下水サーベイランスに使用可能 Pegcision^® キット

下水サーベイランスは、地域の感染症動向を把握するための重要な手法です。
2019年12月に発生したCOVID-19は、感染状況を迅速に把握する必要性を世界的に浮き彫りにしました。しかし、個別の臨床検査では無症状者や検査回避者の影響で、地域全体の感染状況を正確に捉えることが難しいという課題がありました。その一方で、下水中には感染者由来のウイルス遺伝子が含まれており、これを分析することで地域全体の感染動向を非侵襲的に把握できるという利点があります。この手法はさらに、インフルエンザウイルスや薬剤耐性菌など、他の病原体の監視にも応用されています。

Pegcision^®キットは、下水中のウイルスを迅速かつ高収率で濃縮することができ、遠心分離の操作が不要なことから検体の大量処理を可能にします。濃縮物は各種検査（PCR、ELISA等）に使用でき、長期間冷凍保存（-80℃）することが可能です。

Pegcision^® Kitは、下水中のウイルスの濃縮を1時間以内で行える研究用試薬です。本製品はカチオン性磁性ナノ粒子を利用した分離技術（特許第4670583号）を採用しており、従来の方法と比較して大幅な時間短縮と高収率を可能にしました。新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）のモニタリングにも有効で、下水疫学調査や環境調査などに寄与します。

• 高収率：カチオン性磁性ナノ粒子と凝集剤の併用（Pegcision 法）により、他社の磁性粒子の10倍以上。
• 遠心分離不要：水溶液中およびSS（濁り）成分に吸着したウイルスや細菌類をワンステップで分離濃縮。
• 処理時間が1時間以内：タスクフォースマニュアルに記載のPEG沈殿法（9時間以上）に比べ、大幅な時間短縮。
• 環境負荷の低減：生分解性磁性ナノ粒子を使用。

• 下水サーベイランス（地域の感染動向を把握）
• 河川水や湧き水などの環境水検査（病原体の有無を把握）
  動物の糞便、人の廃棄物から流出した病原体をモニタリングし、地域住民へ注意喚起できる。
• 空港検疫（県外・海外から持ち込まれる感染症対策）
  空港の排水をモニタリングすることで持ち込まれた感染症を早期把握し、感染症対策が取りやすい。

図1. Pegcision^®法による下水中のウイルス濃縮・検出手順

取扱説明書はこちらから。

図2. 下水中のSARS-CoV-2の検出
本商品を用いて下水中のウイルスを濃縮し、得られた濃縮液からmRNAを抽出した後、RT-qPCRにより検出を行った。

図3. 下水中のインフルエンザウイルスの検出
本商品を用いて下水中のウイルスを濃縮し、得られた濃縮液からmRNAを抽出した後、RT-qPCRにより検出を行った。

図4. 他社商品との比較
本商品は他社（X社）の磁性粒子に比べ、濃縮効率・陽性率が高いことが示された。

※データは全てJNC株式会社より提供

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