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バイオの世界を探検してみよう

2013年度 第10回 公開講座応援団

東京工業大学 生命理工学部 公開講座レポート「バイオの世界を探検してみよう」

2013年7月25日(木)〜26日(金)の2日間、東京工業大学生命理工学部にて高校生を対象とした夏休み特別講習会「バイオの世界を探検してみよう」が開催されました。今年のテーマ「卵の中をのぞいてみよう!」「バクテリアの遺伝子を操作してみよう」の2つで、44名の高校生が受講しました。受講生の皆さんは生命現象の不思議について実体験することができたのでしょうか?その様子をレポートにまとめました。

 

講座内容

プログラム 1

「卵の中をのぞいてみよう!」

田中 幹子 先生、鈴木 崇之 先生
卵の中を覗いてみよう

本実習では、ニワトリ胚が卵の中で育っていく様子を観察し、器官や組織がどのようにできていくかについて学びます。実は、脊髄動物の胚が形成されるプロセスは、ヒトでもニワトリでも、脳や心臓などが形成される工程はほとんど共通しているんだって・・・、たとえば、ヒトもニワトリも、とても早い段階の胚の脳の中身はスカスカの袋が複数つながった構造だったり、心臓は筒状の構造だったりします。
どのような過程を経てこれらの器官や組織が形づくられていくんだろう?
本実習で、その様子を注意深く観察してみよう!

実験1. ニワトリ胚を見てみよう

今回、観察するのは発生段階の異なる下記3種のニワトリ胚。

  • ● Stage12(孵卵後2日)の胚
  • ● Stage18(孵卵後3日)の胚
  • ● Stage25(孵卵後4.5-5日)の胚

 

Stage12では心臓の元となる部分や体節が見えました。また、頭部側が前脳、中脳、後脳にわかれ、さらに前脳からは眼胞がふくれでているのがわかりました。
Stage18では心臓がループ状となり、体節の数は増えています。さらに前脳は終脳、間脳へと分化し、眼胞はさらに発生がすすみ、眼杯を形成。また、鰓弓(顔面部分)、耳胞、肢芽のふくらみも確認できました。
Stage25になると、眼が黒くなり、心臓は心房と心室にわかれてきます。また肢芽は手首のあたりがくびれはじめます。これは細胞のアポトーシスが始まっており、発生が進むとさらに指間の細胞もアポトーシスをおこします。

実験2. 染めたニワトリ胚を見てみよう

実験1で観察したStage25のニワトリ胚を用いて
胚の細胞の核や細胞骨格を蛍光色素を使って見てみよう!!

実験操作

実験1で観察したStage25のニワトリ胚を3-4つに切り分け、チューブに移します。ピペットマンを使い4%PFA(パラホルムアルデヒド)をニワトリ胚チューブに入れ、シェーカーで振とうさせます。PFAは組織標本の固定液であり、ここで、胚を染色用に固定させます。少し時間を置いたのち、PFAを取り除き、PBT溶液で数回洗浄します。ここで蛍光色素である蛍光標識ファロイジンとPIを加えます。(蛍光色素を加えたあとは、光による退色を防ぐため、チューブにアルミホイルをまいての操作となります。)さらにRBT溶液による洗浄を数回繰り返し、ニワトリ胚をプラスチックシャーレに移します。上手く染色できているかな?蛍光実体顕微鏡で観察してみよう!!

慣れないピペットマンの操作に悪戦苦闘

みんな慣れないピペットマンの操作に悪戦苦闘しましたが、ファロイジンやPIで蛍光染色された胚が光っている様子が見えると、大歓声が上がりました!!これまで見たことのない世界に触れることができ、とても貴重な経験となりました。

プログラム 2

「バクテリアの遺伝子を操作してみよう」

小倉 俊一郎 先生
バクテリアの遺伝子を操作してみよう

遺伝子を組み換えた作物がみなさんの食卓に並ぶようになってきました。また、遺伝子を組み換えたバクテリアを使って有用なものを作る技術が進んできています。例えば「病気に強くて美味しいトマト」を遺伝子組み換え技術により作る場合「病気に弱いけど美味しいトマト」に“病気に強い遺伝子”を入れることで作られます。
本実習では、私たちの生活を支えるようになってきた遺伝子組換え技術について学んでいきます。受講生のみんなが基礎研究の面白さを実感し、さらに深く生命科学に興味を持つことを期待して・・・、さぁ、実験のスタートです!!

実験1. 大腸菌の遺伝子操作を行おう

大腸菌を0.1MCaCl2 処理をすることにより、プラスミド DNA を取り込みやすい細胞(コンピテント細胞)に調整します。これをプラスミド3種(野生型・変異型・なし)が入ったエッペンチューブに加えます。熱処理をしたあと、液体培地を加え、37℃で30分間培養します。
予め作っておいた寒天培地にIPTGとX-galを加え、これに大腸菌をまき、インキュベーターで一晩ねかせます。

実験2. 遺伝子操作を行った大腸菌の性質を調べよう

プラスミドDNA は大腸菌内に導入されているかな??
確認してみよう!!

昨日培養しておいたプレートをのぞくと、青のコロニーと白のコロニーが確認できました。苦労して育てた大腸菌に遺伝子が導入されたことを実際に目で確認できたことで、受講生からは驚きの歓声が上がりました。

実験では、少量の液体を量り取るのにピペットマンという実験器具を使いました。1回ごとにピペットマンの先端にチップをつけ、液体を吸引します。各試料が混ざり合わないようにするため、チップは試料ごとに使い捨てです。慣れない操作方法にはじめは戸惑いましたが、練習の時間があったので、ピペットマンの使い方をよく理解してから、実際の実験に進むことができました。また今回のような培養実験を行う際は無菌操作が基本となります。常に清潔に保たれているクリーンベンチ内に手だけを入れて操作するのもはじめての体験でした。終始なれない操作の連続でしたが、先生の他にTA(ティーチングアシスタント)がついて丁寧に教えてくれたので、とても分かりやすかったです。

さらに、先生の行っている研究「がんの予防・診断・治療の最前線」について1時間ほど講義を受けました。日本人は2人に1人ががんになることを聞いてとてもビックリしたけれど、この研究の重要性がわかり、先生の話を夢中で聞いていました。生命科学の分野にさらなる興味が沸いてきました!!

 

研究の現場を見てみよう!

実験の待ち時間には研究室の見学もしました。普段ここでどのような研究が行われているのか、みんな興味深々です。「高そうな機器がたくさんあるけど、一体何に使うんだろう?」「きっとこれが最先端の技術なんだろうなぁ・・・」
この貴重な機会に、気になることをたくさん質問しました。研究者の生の声を聞くことができて、本当によかったです。

 

参加者の感想

  • ・  普段、学校に通っているだけでは経験できないような実験ができてとても楽しかった。また来年も機会があれば参加したいです。
  • ・  先生方の講義は、今まで聞いたことがないほど詳しく、知らなかったことがまだまだたくさんあることを知りました。
  • ・  実験を1日中やる、という経験が本当に楽しかったです。
  • ・  実験内容が充実していて、器具の使い方も親切に教えてもらいました。いろいろなことに触れることができてとてもよかったです。
  • ・  TA(ティーチングアシスタント)の方が親切に指導してくれました。
  • ・  実際に先生やTAの方ともお話ができて、この分野に関するさらに詳しいことが聞けて嬉しかった。

 

主催者報告

今年も沢山の高校生の参加を得て、無事高校生のための夏休み特別講習会を終了いたしました。とくにセミナーを担当された田中先生、小倉先生とご協力いただいた鈴木先生、TAの大学院学生さん、そして生命理工学研究科の事務部の皆さんには準備や片付けも含め当日の実習指導、案内や連絡等のため膨大な時間を費やしていただき誠にありがとうございました。お陰様で、参加した高校生の皆さんからのアンケートを拝見すると、指導された先生方の説明も丁寧で分かりやすく、実習を楽しくやることができ、貴重な経験をすることができましたと多くの感想が書かれており、大変満足してもらえたことがよく分かりました。理科離れの問題がある今日この頃ですが、参加した高校生の多くが、これを契機に理系に興味をもち、将来バイオの世界に参画したいという希望をもってくれるように期待するばかりです。

最後になりましたが、本特別講習会を開催するにあたり、ご支援いただきましたコスモ・バイオ株式会社に深謝いたします。

生命理工学部長
関根光雄

おわりに

2日間、2つのテーマで実習を行い、さまざまな機器や器具に触れながら学ぶことができたのは、受講生にとって大変貴重な経験だったと思います。本講座の受講生が未来の科学者となり、更なる科学技術の発展につながることを期待します。


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