技術情報
セルバイオラボ社 レトロウイルスによる遺伝子デリバリー
使用するキット
● ViraBind™ Retrovirus Concentration and Purification Kit (品番:VPK-130)
【特長】
・迅速:わずか3時間でウイルス精製
・高回収率:回収率は70%以上
・高純度:導入を妨げる成分を排除して濃縮
【構成内容】
・ViraBind™ Retrovirus Reagent A (100X)
・ViraBind™ Retrovirus Reagent B (100X)
・Purification Columns
・Centrifugal Concentrators
・Purification Buffer
プロトコール
I:精製と濃縮
図1 プロトコール
※下記の方法は,100mLのレトロウイルス上清の精製および濃縮用に記載しています。
※100mLより少ないウイルス上清をご使用される場合は,ReagentA,B(ステップ1)と精製バッファー(ステップ5)の量をご調整ください。
1.1mLのViraBind™ レトロウイルス Reagent A(100x)を100mL のウイルス上清に加えて混合します。混合後すぐに1mL のReagentB(100x)を加えて混合します。
2.37℃で60分間インキュベートします。
3.レトロウイルス混合液を15分間10,000xg で遠心します(ペレットがご確認いただけます)。
4.培地を注意深く吸い取り,ペレットを採取します。
5.ペレット化されたレトロウイルス複合体を2mLの精製バッファーで再懸濁します。ペレットを溶かす為にボルテックスします(白濁したように見えます)。
6.遠心チューブに溶かしたレトロウイルス複合体を入れ,10,000 x g で5分間遠心します。ここで,溶けなかった物質を除去します。上清を他のチューブに移します。
7.遠心型濃縮用チューブを組み立てます。(図2)
8.0.5mLの溶かしたレトロウイルス複合体を濃縮用チューブ内のsample reservoir にアプライします。
濃縮用チューブをセットし,卓上型遠心機で10,000 x g,10分間遠心します。
サンプルが濃縮されたら,次の濃縮チューブにレトロウイルスを追加して下さい。フロースルーは捨てます。
9.レトロウイルス液が200μl になるまで濃縮します。
10.清潔なリカバリーチューブを用いてレトロウイルス液を集めます。最終量が200μl になるように精製バッファーで調節します。
図2 遠心型濃縮用チューブ
II:精製カラム
1.精製カラム内(図3)のマトリクスを上下に振って完全に懸濁します(白濁するまで混合します)。
2.精製カラムを50mLのコニカルチューブに入れ,1,000rpm で3分間遠心します。
3.精製カラムの底のチップを取り除き,すぐに空の50mLコニカルチューブに入れます。青色のキャップを緩め,充填材の液を自然落下で落とします。
4.充填材の液が完全に落ちたら,200μlの濃縮したレトロウイルス液をカラムに加えます。充填材にいきわたるようにゆっくりと加えます。
5.濃縮したレトロウイルス液が充填材入れ,滴下が終わったら,コニカルチューブ内のフロースルーを捨てます。
6.ゆっくりと800μlの精製バッファーをカラムの上部に加えます。充填剤にいきわたるようにゆっくりと加えてください。滴下が終わったら,注意深く3mLの精製バッファーを同様に加えてください。
7.カラムの滴下が止まったら,精製カラムを新しい50mLのコニカルチューブに移します。
8.2.0mLの精製バッファーをカラムに加えて,フロースルーを採取します。
図3 精製カラム
III:バッファー置換と濃縮
1.遠心型濃縮用チューブを(図2)の通り組み立てます。
2.0.5mLのリカバーしたレトロウイルスフラクション(上記ステップ8)を遠心型濃縮用チューブ内のsample reservoirにアプライします。濃縮用チューブを卓上型遠心機に入れ,10,000 x g で5分間遠心します。フラクションサンプルが濃縮されたら,濃縮用チューブに追加のレトロウイルスをいれ,遠心します。フロースルーは廃棄します。
3.レトロウイルスフラクションを100μlになるまでsample reservoir 内で濃縮します。
4.400μl のPBS またはご希望のバッファーを濃縮用チューブに加え,100μl になるまで遠心します。
5.ご希望の量まで濃縮します。
6.新しいリカバリーチューブを用いて,濃縮されたサンプルを集めます。