SSEA-4とは
Stage-specific embryonic antigen-4 (SSEA-4) は、末端にシアル酸残基 (N-アセチルノイラミン酸) を含むスフィンゴ糖脂質 (GSL) からなるガングリオシドです。SSEA-4 の発現は、発生、分化、腫瘍形成中に定性的および量的に変化します。ヒトの発生過程において、SSEA-4 は内部細胞塊の多能性細胞で最初に観察され、その後分化すると消失します (Tondeur et al. 2008)。さらに、精巣および卵巣のヒト生殖幹細胞はSSEA-4を発現しています(Harichandan et al. 2013; Virant-Klun et al. 2013)。
SSEA-4 は多くのがんで過剰発現していることが明らかにされており、疾患の進行と相関することが示唆されています。Buhring グループによる研究 (Sivasubramaniyan et al、2015) では、不均一で浸潤性の腫瘍細胞部分集団を識別するための新規マーカーとして SSEA-4 を提案しました。重要なことに、細胞表面のSSEA-4発現の増加は、細胞間相互作用の喪失と遊走表現型の獲得に関連することも示されたことから、細胞外マトリックスへの細胞接着に影響を及ぼすことにより、がん浸潤におけるSSEA-4の重要な役割が示唆されています。
SSEA-4 の発現と機能については、高品質の試薬の不足によってしばしば研究が進まないこともありました。抗原のグリカンの性質により、開発されたほとんどすべての抗体はIgM又はIgG3クラスで、親和性が低い傾向があるため、取り扱いが困難な場合があります。
Glykogen社では、独自の免疫化方法を使用して、組換えモノクローナルウサギ IgG 抗体であるクローン F8 を開発することにより、これらの試薬の課題を克服しました。本抗体により、幹細胞生物学とがん研究の両方において、SSEA-4の発現と機能に関する研究が促進されることが期待されます。