Grp78 測定ELISAキットは、細胞ライセートまたは血清中のGRP78を定量するための、競合ELISAキットです。ミスフォールドタンパク質、癌、神経変性疾患の研究に有用です。
背景
Grp78について
Grp78(Glucose-regulated protein)とは、BiP(binding immunoglobulin protein)としても知られ、小胞体に常在する分子シャペロンで、タンパク質のフォールディング及び集合、新しく合成されたペプチドの小胞体膜を通した輸送、カルシウム恒常性の調節、ミスフォールドされたタンパク質を分解するためのターゲッティングなどに関係しています。
また、GRP78は、PERK、IRE1、ATF6などの膜貫通型タンパク質の小胞体内腔のN-末端ドメインに結合し、これらのシグナルトンラスデューサーが変性タンパク質応答(unfolded protein response(UPR);小胞体機能を正常に戻すために細胞内環境を変化させる適応応答)を惹起するのを防ぎます。
タンパク質のミスフォールドが起きた場合、タンパク質表面に露出した疎水性残基にGRP78が結合し、タンパク質の凝集、輸送、分泌を防ぎます。グルコース欠乏やウイルス感染などの細胞内ストレスが起こると、未フォールドタンパク質が急速に蓄積されます。この蓄積により、疎水領域に結合するGRP78がより多く必要になり、膜貫通シグナリングタンパク質からGRP78が解離し、その結果UPRが誘導されます。 GRP78が解離すると、PERKは一般的な翻訳を減少させ、更なるタンパク質合成を阻害します。ATF6とIRE1は、小胞体のフォールディング、GRP78を含むシャペロンタンパク質、小胞体関連分解(ERAD)を介したミスフォールドタンパク質の分解を促進するタンパク質をアップレギュレートします。URPの活性化によるGRP78の過剰発現は、代謝性疾患(炎症性疾患、神経変性疾患、癌)の病理に関係していると考えられています。
特長
- 迅速:2.5時間で、最大40サンプル(反復2回)の結果が得られます。
- 高感度:8.4ng/mLのGrp78/BiPタンパク質が確実に測定できます。
- 定量:ウェスタンブロット(半定量)より優れた完全定量結果が得られます。
- 簡単:サンドイッチアッセイフォーマットに比べてステップ数の少ない簡単プロトコールです。
構成内容
- 96ウェルマイクロプレート(ロバ抗ヒツジポリクローナル抗体でコート済み)
- アッセイバッファー
- GRP78(HRP標識)
- GRP78抗体
- GRP78スタンダード
- 抽出試薬
- 洗浄バッファー(20×)
- TMB基質
- 停止液
使用例
図1 試験結果の例 | |||
サンプル | Average Net OD | GRP78 (ng/mL) | |
---|---|---|---|
ブランク | 0.042 | - | |
B0 | 1.16 | 0 | |
S1 | 0.05 | 4500 | |
S2 | 0.17 | 900 | |
S3 | 0.42 | 180 | |
S4 | 0.8 | 36 | |
S5 | 1.06 | 7.2 | |
S6 | 1.12 | 1.44 | |
計算式 Average Net OD = Average OD - Average NSB OD Percent Bound(B/B0) = Net OD/Net B0 OD × 100 |
図2 シクロスポリンAによるGRP78の誘導
Hela細胞を各濃度のシクロスポリンAで5時間処理した。未処理の細胞と共に抽出試薬で溶解し、本キットで分析した。結果は文献(Paslaru, L. et al. (1994))と一致した。本キットでGRP78レベルの変化が検出・定量できることがわかった。
図3 ウェスタンブロット解析との比較
C6細胞ライセートを段階希釈し、ELISA及びウェスタンブロットで試験し、その結果を比較した。
Grp78 測定ELISAキット
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
---|---|---|---|---|
Grp78/BiP ELISA kit | ENZ | ADI-900-214-0001 | 96 WELL |
¥152,000 |
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
※ 表示価格について
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