ポリマー医薬は (Polymer Therapeutics : PT) は、2014年米国薬剤売上トップ10によると、最も成功した第一世代のナノ医薬品であり、多発性硬化症に対する高分子薬物グラチラマー・アセテート(Copaxone®、Teva Pharm; 37億ドル)や好中球減少症に対するペグフィルグラスチム(Neulasta®、Amgen; 36億ドル)などがあります。
ポリエチレングリコール (PEG) は未だ最もよく使われているポリマーで、ステルスポリマーのゴールドスタンダードです。医薬品研究や市場において、PEGやPEG化試薬の使用が増えたことで、PEGの有益性だけではなく、潜在的に好ましくない影響も分かってきました (以下)。
- ポリマー自体による身体への有害な副作用や合成中に形成される副産物による過敏症の誘発
- PEG ベース担体による予想外の薬物動態変化
- PEG の非生分解性
- 高分子の PEG は、多分散性 (分子量のばらつき) があり、薬化合物やそれに関連する不純物の特性を困難なものにする

PEG や PAS、PSR は直線状ポリマーであり、末端部分でのみ結合反応が可能です。そのため、これらのキャリアタイプでは高分子量である抗体や薬剤タンパク質と結合することができます。PAS や PSR は PEG の欠点である非生物分解性を克服しており、優れた生分解性と分析性が特長として挙げられますが、その適用がバイオ医薬品の組換え生産時に限定されます。
PSR は PEG と同様に、多分散性ですが、ペプトイドであるためプロテアーゼ分解を受けます。高分子量・高投与も可能です。Iris (IRS) 社では、官能基が異なる多様な PSR をご用意しています。
ポリアミノ酸のモノマーは反応性側鎖を持ち、低分子をその側鎖や末端へ結合させることができるため、複数の化合物や治療薬を付加することが可能です。
第1世代デンドリマーは物質を 3 種類まで運ぶことができるペントリマーです。より高い世代では、治療や診断などの高度な用途のために多重複合体化が可能です。