粒子数はロットごとに異なります。商品に添付のCoAをご参照ください。
【参考資料】
図8. NanoSightによる大腸菌由来EVsの粒度分布測定例
グラム陰性細菌のEVとLPS研究に
Pantoea agglomerans IG1株EV
Pantoea agglomerans(パントエア・アグロメランス)IG1株※4は、植物(小麦、イネ、サツマイモ、リンゴ、ナシ、サトウキビなど)に広く共生するグラム陰性菌で、窒素固定や無機リン酸塩の溶解によって植物の成長を促進することが報告されています1)。また、欧米の健康食品であるライ麦パンの発酵過程で本菌が葉酸の産生に重要な役割を担っていること2)、リンゴやナシの黒カビ病を防ぐバイオ生剤として活用されていること3)など食品分野にもパントエア・アグロメランス生菌が使用されています。これらのことから、食経験の豊富な菌であり、また腸内細菌の一つとしても知られています。
本製品は、Pantoea agglomerans IG1株の培養上清から限外濾過法によりEVs画分を精製した製品です。
※4:自然免疫応用技研株式会社が特許を取得した(特許第5511112号及び特許第5517215号)LPS産生細菌です。
図9. Pantoea agglomerans IG1 株の脂質二重膜構造とEV 産生機構
LPS(Lipopolysaccharide)
グラム陰性細菌の細胞壁の外膜上に存在し、リピドA(Lipid A)と呼ばれる脂質とコア多糖とO抗原多糖が結合した構造を持つ両親媒性の物質です(図9参照)。
LPSは、主に自然免疫系細胞や上皮細胞に発現しているTLR4/MD2複合体にリピドA(Lipid A)部分が結合し、MyD88介して、細胞内の核にシグナルが伝達されて、細胞が活性化されます。
Extracellular vesicles (EVs)由来のLPSと遊離したLPSの違い
EVsは細胞が放出するエクソソーム(細胞外小胞)類の統一名称で、EVsは細胞外の情報伝達に使用されています。細菌も生存活動においてEVsを放出して、宿主や細菌間での情報伝達に使用されています。グラム陰性菌のEVsの特徴としては、図9のように外膜にLPSが含まれています。しかし、主に生理活性を担うリピドA(Lipid A)部分は外膜の内側を向いており、EVsに含まれた状態では、TLR4と反応しにくい可能性があります。そのことから、精製LPSや菌体から遊離したLPSとは免疫細胞に対する働きが異なる可能性があります。そこで、EVsは腸内、口腔内などの共生細菌の生育環境における宿主への働きを解明する一つのツールになると考えられています。