アポトーシス小体(100-5,000 nm)や微小粒子(100-1,000 nm)などの他の細胞外小胞と部分的に重複するエクソソームのサイズ(30〜150 nm)により、その単離は非常に困難です。現在用いられている手法は、超遠心分離法、サイズ排除クロマトグラフィー、フィルトレーション、ポリマーベースの沈降法です。用いるサンプルにより単離効率は様々で、他の粒子のコンタミネーション、回収率、単離に要する時間などにより使用できる手法が制限されます。エクソソーム表面マーカー特異的磁気ビーズによる単離法の開発は、精製過程を改良しましたが、磁気ビーズへの不可逆的な結合によりエクソソームの完全性を損ないます。Fab-TACS® エクソソーム単離技術は、サンプルに依存せず、高純度、未標識のエクソソームを迅速に単離可能です。
Fab-TACS®(Fab-based traceless affinity cell selection)は、Fabベースで細胞にダメージを与えず、かつ、磁力を用いないアフィニティクロマトグラフィーを用いたエクソソーム単離技術です。Twin-Strep tag付きの細胞表面(CD)抗原特異的なFab断片を用いており、エクソソームの捕獲・解放を行います。この技術により、無傷な生物学的機能を有するエクソソームを標準化された方法で再現性高く単離できます。エクソソームは、細胞培養上清、血清、血しょうなど様々なサンプルから単離できます。
図1. Fab-TACS®の概略図