本抗体は抗ピューロマイシン・モノクローナル抗体であり、ピューロマイシン処理された細胞、組織スライドや動物(in vivo)における包括的なタンパク質生合成(mRNA翻訳)の割合を、放射性物質を使用することなく測定することができます。
背景
ピューロマイシンは細菌のStreptomyces alboniger由来のアミノヌクレオシド系抗生物質です。ピューロマイシン分子の一部分にアミノアシルtRNAの3’末端と類似した部分があるため、リポソーム内でのRNA翻訳を中断させる(タンパク質が未完成のままとなる)機能があり、タンパク質翻訳の解析に有用です。
昔ながらのパルスチェイス法や大量投与(flooding dose)法は、放射性メチオニンラベルや放射性システインラベルを測定することでタンパク質生合成をモニターする方法です。ピューロマイシンの免疫検出による解析は放射性アミノ酸ラベルを使用する上記手法とは異なり、一般的な免疫化学の手法でタンパク質生合成の評価や定量を直接的に行うことができるなど、多くの利点があります。
特長
- タンパク質生合成の評価や定量が簡単にできる。
- 放射性アミノ酸ラベルに依存する伝統的なパルスチェイス法の代替手法。
- Western blot(参照先プロトコール
)やELISA(参照先プロトコール
)などに適用可能。
注意点
ピューロマイシンはタンパク質生合成を阻害しますが、細胞によってその効果は異なります。そのためタンパク質生合成アッセイに使用する際のピューロマイシン濃度は、ご使用の細胞種によって最適化してください。1µMが一般的ですが、感度が高い細胞の場合はピューロマイシン濃度をより低くすることで良好な結果が得られる場合もあります。
細胞がコンフルエントに近い場合、細胞増殖およびタンパク質生合成は非常にゆるやかに起こるため、細胞増殖期(40-50%コンフルエント)に実験することを推奨します。ご使用の細胞種に最適な濃度で、最低20-30分間ピューロマイシン処理を行ってください(詳細は後述のプロトコールならびに製品使用文献をご参照ください)。
抗体の詳細
- 製品名:抗ピューロマイシン抗体
- クローナリティ:モノクローナル
- 特異性:ピューロマイシンを認識
- 抗原:puromycin hydrochloride
- ホスト動物:マウス
- アイソタイプ:IgG1 Kappa
- 精製方法:Protein G 精製
- バッファー組成:PBS
- 形状:液体
- 濃度:1 mg/mL
- 適用:Western blot(1:1,000)、ELISA(1:10,000)、免疫蛍光染色(顕微鏡での観察)
使用例
1. 細胞培養
- ヒト線維芽細胞(TIG-1細胞)を12ウェルプレートに播種
※80%コンフルエントまで培養 - Puromycinを添加(終濃度0 μMと5 μM)
- 37℃ 80分間培養
- PBSでウェル内を洗浄
- 1ウェルあたりBuffer 1 mL加えて超音波破砕で細胞抽出
※Buffer:20 mM Tris-HCl(pH8.0)+Protease Inhibitor - 冷却遠心(4℃、12,000g、20分間)
- 上清回収(Western blotとELISAは、同じ上清を使用)
2. Western blot
- 1レーンあたりタンパク量15 μgをアプライ
- 1次抗体(anti puromycin) 1,000倍希釈(1 μg/mL)
- 2次抗体(anti mouse Ig-HRP、DAKO社 Cat.No. P0161)2,000倍希釈
- 検出:Lumitera(CSR 品番:LUM-100)による化学発光

ピューロマイシン抗体(3RH11)
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
---|---|---|---|---|
Anti Puromycin, (Mouse) Unlabeled, 3RH11![]() |
CAC | PEN-MA001 | 100 UG |
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製品使用文献
- Kelleher AR, Gordon BS, Kimball SR, Jefferson LS. Changes in REDD1, REDD2, and atrogene mRNA expression are prevented in skeletal muscle fixed in a stretched position during hindlimb immobilization. Physiol Rep. 2014 Feb 25;2(2):e00246. doi: 10.1002/phy2.246. eCollection 2014 Feb 1.
- Kelleher AR, Kimball, SR, Dennis MD, Schilder RJ and Jefferson LS. The mTORC1 signaling repressors REDD1/2 are rapidly induced and activation of p70S6K1 by leucine is defective in skeletal muscle of an immobilized rat hindlimb. Am J Physiol Endocrinol Metab. 304(2):E229-236. 2013.
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
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