オートファジーは、細胞小器官や細胞内病原体などの細胞質成分が二重膜結合オートファゴソームに隔離され、分解のためにリソソームに運ばれる経路です。
これにより、細胞から不要な成分を除去し、細胞質物質をリサイクルすることで、飢餓やその他のストレスの多い状況においても、細胞が高分子の合成とエネルギーの恒常性を維持することができます。
オートファジー経路は、ファゴフォア(分離膜)の形成から始まり、ULK1 または ULK2(UNC-51-like kinase 1 or 2)と Atg(autophagy-related genes)タンパク質を含むタンパク質複合体によって開始されます。次に、ULK1/2 は、Beclin 1 によって形成されるPI3K(class III phosphatidylinositol 3-kinase)複合体の成分をリン酸化します。ファゴフォアは伸長し、オートファゴソームと呼ばれる閉じた構造内にその細胞質物質を分離します。オートファゴソームとリソソームが融合してオートファゴリソソーム(またはオートリソソーム)が形成されると、その内容物の分解が可能になります。
InvivoGen社では、このオートファジー経路に関連する調節因子や遺伝子発現プラスミドを多数取り揃えております。
また、この一連の分解の流れは「オートファジーフラックス」と呼ばれ、オートファジーの分解活性を評価する上で重要な指標です。この研究に用いられる重要なタンパク質の 1 つとして、LC3B (microtubule-associated protein 1 light chain 3) が挙げられます。
本タンパク質は細胞質から取り出され、成熟して隔離膜に結合します。よって、この局在はオートファジー膜のマーカーとして、またその発達過程を監視するためのマーカーとして有用です。
Invivogen社のオートファジーレポーター細胞は、2 つの蛍光レポータータンパク質 (RFP (酸安定性) および GFP (酸感受性)) に融合した LC3B を発現するため、蛍光シグナルによりオートファジーのプロセスを簡便にモニタリングすることが可能です。
図2:蛍光標識された LC3B タンパク質の作用機序
RFP::GFP::LC3 でマークされたオートファゴソームは、RFP と GFP の両方のシグナルを示します。リソソームとの融合後、酸性条件により GFP シグナルは大幅に減少しますが、RFP シグナルは比較的安定したままです。