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記事ID : 46598
研究用

RLR(RIG-I様受容体)の伝達経路を容易にモニタリング可能 RLR(RIG-I様受容体)レポーター細胞株


InvivoGen社 RLR(RIG-I様受容体)レポーター細胞株のシグナル伝達経路例
図1:RLRレポーター細胞株のシグナル伝達経路例

RLR(RIG-I様受容体:主にRIG-I、MDA5)は、細胞質RNAを感知することでウイルスに対する効果的な免疫応答に不可欠です。

RIG-IまたはMDA5が活性化されると、最終的に IRF3およびIRF7 依存性の I型インターフェロン 産生と、NF-κB 依存性の炎症性サイトカイン産生を引き起こします。

InvivoGen は、RLR(RIG-I様受容体)を介したシグナル伝達経路を容易にモニタリングするための、さまざまな ヒトおよびマウス細胞株 を提供しています。

本レポーター細胞は、NF-κBIRF 等の転写因子により誘導されるレポーター遺伝子を発現しており、活性化に応答して SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ) および/または Lucia(分泌型ルシフェラーゼ) を発現するように設計されています。

両方のレポータータンパク質は培養上清に分泌されるため、検出試薬を用いてシグナル経路の活性化を容易に検出できます。

RLR(RIG-I様受容体)レポーター細胞株 商品選択ガイド商品選択ガイドへ移動 からご確認ください。

RLR(RIG-I様受容体)とは?

RIG-I様受容体(RLR)は、細胞質に存在するRNAヘリカーゼのファミリーであり、宿主の抗ウイルス応答において重要な役割を担っています。

主要因子:RIG-IとMDA-5

RIG-I(レチノイン酸誘導性タンパク質1、別名Ddx58)および MDA-5(メラノーマ分化関連遺伝子5、別名Ifih1またはHelicard)は、RNAウイルスの複製中間体である 二本鎖RNA(dsRNA) を認識し、感染細胞において I型インターフェロン(IFN) の産生を引き起こします[1]。

ウイルス由来のdsRNAは、細胞表面膜またはエンドソーム上に発現する TLR3(Toll様受容体3)によっても認識されます。

RIG-I/MDA-5やTLR3によるdsRNAの認識は、細胞の種類に依存します。

RIG-IおよびMDA-5欠損マウスの研究によると、これらのマウスから単離された、従来の樹状細胞(DC)、マクロファージ、線維芽細胞では、RNAウイルス感染後のIFN誘導が阻害されたのに対し、形質細胞様樹状細胞(pDC)では、依然としてIFNの産生が観察されたことが明らかになっております[2]。

したがって、cDC、マクロファージ、および線維芽細胞ではRLRがウイルス感染の主要なセンサー であるのに対し、pDCではTLRがより重要な役割 を果たしていると考えられます。

RLRレポーター細胞株のシグナル伝達経路図
図2:RLRレポーター細胞株のシグナル伝達経路

RIG-I/MDA-5が認識するRNAの違い

RIG-IおよびMDA-5は、DExD/HボックスRNAヘリカーゼと2つのCARD(Caspase Recruitment Domain)様ドメイン を含みます。ヘリカーゼドメインはdsRNAと相互作用し、CARDドメインはシグナル伝達に必要です。これら2つのセンサーは全体的な構造は類似していますが、認識するRNAの性質が異なることで異なるウイルスに応答します。

RIG-Iが認識するRNAの特徴

  • 短鎖dsRNA
  • 5'-二リン酸/三リン酸(5'-pp/5'-ppp)を有する短い非キャップRNA、または短鎖の平滑末端二本鎖部分*

*これらの構造は、陰性一本鎖RNAウイルス(例:インフルエンザ)が複製過程で生成するRNA中間体に多く見られ、この2つの重要な特徴が自己RNAとの区別を容易にします[4]。

さらに、一部の 陽性一本鎖RNAウイルス(例:HCV)も感知できます。また、B型DNAの合成類似体である poly(dA:dT)はRNAポリメラーゼIIIにより5'-pppを持つdsRNAに転写され、RIG-Iによって検出されます[5]。

MDA5が認識するRNAの特徴

  • 長鎖dsRNA(数kb以上)
  • 高分子量poly(I:C)

この特徴により、ポリオウイルスなどの陽性一本鎖RNAウイルスの認識に重要な役割を果たします。

両者が協調して働くケース

ロタウイルス、コロナウイルスなどのRNA構造が多様なウイルスでは、RIG-IとMDA5が協調的に働きます。また、人工的なdsRNA類似体の poly(I:C) も、RNAの長さによって両方で認識されます[3-4]。

RLRシグナル伝達経路

RIG-IおよびMDA-5は異なるリガンドを認識しますが、共通のシグナル伝達経路を共有しています。dsRNAを認識すると、これらはアダプター分子である MAVS(別名:IPS-1, CARDIF, VISA)によりミトコンドリア外膜にリクルートされます。

この結果、IRF3、IRF7およびNF-κBを含む複数の転写因子が活性化 されます[6]。IRF3およびIRF7は I型インターフェロン(IFN)発現を制御し、NF-κBは炎症性サイトカインの産生を制御 します。IRF3およびIRF7の活性化には、TRAF3, NAP1, TANKおよびTBK1またはIKKεが関与 しています[6-8]。

*TRAF3(TNF receptor-associated factor 3), NAP1(NAK-associated protein 1), TANK(TRAF family member-associated NF-κB activator), TBK1(TANK-binding kinase 1), IKKε(IκB kinase epsilon)

さらに、DEADボックスヘリカーゼである DDX3 は、TBK1/IKKεと相互作用 することが示されています[9]。また、IPS-1は FADD(Fas-associated death domain)およびRIP1(receptor interacting protein 1)と相互作用 し、NF-κB経路の活性化を誘導します[6-9]。

RIG-I/MDA-5シグナル伝達経路の抑制因子

第3のRLRとして、GP2(またはDHX58)が報告されています。LGP2はRNA結合ドメインを持ちますが、CARDドメインを欠いているため、RIG-IおよびMDA-5の負のフィードバック調節因子として機能します。

LGP2は以下のような複数の段階でこの抑制機能を発揮すると考えられています。

  • ① dsRNAを競合的に取り込む
  • ② IPS-1とタンパク質複合体を形成する
  • ③ 抑制ドメインを介してRIG-Iに直接結合する
  • 等[10-12]

その他にも多くの分子が、RIG-I/MDA-5によって誘導されるIFN産生の負の制御に関与していると考えられています。以下の分子は、RIG-I/MDA-5シグナル伝達経路の生理的抑制因子として報告されています。

*DAK(Dihydroxyacetone kinase), A20, RNF125(Ring-finger protein 125), SIKE(Suppressor of IKKε), Pin1(Peptidyl-prolyl isomerase 1)

RLRレポーター細胞株の特長と商品データ例

RLRレポーター細胞株の特長

  • 代表的なPRRリガンドによって機能検証済み
  • 生存率、安定性、マイコプラズマ陰性について徹底的に試験済み
  • SEAPレポーター活性およびLuciaルシフェラーゼで容易に評価可能

商品データ例

HEK-Dual™ RNA-hMDA5細胞のPRRリガンドに対するIRFの用量依存的反応のグラフ
図2:HEK-Dual™ RNA-hMDA5細胞のPRRリガンドに対するIRFの用量依存的反応
HEK-Dual™ RNA-hMDA5細胞に対して、LyoVec™(LV)と複合したPoly(I:C) HMWまたはLMWの濃度を段階的に増加させ、24時間刺激した。IRF反応は、QUANTI-Luc™ 4 Lucia/Gaussiaを用いて上清中のLuciaルシフェラーゼ活性を測定することで評価した。データは、非誘導細胞に対する応答倍率(平均値±SEM)で示されている。

HEK-Dual™  RNA由来細胞の機能検証(IRF応答)のグラフ
図3:HEK-Dual™ RNA由来細胞の機能検証(IRF応答)
HEK-Dual™ RNA-Null細胞およびHEK-Dual™ RNA-hMDA5細胞を、以下のサイトカインおよびPRRアゴニストで24時間刺激した:ヒト(h)IFN-β(IRF陽性コントロール、30 ng/ml)、Poly(I:C) HMWまたはLMW(TLR3リガンド、10 µg/ml)、LyoVec™(LV)と複合したPoly(I:C) HMWまたはLMW、または3p-hpRNA/LV(RLRリガンド、1 µg/ml)。24時間インキュベーション後、QUANTI-Luc™ 4 Lucia/Gaussiaを用いて上清中のLuciaルシフェラーゼ活性を測定することでIRF応答を評価した。データは、非誘導細胞に対する応答倍率(平均±SEM)で示されている。

商品選択ガイド

HEK293(ヒト胎児腎臓由来)

細胞品名(品番) 改変RLR遺伝子 パスウェイ レポーター遺伝子名 コントロールリガンド例(品番)
HEK-Dual™ RNA-Null
(HKD-RNA-NULL)
TLR3、RIG-I,
MDA5(Null)*1
NF-κB, IRF SEAP, Lucia luciferase -
HEK-Dual™ RNA-hRIG-I
(HKD-RNA-RIGI)
*1のRIG-I
(再導入)
NF-κB, IRF SEAP, Lucia luciferase 5’ppp-dsRNA(TLRL-3PRNA)
3p-hpRNA(TLRL-HPRNA)
HEK-Dual™ RNA-hMDA5
(HKD-RNA-MDA5)
*1のMDA5
(再導入)
NF-κB, IRF SEAP, Lucia luciferase Poly(I:C) (HMW) / LyoVec™
(TLRL-PICLV)
Poly(I:C) (LMW) / LyoVec™
(TLRL-PICWLV)
HEK-Lucia™ RIG-I
(HKL-HRIGI)
RIG-I(導入) IRF Lucia luciferase 5’ppp-dsRNA(TLRL-3PRNA)
3p-hpRNA(TLRL-HPRNA)

※RNAセンサー細胞株として、*1のTLR3を再導入した、HEK-Dual™ RNA-hTLR3(HKD-RNA-TLR3)もご用意がございます。

THP-1(ヒト単球由来)

細胞品名(品番) 改変RLR遺伝子 パスウェイ レポーター遺伝子名 コントロールリガンド例(品番)
THP1-Dual™ KO-RIG-I
(THPD-KORIGI)
RIG-I(KO) NF-κB, IRF SEAP, Lucia luciferase 5’ppp-dsRNA(TLRL-3PRNA)
3p-hpRNA(TLRL-HPRNA)
THP1-Dual™ KO-MDA5
(THPD-KOMDA5)
MDA5(KO) NF-κB, IRF SEAP, Lucia luciferase Poly(I:C) (HMW) / LyoVec™
(TLRL-PICLV)
Poly(I:C) (LMW) / LyoVec™
(TLRL-PICWLV)
THP1-Dual™ KO-MAVS
(THPD-KOMAVS)
MAVS(KO) NF-κB, IRF SEAP, Lucia luciferase RIG-IとMDA5の項目を参照

A549(ヒト肺がん由来)

細胞品名(品番) 改変RLR遺伝子 パスウェイ レポーター遺伝子名 コントロールリガンド例(品番)
A549-Dual™ KO-RIG-I
(A549D-KORIGI)
RIG-I(KO) NF-κB, IRF SEAP, Lucia luciferase 5’ppp-dsRNA(TLRL-3PRNA)
3p-hpRNA(TLRL-HPRNA)
A549-Dual™ KO-MDA5
(A549D-KOMDA5)
MDA5(KO) NF-κB, IRF SEAP, Lucia luciferase Poly(I:C) (HMW) / LyoVec™(TLRL-PICLV)
Poly(I:C) (LMW) / LyoVec™
(TLRL-PICWLV)
A549-Dual™ KO-MAVS
(A549D-KOMAVS)
MAVS(KO) NF-κB, IRF SEAP, Lucia luciferase RIG-IとMDA5の項目を参照

RAW 264.7(マウスマクロファージ由来)

細胞品名(品番) 改変RLR遺伝子 パスウェイ レポーター遺伝子名 コントロールリガンド例(品番)
RAW-Lucia™ ISG-KO-RIG-I
(RAWL-KORIGI)
RIG-I(KO) IRF Lucia luciferase 5’ppp-dsRNA(TLRL-3PRNA)
3p-hpRNA(TLRL-HPRNA)
RAW-Lucia™ ISG-KO-MDA5
(RAWL-KOMDA5)
MDA5(KO) IRF Lucia luciferase Poly(I:C) (HMW) / LyoVec™(TLRL-PICLV)
Poly(I:C) (LMW) / LyoVec™(TLRL-PICWLV)
RAW-Lucia™ ISG-KO-MAVS
(RAWL-KOMAVS)
MAVS(KO) IRF Lucia luciferase RIG-IとMDA5の項目を参照

商品ラインアップ

細胞株

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
HEK-DualTM RNA-Null詳細データ ING HKD-RNA-NULL 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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HEK-DualTM RNA-hRIG-I詳細データ ING HKD-RNA-RIGI 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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HEK-DualTM RNA-hMDA5詳細データ ING HKD-RNA-MDA5 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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HEK-LuciaTM RIG-I Cells詳細データ ING HKL-HRIGI 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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THP1-DualTM KO-RIG-I Cells詳細データ ING THPD-KORIGI 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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THP1-DualTM KO-MDA5 Cells詳細データ ING THPD-KOMDA5 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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THP1-DualTM KO-MAVS Cells詳細データ ING THPD-KOMAVS 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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A549-DualTM KO-RIG-I Cells詳細データ ING A549D-KORIGI 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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A549-DualTM KO-MDA5 cells詳細データ ING A549D-KOMDA5 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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A549-DualTM KO-MAVS cells詳細データ ING A549D-KOMAVS 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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RAW-LuciaTM ISG-KO-RIG-I Cells詳細データ ING RAWL-KORIGI 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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RAW-LuciaTM ISG-KO-MDA5 Cells詳細データ ING RAWL-KOMDA5 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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RAW-LuciaTM ISG-KO-MAVS Cells詳細データ ING RAWL-KOMAVS 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
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関連商品

【使用文献】
  1. Yoneyama M. & Fujita T., 2007. Function of RIG-I-like Receptors in Antiviral Innate Immunity. J. Biol. Chem. 282:15315-15318.
  2. Kato H. et al., 2005. Cell type-specific involvement of RIG-I in antiviral response. Immunity. 23(1):19-28.
  3. Chen N. et al., 2017. RNA sensors of the innate immune system and their detection of pathogens. IUBMB Life. 69(5):297-304.
  4. Kato H. et al., 2008. Length-dependent recognition of double-stranded ribonucleic acids by RIG-I and MDA-5. 205(7):1601-10.
  5. Ablasser A. et al., 2009. RIG-I-dependent sensing of poly(dA:dT) through the induction of an RNA polymerase III-transcribed RNA intermediate. Nat Immunol. 10(10):1065-72.
  6. Kawai T. et al., 2005. IPS-1, an adaptor triggering RIG-I- and Mda5-mediated type I interferon induction. Nat Immunol. 6(10):981-988.
  7. Saha SK. et al., 2006. Regulation of antiviral responses by a direct and specific interaction between TRAF3 and Cardif. EMBO J. 25:3257-3263.
  8. Sasai M. et al., 2006. NAK-associated protein 1 participates in both the TLR3 and the cytoplasmic pathways in type I IFN induction. J Immunol. 177:8676-8683.
  9. Schröder M. et al., 2008. Viral targeting of DEAD box protein 3 reveals its role in TBK1/IKKε-mediated IRF activation. EMBO J. 27(15):2147-2157.
  10. Yoneyama M. et al., 2005. Shared and unique functions of the DExD/H-box helicases RIG-I, MDA5, and LGP2 in antiviral innate immunity. J Immunol. 175:2851-2858.
  11. Komuro A. & Horvath CM., 2006. RNA- and virus-independent inhibition of antiviral signaling by RNA helicase LGP2. J Virol. 80(24):12332-12342.
  12. Saito T. et al., 2007. Regulation of innate antiviral defenses through a shared repressor domain in RIG-I and LGP2. PNAS. 104(2):582-587.

商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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