受容体チロシンキナーゼ ROR1 は、様々な種類の悪性腫瘍で過剰発現している胎児性タンパク質です。ROR1 は、アポトーシスを阻害し、EGFR のシグナル伝達を増強し、上皮間葉転換(EMT)を誘導することが示されています(図 1)。
また、ROR1 は胚組織にのみ存在し、成人組織には通常存在しないため、がん治療研究の理想的なターゲットとなるタンパク質として注目されています。現在までに、ROR1に対する低分子薬剤や mAb などの治療戦略が開発され、臨床試験や前臨床試験で評価されています。
図1. がんにおけるROR1の構造とシグナル伝達経路
(参照:Borcherding, et.al, Protein & Cell, 5, pages496-502 (2014), Licenced under CC BY 4.0)