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記事ID : 35796
研究用

Human CD4+CD25+FOXP3+ iTreg / nTreg

CD4+CD25+FOXP3+ induced / natural Treg(制御性T細胞)

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ヒト制御性T細胞(Treg 細胞)とは、T細胞、B細胞、NK細胞、およびマクロファージの活性を抑制するCD4+リンパ球細胞です。この細胞はリンパ系組織や非リンパ系組織において免疫反応を抑制する機能をもち、炎症反応における自己免疫や過剰な活性化を防ぐ寛容性の樹立と維持に役立ちます。数々の研究より自己免疫疾患の発生におけるTreg細胞の役割が示されており、これらの疾患の治療を目指して様々な研究が行われています。

近年の研究では、Tregは浸潤することができ腫瘍環境へと発達することが示されました。卵巣、腎臓、および結腸がんは、がんの中でもTregの増大と関連することが示されています。このような知見より、残されたリンパ球が活性化され腫瘍細胞を標的できるよう、Tregを特異的に標的して腫瘍環境から排除する治療法の研究も行われています。

Treg細胞には様々な亜型があり、胸腺で成長するTregは、内在性Treg(nTregs)とよばれ、末梢や腫瘍で成長するTregは誘導性Treg(iTregs)とよばれます。nTregsとiTregsは、同様のマーカーを用いて同定されたものの、健康や疾患において異なった役割を担うと考えられています。nTregsは、自己免疫や免疫系応答性亢進を防ぐために末梢性免疫寛容を維持すると考えられています。これに対し、iTregsは抑制性腫瘍環境において通常のT細胞より発生すると考えられています。既に抑制性のサイトカイン環境である場合、さらにiTregsが存在すると、腫瘍環境はリンパ球による腫瘍攻撃をより強力に阻止するようになります。さらに、iTregsはnTregsに比べてより高い抑制能力をもつことから、より頑強なリンパ球機能制御因子となります。nTregとiTregはいずれも表面タンパク質であるCD4とCD25や転写因子FOXP3を発現します。この両方の型のTregを同定する基準として、IL-7受容体であるCD127の発現が低いことも挙げられます。Tregは複数の機構を介してリンパ球機能を抑制し、IL-10やTGF-bといった免疫抑制因子を分泌することで、リンパ球の活性化の抑制や下方制御します。さらに、IL-2がリンパ球に結合して炎症反応を促進するのを阻止するために、Treg上において高発現したIL-2受容体が局所的に濃縮されたIL-2と結合し、“IL-2シンク”としても作用している可能性があります。Tregは細胞間接着を介して作用するためにCTLA-4やPD-L1といったチェックポイントタンパク質を発現する可能性も示唆されています。また、iTregsは複数の機構を利用してリンパ球機能を抑制している可能性がいくつかのデータにより示されており、nTregsに比べてより強力であることが示唆されています。

特長

  • 末梢CD4細胞より樹立された誘導性/適応性ヒト CD4+CD25+FOXP3+ 制御性T細胞
  • 共培養抑制アッセイや細胞毒性アッセイをはじめとする様々なin vitroアプリケーションに利用可能
  • 解凍時の高い生存率(>90%)を保証できるよう慎重に凍結保存済み
  • 試験成績書添付

アプリケーション概要

iTregおよびnTregは、特に共培養抑制アッセイなど、in vitro環境下でのTreg機能研究に有用です。共培養抑制アッセイでは、Tregをリンパ球と共培養した後、リンパ球の増殖やサイトカイン放出を分析します。Treg存在下では、リンパ球機能は下方制御されることが予想されます。

現在、がんや自己免疫疾患の研究では免疫系調節分子の開発が行われる傾向にあり、ターゲットがTreg機能の阻害や促進を確認するためにも、これらの共培養アッセイは一般的に利用されています。さらに、Tregは組織からの単離が困難ですが、共培養アッセイには大量の細胞が必要となることから、これらの研究を実施する上で誘導性Treg凍結細胞は有用なツールとなるでしょう。

現在開発されている抗体ベースのがん研究の中には、抗体依存性の細胞毒性やや補体依存性の細胞毒性に対してTregがターゲットになることも示されており、これらの細胞死を追求する研究においても本細胞は有用です。また、iTregやnTregが発生段階を経由してどのようにして発生し進行するのかといった数々の疑問は未だ答えが見つかっていません。本細胞は遺伝学的かつ転写プロファイリングを介してこういった発生研究を行う際にも有用かもしれません。これらの細胞からは容易にDNAやRNAを抽出でき、ダウンストリームのアプリケーションや分析にもご利用いただけます。

純度と機能(iTreg)

細胞を少量分注し、Treg細胞への分化をフローサイトメトリ分析により確認しています。CD4とCD25発現により定義されるiTreg細胞の特徴は >94% でした(図1)。IQB社のiTreg細胞は、FOXP3、CD127の低発現、および機能的に抑制性であることを検証済みです。


図1:通常のCD4細胞より変換後のCD4とCD25発現。通常のCD4(左)細胞をIQB社独自の手法によりiTregs(右)へと変換した。誘導後、少量の細胞を分注してCD4とCD25の発現をフローサイトメトリ分析により評価した(右)。

■製品仕様
包装
1 million cells / vial
細胞タイプ
単核
フォーマット
凍結
ヒト
組織タイプ
正常末梢血
生存率
>90%

CD4+CD25+FOXP3+誘導性Treg(制御性T細胞)

末梢CD4細胞より樹立された誘導性/適応性ヒト CD4+CD25+FOXP3+ 制御性T細胞
PBMCより単離したnaïve CD4細胞に対して滅菌条件下でIQB社独自のプロセスを行い、iTregを樹立しました。Tregが誘導されていることを保証するため、CD4、CD25、FOXP3、およびCD127の発現を確認しています(図1)。

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Human CD4+CD25+FOXP3+ Induced T Regulatory Cells IQB IQB-HU1-TR2-1 1 VIAL
[1 M cells/vial]
IQB社
IQBHU1ITR1
1 を参照

CD4+CD25+FOXP3+ natural Treg(制御性T細胞)

PBMCsより単離した内在性のヒト CD4+CD25+FOXP3+ 制御性T細胞
nTregsは、ヒトドナーのPBMCsに由来し、ネガティブセレクションキットと磁気を用いた単離を行い濃縮されています。nTregsが単離できたことを保証するため、単離細胞におけるCD4、CD25、FOXP3、およびCD127の発現を確認しています。

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Human CD4+CD25+FOXP3+ Natural T Regulatory Cells, Human詳細データ IQB IQB-HU1-NTR-1 1 VIAL
[1x10^6 cells]
¥186,000

商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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