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睡眠不足は1つの代謝性疾患である

Sleep loss is a metabolic disorder

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SCIENCE SIGNALING
8 Apr 2025 Vol 18, Issue 881
DOI: 10.1126/scisignal.adp9358

Sierra P. Feeney, Jordan M. McCarthy†, ‡, Cecilia R. Petruconis†, §, Jennifer C. Tudor*

  1. Department of Biology, College of Arts and Sciences, Saint Joseph’s University, Philadelphia, PA 19131, USA.
  2. † These authors contributed equally to this work.
  3. ‡ Present address: Neuroscience Graduate Program, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
  4. § Present address: Department of Physiology, Perelman School of Medicine, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
  5. * Corresponding author. Email: jen.tudor@sju.edu

要約

睡眠不足は、細胞代謝とエネルギー恒常性の調節不全を引き起こす。ニューロンなどの高度な代謝活性を有している細胞は、睡眠不足の期間には異化状態に移行し、その結果として生理機能が障害される。中枢神経系に特有なこととして、睡眠不足によってシナプス形成と長期記憶の障害が生じるが、このような影響は神経変性疾患の特性でもある。このレビューでわれわれは、ニューロンなど高活性の細胞において、睡眠不足がどのように安静時のエネルギー消費を増加させ、負のエネルギーバランス(エネルギー消費を支持するには代謝資源が不十分な状態)の発生を導くかを記述する。このようなエネルギー恒常性の阻害が、アデノシン、乳酸、過酸化脂質を含む代謝物のバランスを変化させ、その結果として、シナプス形成などのエネルギーを多く消費するプロセスが減弱する。睡眠不足が生じている間、代謝の活発な細胞はエネルギー資源の供給を、記憶形成などの短期的には不可欠でないプロセスから、細胞生存の支持へと向かわせる。究極的には、これらの知見は、睡眠不足を1つの代謝性疾患として特徴づけるものである。

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