スピンカラムタイプのRNA-Seq用RNA抽出キット SPLIT RNA Extraction Kit

SPLIT RNA Extraction Kit は、RNA-Seq に使用するRNA を精製するためにデザインされたキットです。本キットでは、ゲノムDNA のコンタミネーション無く、迅速に高収量でRNA を精製可能です。加えて、本キットでは、RNA にダメージを与える可能性のあるDNase 処理が不要です。結果として、total RNA の回収や、small RNA とlarge RNA の分離が可能となっています。

• 17 〜 10,000 nt のtotal RNA を精製
• オプション：large RNA とsmall RNA の分離が可能（150 nt 以下Cutoff）
• 30 分の簡単なプロトコル（組織：最大RIN 8、培養細胞：最大RIN 10）
  ※ RIN：RNA integrity number
• FFPE サンプル用のプロトコールも用意
　
• SPLIT for Blood：ヒト血液サンプルからグロビン mRNA を除去可能
• SPLIT Rapid Viral RNA/DNA Extraction Kit：フェノール不使用、15 分のワークフロー

SPLIT RNA extraction Kit は、ほ乳類や植物、昆虫、菌類、細菌など、各種生物から RNA を迅速、容易に抽出可能です。用いる検体を、RNase の不活性化や可溶性を高めるためのChaotropic Isolation Bu? er でホモジナイズします（図 1）。ホモジナイズ後、Phase Lock gel チューブを用いた酸性フェノールクロロホルム抽出を行い、水相（RNA を含む）を有機相・中間相（DNA やタンパク質を含む）から分離します。 RNA 画分は total RNA または large RNA、small RNA を回収するためのシリカカラムを通して精製されます。ウイルス核酸の抽出には、フェノール / クロロホルム抽出なしのSPLIT Rapid Viral RNA/DNA Extraction をご利用ください。

図.1 SPLIT, SPLIT for Blood, SPLIT Rapid Viral RNA/DNA Extraction Kitのワークフロー

SPLIT RNA extraction Kit により抽出された試料RNA は、microRNA から1 万塩基以上と、RNA-Seq に適したサイズになります。抽出したRNA はゲノムDNA のコンタミネーションは無く、また、DNase 処理、不活性化のため熱処理、ゲノムDNA 除去カラムなどによるRNA の分解やRNA サイズのバイアスがありません。total RNA やsmall RNA 画分内の17 塩基までのsiRNA やmicroRNA の回収効率は、small RNA マーカーを用いたスパイクイン実験で確認されました（図3）。

図.2 SPLIT RNA extraction Kit によるゲノムDNA コンタミネーション無しのRNA 抽出法
A）マウス肝臓から抽出したRNA を変性ホルムアルデヒドアガロースゲルで電気泳動した。TRIzol で抽出したRNA はゲノムDNA のコンタミネーションが見られたが、SPLIT RNA extraction Kit で抽出したRNA にはゲノムDNA はコンタミネーションが無かった。
B）各ゲノムDNA 除去方法でゲノムDNA 除去後、RNA のクオリティ（RIN）評価をAgilent 社TapeStation で行った。SPLIT RNA extraction Kit で精製したRNA（DNase処理無し）は、他のゲノムDNA 除去手法に比べてRNA のクオリティ（完全性）、サイズ分布のバイアスの面で優れていた。

SPLIT RNA Extraction Kit for Blood

SPLIT RNA Extraction Kit for Blood では、従来の SPLIT RNA Extraction Kit のプロトコールでサンプルをホモジナイズする前に、赤血球の溶解ステップが追加されています。このプロトコールでは新鮮なヒト全血より高い完全性のRNAが得られます（図 3）。赤血球溶解後、Isolation Bu? er に懸濁したサンプルは -80℃で最長 3 ヶ月間保存することが可能です。

図.3 SPLIT for Blood プロトコールでは、全血から抽出した RNA のクオリテ ィが改善した
SPLIT RNA Extraction Kit for Blood（緑色、RIN 8.7）または赤血球溶解ステ ップのない従来の SPLIT プロトコール（青色、RIN 7.0）を用いて新鮮なヒト全血から RNA を抽出した。各サンプルのバイオアナライザートレースを示した。

ヒト血液由来のグロビン mRNA を効率的に除去

赤血球溶解ステップを追加することにより全血からグロビン由来 mRNA を効率よく除去できます（図 4）。

図.4 SPLIT for Blood プロトコールでは、抽出した RNA サンプルから＞95%のグロビン mRNA を除去できた
SPLIT または SPLIT for Blood プロトコールを用いて新鮮なヒト全血より RNAを抽出した。Lexogen's QuantSeq 3' mRNA-Seq（FWD）kit を用いて RNA- Seq ライブラリを調製し、シークエンスリードをヒトリファレンスゲノムにマ ップした。その後、グロビン mRNA にマップされたリードの割合を算出した。

グロビン由来 mRNA 除去後に遺伝子検出率が増加

全血 RNA サンプルに多く含まれるグロビン mRNA を効果的に除去することで、シークエンシングスペースが広がり、遺伝子検出率が増加した（図 5）。

図5. SPLIT RNA Extraction Kit for Blood を使用することでヒト血液サンプルの QuantSeq ライブラリにおける遺伝子検出率が増加
左図）検出された遺伝子数（＞ 0.5 CPM）
右図）検出された遺伝子の重複

SPLIT Rapid Viral RNA/DNA Extraction

SPLIT Rapid Viral RNA/DNA Extraction Kit は、鼻咽頭スワブ、口腔のスワブなどの液体サンプルから高品質な RNA/DNA を15 分以内に抽出可能です。ワークフローはサンプル溶解とカラム精製をベースにしており、必要な機器は一般的な遠心分離機のみです。抽出した核酸は、逆転写、RT- qPCR、Targeted RNA-Seq 等に使用可能です。また、プレ ートと磁気ビーズを使用した自動化プロトコールに変更可能です。

• Buffers and Purification Columns
• Phase-Lock Gel Columns

※  表示価格について