第18番染色体のq21.33部位のBCL2遺伝子と、第3番染色体のq27.3部位のBCL6遺伝子の再編成を同時に区別して検出するキットです。
背景
ダブルヒットB細胞リンパ腫(DHL)とは
BCL2はミトコンドリア膜タンパク質で、アポトーシスを制御する役割を持ち、B細胞で発現しています。BCL6は転写抑制を担い、リンパ球の成長と機能を制御する役割を持ちます。多くの非ホジキンリンパ腫でBCL2とBCL6の再編成がみられ、さらにMYC再編成と同時に起こるケースもあります。このMYCと、BCL2またはBCL6との再編成が同時に起こるものは、ダブルヒットB細胞リンパ腫(DHL)と呼ばれており、予後が難しいことが知られています。まれに、MYC、BCL2、BCL6が同時に再編成を起こしているトリプルヒットB細胞リンパ腫(THL)も存在します。
造血リンパ組織のがんに関するWHO組織分類(2017年第4版改定版)では、DHLとTHLは、MYCと、BCL2と/またはBCL6の再編成が見られる高度B細胞リンパ腫に分類されています。蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)法により、BCL2/BCL6の再編成を検出することで、DHLとTHLの解析ができます。
特長
第18番染色体のq21.33-q22.1部位と、第3番染色体のq27.3-q28部位にハイブリダイズする直接標識された5種類のプローブがミックスされています。
緑色蛍光色素で直接標識したプローブは、BCL2とBCL6の切断点近傍にハイブリダイズし、オレンジ蛍光色素で直接標識したプローブは、BCL2とBCL6の切断点から遠い末端にハイブリダイズします。
青色蛍光色素で直接標識したプローブは、BCL6の切断点近傍と切断点から遠い末端にハイブリダイズします。
プローブの概要
使用例
BCL2とBCL6の再編成が起きていない間期の細胞核では、BCL2に特異的な緑色とオレンジ色の融合シグナルと、BCL6に特異的な緑色とオレンジ色と青色の融合シグナルが、それぞれ2つずつ検出されます。
BCL2の再編成が起きている場合、1つの緑色と1つのオレンジ色のシグナルが離れた状態で検出されます。これらのシグナルは青色シグナルと同じ位置には検出されません。
BCL6の再編成が起きている場合、1つの緑色と1つのオレンジ色のシグナルが離れた状態で検出されます。これらのシグナルは青色シグナルと同じ位置に検出されます。
図2. リンパ腫組織でのプローブの使用例
(左)リンパ腫組織での使用例: 2つの緑色とオレンジ色と青色の融合シグナルと、1つの緑色とオレンジ色の融合シグナルが検出された。そして、緑色とオレンジ色のシグナルが1つずつ離れた状態で検出され、同じ位置に青色シグナルが検出されなかったことから、BCL2の再編成が起きていることを示している。
(右)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)組織での使用例: 緑色とオレンジ色と青色の融合シグナルと、緑色とオレンジ色の融合シグナルが、それぞれ1つずつ検出された。そして、緑色とオレンジ色のシグナルが1つずつ離れた状態で検出され、同じ位置に青色シグナルが検出されたことから、BCL6の再編成が起きていることを示している。さらに、緑色とオレンジ色のシグナルが離れた状態で検出されたことは、BCL2の再編成が起きていることを示している。つまり、BCL2とBCL6の再編成が同時に起きていることが分かる。
Swerdlow SH, (ed.) (2017) WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues (Revised 4th Edition).
FlexISH ® BCL2/BCL6 DistinguISH™ Probe
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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FlexISH(R) BCL2/BCL6 DistinguISHTM Probe, ZyOrange/ZyGreen/ZyBlue![]() |
ZYV | Z-2283-50 | 5 TEST [50 UL] |
¥128,000 |
FlexISH(R) BCL2/BCL6 DistinguISHTM Probe, ZyOrange/ZyGreen/ZyBlue![]() |
ZYV | Z-2283-200 | 20 TEST [200 UL] |
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商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
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