KAICO株式会社は、独自の「カイコ-バキュロウイルス発現系」を基盤とし、従来は発現が難しかった組換えタンパク質をカイコ蛹で高効率かつ安定的に発現・製造する技術を有しています。
この技術を活用したオーダーメイドのタンパク質受託発現サービスでは、目的タンパク質に関する机上リサーチや発現コンストラクトのご提案、発現生産、精製までワンストップでお客様の研究開発をサポートいたします。
特長
- カイコ蛹を用いた組換えタンパク質発現:
KAICO社発現系ではカイコ蛹を天然のバイオリアクターとして活用します。
目的タンパク質の遺伝子が挿入された組換えバキュロウイルスをカイコ体内に注入すると、バキュロウイルスの増殖に従って目的のタンパク質が発現されます。発現した目的のタンパク質をカイコ体内から回収・精製します。
- 高いタンパク質発現成功率:
微生物や培養細胞では困難なタンパク質も、カイコ生体を用いた発現システムにより効率的に生産します。
これまで130件以上の受託発現サービスを承り、全てのプロジェクトでタンパク質の発現を確認しています(グラフ1)。中には難発現である膜タンパク質や天然変性タンパク質も含まれています。
また、ワクチンや診断薬開発で用いられるようなウイルス様粒子(Virus like particle; VLPs)のような構造が複雑でサイズの大きなタンパク質発現も得意としています。(図3)
このほか、自社開発での組換えIgG抗体全長の作製実績もございます。 - 幅広い応用:
GMPグレードの医薬品製造設備を有しており、研究用試薬の他、将来的な診断薬、ワクチン原料、医療用医薬品原料向けなど、多彩なニーズに対応可能です。 - 高い生産性:
体長わずか2~3cmのカイコ蛹ですが、一頭で昆虫培養細胞 100mL~1000mLに匹敵する発現レベルを有します。多品種のタンパク質を省スペースで生産可能であり、使用する蛹の頭数を増やすことでスケールアップも簡易に行うことが可能です。
グラフ1:KAICO社のタンパク質受託発現実績


<タンパク質種類および由来>
Norovirus GI.2: Southampton/1991/UK
Norovirus GI.3: Desert Shield 395/1990/SA
Norovirus GII.3; TCH-104/USA/2002
Norovirus GII.4: Saga1/2006/JP
Norovirus GII.17: Kawasaki308/2015/JP
図3.KAICO社で産生したノロウイルスVLP(Virus like particles、ウイルス様粒子)*のデータ例
*一般用研究用試薬として販売中です。お問い合わせください。
サービス概要:タンパク質受託発現サービス
対象タンパク質に関する机上リサーチ後、お客様へ発現戦略に関する事前コンサルテーションを行います。受注後は中間報告を実施するなど、お客様の研究開発パートナーとして伴走する形で幅広くサポートいたします。

図1.サービスフロー
納期目安
遺伝子受領から5〜6ヶ月(※2025年9月現在)
成果物
カイコ蛹5頭分のタンパク質
注)当サービスの納品物は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」使用規制対象です。ご使用時は規制に則し、適切にお取り扱いください。
2回目以降の納品につきましては、"オーダーメイド試薬の開発"項をご覧ください。
オプション
- 発現コンストラクトの追加
- 精製品以外に未精製品(粗抽出物)での納品
- ネガティブコントロール品の納品
- 電子顕微鏡像撮影
- カイココドンに最適化したDNA合成対応 など
よくある質問
受託サービスにおいて、バキュロウイルス系で発現させたタンパク質はカルタヘナ規制対象でしょうか。
当該サービスの納品物はカルタヘナ該当品です。ご使用時は規制に則し、適切にお取り扱いください。
原則、オーダーメイド試薬はカルタヘナ非該当の研究用試薬としての販売を行っております。
後からオプションを追加したいです。
プロジェクト開始後のオプション追加につきまして、柔軟に対応させていただきます。当社担当者までお気軽にお問い合わせください。
一度、受託サービスで依頼したタンパク質を、再度同サービスの枠組みで依頼できますか。
当受託サービスはカイコ蛹5頭を用いたトライアル発現となるため、対象タンパク質を再度ご必要の際は、原則オーダーメイド試薬としてご注文を賜っております。
サービス金額を教えてください。
プロジェクトの内容により異なります。まずはお気軽にお問い合わせください。
成果物の収量や純度は保証いただけますか。
タンパク質毎に発現量や精製量が異なるため、収量や純度は保証いたしかねます。納品量は原則カイコ蛹5頭分となります。
弊社での発現検討や精製法検討により、収量・純度の向上を目指します。
活性は確認してもらえますか。
当該サービスはトライアル発現の位置付けであるため、発現させたタンパク質の活性はお客様にてご確認いただくようお願いしております。
文献情報
- From waste to feed: In vitro assessment of spent silkworm by-products and manure-raised housefly as soybean meal substitutes in ruminant feed. Sci Rep. 2025;15(1).
- Analysis of B-cell receptor repertoire to evaluate the immunogenicity of SARS-CoV-2 RBD mRNA vaccine: MAFB-7256a (DS-5670d)
- Antiobesity-, and glucose metabolism -, and lipid metabolism-improving effects and active components in the mycelia and fruiting bodies of Cordyceps militaris (Vuill.) Fr. fermented on pupae of silkworms (Bombyx mori). Jxiv. Preprint
- High yield production of norovirus GII.4 virus-like particles using silkworm pupae and evaluation of their protective immunogenicity. Vaccine. 2023;41(3):766-77.
- Active Human and Murine Tumor Necrosis Factor α Cytokines Produced from Silkworm Baculovirus Expression System. Insects. 2021;12(6).
- Stable trimer formation of spike protein from porcine epidemic diarrhea virus improves the efficiency of secretory production in silkworms and induces neutralizing antibodies in mice. Vet Res. 2021;52(1):102.
- Optimization of SARS-CoV-2 Spike Protein Expression in the Silkworm and Induction of Efficient Protective Immunity by Inoculation With Alum Adjuvants. Front Immunol. 2021;12:803647.
- Production of scFv, Fab, and IgG of CR3022 Antibodies Against SARS- CoV-2 Using Silkworm-Baculovirus Expression System. Mol. Biotechnol. Mol Biotechnol. 2021;63(12):1223-34.
- Production of an active Mus musculus IL-3 using updated silkworm-based baculovirus expression vector system. J. Asia-Pacific Entomol. 2021;24(3):544-49
- Efficient production of recombinant SARS-CoV-2 spike protein using the baculovirus-silkworm system. Biochem.Biophys. Res. Commun. 2020;529(2):257-62.
- Expression and activation of horseradish peroxidase-protein A/G fusion protein in silkworm larvae for diagnostic purpose. Biotechnol J. 2018;13(6):e1700624.
- Heme precursor injection is effective for Arthromyces ramosus peroxidase fusion protein production by a silkworm expression system. J Biosci Bioeng. 2015;120(4):384-6.
KAICO社の取り組み
- オーダーメイド試薬の開発
受託発現サービスで発現させたタンパク質をオーダーメイド試薬として販売します。生産前にあらかじめ当社で遺伝子組換え生物等の第二種利用について経済産業大臣確認を行うため、原則はカルタヘナ法非該当の研究用試薬としてご使用いただけます(未精製品など内容によってはカルタヘナ法該当品となります)。 - 経口ワクチン・飼料添加物の開発(動物用)
豚などへの注射不要な経口ワクチン/免疫サポート飼料添加物を開発。従来の手法と比べ、労働時間が90%以上削減され、従事者及び子豚のストレス低減にも貢献します。2024年、ベトナムにて製品登録を完了し、養豚企業でのトライアル使用を進めています。
その他、ペット用の経口ワクチン開発も進めており、非侵襲性ワクチンの実現に向けて取り組んでいます。 - ヒト用ワクチンの開発
AMED/SCARDAに採択された九州大学の「カイコ昆虫モダリティによる低価格な国産組換えワクチンに関する研究開発(研究開発代表者:教授 日下部宜宏)」において「ワクチンGMP製造と非臨床試験」を分担研究しています。当該プロジェクトは2026年前期にヒト第一相臨床試験を予定しています。 - サプリメント事業
九州大学宮崎演習林で発見された冬虫夏草の一種であるサナギタケ(C. militaris)を生きたカイコで培養することに成功し、サプリメントや化粧品の原料として研究開発を進めています。
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
※ 表示価格について






















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