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記事ID : 14498
研究用

レンチ / レトロウイルスの形質導入促進、濃縮に有用なペプチド試薬 Protransduzin® ウイルス導入促進試薬

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Protransduzin® ウイルス導入促進試薬は、接着細胞および浮遊細胞で レトロウイルス / レンチウイルスの形質導入効率(トランスダクション効率)を向上させるペプチド試薬です。また、短時間の遠心分離によって迅速かつ簡便にウイルス粒子を濃縮可能で、他の培地でウイルス粒子を再懸濁する用途にも有用です。

背景

Protransduzin® フィブリル形成ペプチド

レトロウイルスによる遺伝子導入や形質導入(トランスダクション)は、細胞に外来遺伝子を導入するための一般的な技術です。遺伝子導入効率は、使用するウイルス粒子の濃度と標的細胞に接着する能力に依存します。

レトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターの遺伝子導入効率が低い場合、基礎研究・応用研究において大きい障壁になります。Protransduzin® は、ナノフィブリルを形成する 12-mer のペプチドで、効率的かつ迅速にウイルス粒子と結合します[1]。ウイルスを搭載したナノフィブリルが細胞膜と相互作用して結合することで、ウイルスが細胞に接着し、結果として融合、ウイルス導入に至ります。Protransduzin®は、レトロウイルスやレンチウイルスなどの遺伝子導入や遺伝子治療で現在使用されるウイルスベクターだけだはなく、HIV や SIV などの複製コンピテントなレンチウイルス、MLVなどのレトロウイルスの導入効率も向上させます。注目すべきは、このウイルス導入/ウイルス感染の促進効果は、ウイルスの糖タンパク質非依存的であり、通常使用されるすべての偽型ウィルスでも作用します。Protransduzin® ナノフィブリル試薬は、T細胞、マクロファージ、造血幹細胞を含むすべての感受性の細胞で遺伝子導入を向上させ、一般的な他のウイルス導入試薬よりも効果的です(図1)[12]。また、マウスでの研究では、ワンステップのProtransduzin® プロトコール適用後の骨髄細胞において、コーティング操作が必要で時間を要する他社品と比較して同等の導入効率が実証されています[1]。さらに、Protransduzin®/ウイルス の複合体は、短時間の低速遠心分離によってウイルス粒子の濃縮が可能なため、時間のかかる超遠心操作は不要です。

以上のように、Protransduzin® は、フレキシブルで効果的、かつ便利で手頃な新しいツールであり、基礎研究や臨床研究におけるレトロウイルスおよびレトロウイルスベースのベクターの使用を容易にします。

特長

  • Protransduzin® は、より高効率なレトロウイルスおよびレンチウイルス遺伝子導入に有用
    ‐ 試験した全ての細胞種で形質導入効率を高め、特にマクロファージおよび幹細胞での使用に有用
    - 使用されるレトロウイルスベクター系または糖タンパク質に非依存的
    - 簡便な操作 コーティング操作不要
    - 他の一般的に使用される形質導入促進試薬と比較して、優れたトランスダクション効率
  • Protransduzin® は、ウイルス粒子の濃縮、その後の任意の培地での再懸濁にも対応
    - 一般的な卓上遠心分離機を用いた低速遠心分離によってナノフィブリル/ウイルス 複合体を容易に沈降

ウイルス導入促進の原理

Protransduzin® は、ナノフィブリル形成ペプチドで、レトロウイルス および レンチウイルスによる遺伝子導入を促進するための汎用性の高い新しいツールです。

Protransduzin®は、周囲の媒体からビリオンを捕捉し、Protransduzin®/ウイルス 複合体を形成しますProtransduzin®/ウイルス 複合体は、細胞表面に接着するウイルス粒子数を増加させます。この現象は、負に帯電したウイルスと細胞膜の間で、強い正電荷を持つフィブリルと細胞表面が相互作用することで、反発力が中和することが考えられます。最終的に、ウイルスと細胞膜の融合が促進します。

使用データ

Protransduzin®は、効果的に形質導入を促進する。
図1 Protransduzin®は、効果的に形質導入を促進する
Protransduzin® と 他社の非コーティング操作で使用可能な形質導入促進試薬とを比較した。レンチウイルス粒子の感染効率/形質導入効率は、3日後に、細胞ライセート中のβ-ガラクトシダーゼの定量によって算出した(n=3, mean ± SD)。上部の数字は、促進試薬を加えていない形質導入コントロールの相対的な最大促進率を示します。

Protransduzin®(PTD) プロトコール

A) レトロウイルス、レンチウイルスの形質導入効率の促進

  1. Protransduzin®(PTD)ペプチド(品番A 2115AG.1 / 2 mg)を 200μl のDMSOで溶解し、10 mg/ml の PTD ストック溶液を調製します。
  2. PTD ストック溶液をPBSまたは培地(FCS非添加)で10倍希釈し、1 mg/mlのPTD ワーキング溶液を調製します。2秒間ボルテックスします。
  3. PTD ワーキング溶液を10–50 µg/ml になるように、ウイルスストックに加え、懸濁します。
  4. 室温で5分間インキュベート
  5. PTD/ウイルス複合体を細胞に接種します。
  6. 細胞をスタンダードな条件で培養します。(培地は、4時間後に交換することもできます。)

注)Note: For more details, see reference 1. Usually it is suffi cient if the PTD/virus solution makes up ~10 to 20 % of the fi nal cell culture volume to reach maximum transduction effi ciencies. Cells may also be exposed to 100 % of the PTD/virus solution if required. If viral stocks contain used-up medium or have a low titer, PTD also permits concentrating virions in the medium of choice (see B)

B) レトロウイルス、レンチウイルスの濃縮

  1. Protransduzin®(PTD)ペプチドを 200μl のDMSOで溶解し、10 mg/ml の PTD ストック溶液を調製します。
  2. PTD ストック溶液をPBSまたは培地(FCS非添加)で10倍希釈し、1 mg/ml のPTD ワーキング溶液を調製します。2秒間ボルテックスします。
  3. PTD ワーキング溶液を 10 µg/ml になるように、ウイルスストックに加えます。
  4. 二回懸濁します。
  5. 室温で5分間インキュベート
  6. PTD /ウイルス溶液を5000-10000gで5分間遠心します。
  7. ピペットで上清を除去し、PTD /ウイルス複合体の ペレットを、培地またはバッファーで最初の1/10容量で再懸濁します。
  8. PTD /ウイルス複合体を細胞に接種します。培地中のPTD 濃度は、50 µg/mlを超えないようにしてください。

Protransduzin® ウイルス導入促進試薬

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Protransduzin詳細データ IMD A2115AG.4 1 MG
¥22,000
Protransduzin詳細データ IMD A2115AG.6 10 MG
¥160,000

製品使用文献

  1. Sieste S et al. (2021). Supramolecular Peptide Nanofibrils with Optimized Sequences and Molecular Structures for Efficient Retroviral Transduction. Advanced Functional Materials 31.
  2. Vimond N et al. (2021). Genetic engineering of human and mouse CD4(+) and CD8(+) Tregs using lentiviral vectors encoding chimeric antigen receptors. Mol Ther Methods Clin Dev 20: 69-85.
  3. Schutz D et al. (2021). Negatively Charged Peptide Nanofibrils from Immunoglobulin Light Chain Sequester Viral Particles but Lack Cell-Binding and Viral Transduction-Enhancing Properties. ACS Omega 6: 7731-7738.
  4. Kaygisiz K et al. (2020). Materials promoting viral gene delivery. Biomater Sci 8: 6113-6156.
  5. Rocker A et al. (2018). Structure, function and antagonism of semen amyloids. Chem Commun (Camb) 54: 7557-7569.
  6. Rode S et al. (2017). Generation and Characterization of Virus-Enhancing Peptide Nanofibrils Functionalized with Fluorescent Labels. Bioconjug Chem28: 1260-1270.
  7. Okada M, Kanamori M, Someya K, Nakatsukasa H, Yoshimura A (2017). Stabilization of Foxp3 expression by CRISPR-dCas9-based epigenome editing in mouse primary T cells. Epigenetics Chromatin 10: 24.
  8. Okada M et al. (2017). Blockage of Core Fucosylation Reduces Cell-Surface Expression of PD-1 and Promotes Anti-tumor Immune Responses of T Cells. Cell Rep 20: 1017-1028.
  9. Cai Y et al. (2016). Targeted, homology-driven gene insertion in stem cells by ZFN-loaded 'all-in-one' lentiviral vectors. Elife 5.
  10. Meier C et al. (2014). Peptide nanofibrils as enhancers of retroviral gene transfer. Wiley Interdiscip Rev Nanomed Nanobiotechnol 6: 438-451.
  11. Yolamanova M, et al. (2013). Peptide nanofibrils boost retroviral gene transfer and provide a rapid means for concentrating viruses. Nat Nanotechnol 8: 130-136.

商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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