。

siRNA 配列デザイン

RNAiメカニズムをよく理解したうえで、ノックダウン効率が高くかつ配列特異的オフターゲット効果を回避できるようなsiRNA配列をデザインする必要があります。無料で使用できるデザインツールもいくつかあります。弊社では、目的に合わせて種々のデザイン済製品をご用意しております。

◆ 合成siRNAを使用する場合

◆ si/shRNA発現ベクターを使用する場合

siRNAとしてよい配列であっても、ベクター用としてよい配列であるとは限りません。これは細胞内で発現ベクターからsiRNAが産生される過程で様々な因子が関与しているためです。後にベクターを使用して実験をする計画がある場合にははじめからこの点を考慮して、ベクターにも使用できる配列を用いることがよいでしょう。shRNA配列デザインを行うと同時に対応するsiRNAを合成し、in vitro でsiRNAの機能を検証する予備実験を行うことも有効です。

Applied Biological Materials(APB)社のi‐Lenti™ siRNA発現ベクターは、ご希望の遺伝子を標的するsiRNAを組み込み済のコンストラクトを¥15,000からご購入いただけます。1遺伝子につき4コンストラクトご利用いただく場合にはノックダウン保証がつき、既報の実績がある配列を優先的にご提供しています。

合成 siRNA の入手方法

siRNAは、3’ 末端に2塩基のオーバーハングを持つ21〜23塩基の二本鎖RNAです。アニーリング処理された ready-to-use のsiRNAを利用することが一般的です。

◆ アニーリング済み二本鎖のsiRNAを購入する場合:弊社では専用のご注文書をご用意しています。

  • siRNA配列指定: 通常、ターゲット遺伝子配列を指定します。
  • 塩基数の指定: 21〜27塩基が一般的。
  • オーバーハングの指定: RNAオリゴまたはRNA-DNAのキメラオリゴから選択。
  • センス鎖とアンチセンス鎖間でミスマッチがある場合はポジションを明記します。
  • 通常はアニーリングバッファーが含まれています(不要な場合は明記します)。

※2塩基のオーバーハングには、多くの場合チミン(TT)やウラシル(UU)が使用されます。もちろんその他のオーバーハングを使用した場合でもRNAi効果に大きな影響を与えるという報告はありません。しかし、siRNA末端を平滑にする、5’末端のみをオーバーハングにする、オーバーハングの長さを変えるといったことを行うとRNAi効果に影響を与える場合があります。

● Elbashir et al., EMBO J,20:6877-6888

siRNA配列指定の例

ターゲット遺伝子配列 : 5’ - CGGAAGATGAAGAGGAAGA - 3’

センス配列 :
アンチセンス配列 :
5’ - CGGAAGUGAAGAGGAAAGATT - 3’
5’ - UCUUCCUCUUCAUCUUCCGTT - 3’

◆ 一本鎖RNAを購入する場合

一本鎖のRNAを購入し、ご自身でアニーリングすることもできます。

  • RNAオリゴまたはRNA-DNAのキメラオリゴから選択
  • 通常、RNAは糖鎖の 2’ に保護基がついた状態で合成されるために脱保護が必要

※ 2001年ころには、「ターゲット遺伝子のAAからはじまる19塩基に相補する配列」がRNAi効果が高いといった報告がありました (1,2,3)。そのため多くの研究者がAAから始まる19塩基をsiRNAのターゲット配列として使用し、文献上ではAA + 19塩基と記載されています。この文献情報をもとに、「AA + 19塩基 + 2延期のオーバーハング(合計23塩基)」の二本鎖 siRNAを合成すると、文献に紹介された配列とは異なる配列となってしまいますので注意が必要です。

(1)Nature , 411, 494-498, 2001
(2)EMBO J., 20, 6877-6888, 2001
(3)Genes Dev., 15, 188-200, 2001

 

si/shRNA 発現ベクターの構築

si/shRNA配列および使用する発現ベクターが決定したら、次にサブクローニングサイトを決定します。一般に、pol III 系のプロモーターは転写開始がポジショニングや塩基配列(プリン塩基)に依存するといわれ、注意が必要です。

◆ 挿入配列のデザイン

下記のように、末端に制限酵素サイトをもたせた挿入配列をデザインすることが一般的です。

末端に制限酵素サイトをもたせた挿入配列をデザイン

 

◆ DNAオリゴの入手

下記のような2本のオリゴを入手します。

2本のオリゴを入手

 

アニーリングした後、ベクターのプロモーター下流にライゲーションします。サブクローニング後は、sequencing により配列確認を行います。

 

ポジティブ、ネガティブコントロールの選択

RNAi実験を行う際は、ネガティブコントロールsiRNAとポジティブコントロールsiRNAでの実験を並行して行います。ネガティブコントロールは実験に使用するすべての遺伝子配列と一致しないもの*1(すなわちRNAi効果のないもの)、ポジティブコントロールはあるターゲット遺伝子に対して優れたRNAi効果を示すことが実証されているものを使用します。これは、RNAiを誘導しようとする細胞のRNAi効果(RNAi効果の持続性や発現抑制効率)を事前に確認するためや、独立した実験ごとの再現性を確認するために使用します。なお、DNAプラスミドと合成siRNAのトランスフェクション至適条件は異なるので、合成siRNAに最適化する必要があります。
*1:下記の3種類のうちいずれかを使用することが一般的です。

 (1)市販のコントロールsiRNA(ゲノム上に存在しない配列)
 (2)RNAiを誘導する生物のゲノム上に存在しない遺伝子をターゲットするsiRNA
      例 : 哺乳類細胞を利用する場合、ルシフェラーゼ遺伝子やGFP遺伝子を標的するsiRNA
 (3)ターゲット遺伝子特異的なsiRNA配列をもとに、これをスクランブル(G, A, U, Cそれぞれのヌクレオチドの比率を変えずに配列だけをランダムに変更する)して、ゲノム上に存在しない配列にしたsiRNA

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商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては
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