SynBBB™ は脳組織細胞の組織学的切片を模倣して、血液脳関門(BBB)を経て内皮細胞と情報交換しin vivo脳微小環境を再構築します。SynBBBモデルにより、脳組織細胞と内皮細胞間の相互関係が生化学的または電気的分析によって容易に画像化できます。
特長
- 正確なin vivo血行動態的剪断応力
- 細胞や関門の機能性をリアルタイムで画像化
- 費用と時間を著しく低減
- 実験操作に左右されない簡便化プロトコール
図.1 SynBBBモデルの模式図。
尖端チャンバー(外側のチャネル)は脈管(内皮細胞)培養用であり、側低チャンバー(中央チャンバー)は、脳組織細胞(アストロサイト、周皮細胞、神経細胞)培養用である。多孔性構築により脈管と組織細胞間の情報伝達が可能となる。
SynBBBシステムは研究上非常に多様性なプラットフォーム
- 密着結合タンパク質:BBBを制御する密着帯、クローディン、およびオクルディンといった密着結合タンパク質のレベルを決定
- 輸送体タンパク質:正常または機能障害性のBBBにおける輸送体タンパク質(Pgpなど)の機能性を分析
- 薬物透過性:BBBの内皮を越えた治療学や小分子の透過性をリアルタイムで評価
- 炎症性:BBB制御における炎症性応答の基となる機序を理解
- 細胞遊走:免疫細胞のBBBを経た遊走をリアルタイムで画像化し定量
- "Omics"の変化:ゲノム、タンパク質、および代謝関連の分析を正常および機能障害性のBBBで実施
- 神経毒性:BBBの細胞における化学物質、生物製剤、および物理的製剤の毒性効果を分析
- 神経腫瘍学:BBBにおける腫瘍細胞の効果を探究
構成内容
SynBBBアッセイを行う際に基本的に必要な物はキットとしてご購入頂くことができます。個々の実験目的に応じて、SynBBB chipは"基礎的" または "TEER対応" 配置からお選びください。
チューブ、クランプ、針、およびシリンジといった全てのアクセサリーが添付されています。スターターキットには気圧式プライミング装置(SynBBBアッセイの実行に必要)と細胞インピーダンス分析機器(SynBBB TEER測定値の収集に必要)も含まれています。
添付資料
SynVivo社は、初めて新生児のBBBモデルをチップ上に構築
Temple Universityの研究者は、SynVivo® SynBBBTMcell-based in vitro assay platformを用いて新生児段階の血管脳関門(BBB)の性状と機能をモデル化しました[1]。SynBBBモデルは、三次元形態、細胞間相互作用、および微小流体チップ上の流体特性といったin vivo微小環境を非常によく模倣できます。この研究は、リアルタイムでの画像化と分析が可能な初めての動態的in vitro新生児BBBモデルを構築したことが特徴的であり、BBB機能研究や新規治療のスクリーニングに適しています。
図.2
"新生児の血管脳関門(BBB)の適切なin vitroモデルが欠如していることが、新生児の神経病理学と適切な治療を開発する上での妨げとなっており、この研究は重要です。" 本報告書の筆頭執筆者であるDr. Sudhir Deosarkarの言葉より。
SynBBBアッセイでは、組織区画と脈管が横並びで配置され人工の多孔性境界面で分離されていますので、各研究者はin vivoでみられるような生理学的条件下においてラット新生仔脳内皮細胞とラットアストロサイトを共培養できます。内皮細胞は完全な管腔を形成し密着結合形成を示しますが、これはアストロサイトとの共培養下で増大します。この開発されたモデルにおける小分子の透過率は、in vivoで見られるものと良好に一致しました。
図.3
PLOS ONEに発表された論文では、transwellモデルと異なり、SynBBBモデルではin vivoで確認されるものと同様の、著しく改善された関門特性が示されている。
アプリケーション例
SynBBB 3D modelは様々なBBBアッセイにおいて検証されています。
単一培養アッセイ
剪断誘導性内皮細胞密着結合は、Transwell®では得られませんが、SynBBBアッセイでは流体灌流を利用して形成することができます。密着結合の形成変化はSynVivo Cell impedance Analyzerを用いた生化学的または電気的分析(電気抵抗の変化を評価)により測定できます。 生理的流体流動下において初代内皮細胞を脈管内で培養しました。細胞を密着結合マーカーに対して染色したところ、静止状態に比べて流体流動条件下において密着結合の増大がみられました。細胞インピーダンス分析装置システムを用いて、密着結合形成に関連したオーム抵抗(TEER)の増大を測定しました。
図.4
左上パネル:SynBBBモデルで培養した脳内皮細胞の位相差画像
左下パネル:カルセインAMとエチジウムホモ二量体-1で標識した脳内皮細胞より、SynBBBモデルにおいて細胞の生存群が多いことが示唆された。
右パネル:図より脳内皮細胞にはTEER増大と流れが重要であることが示された。
組織細胞との共培養
脳組織細胞と内皮細胞間の相互作用はSynBBBアッセイで容易に画像化できます。Transwellモデルでは、生理学的環境を理解する上で非常に重要なこれら細胞相互作用をリアルタイムで画像化できません。内皮細胞を脈管内の流れの中で培養し、組織チャンバーにはアストロサイトのような初代脳細胞を培養します。関門を越えたオーム抵抗の増大はBBBを越えた密着結合形成に関連しますが、これをCell Impedance Analyzerで測定します。アストロサイトと共培養した内皮細胞は、単一培養した内皮細胞に比べて非常に密着した細胞間結合を形成します。
図.5
左パネル:CD-31(緑色)染色した内皮細胞とGFAP(赤色)染色したアストロサイト。核は何れもDAPI(青色)で染色した。
右パネル:内皮細胞とアストロサイトの共培養によるTEER増大がよくわかる図。
リアルタイム透過性アッセイ
上下に配置されたBBBモデル(Transwell)と異なり、SynBBBシステムは並列型の配置であることから小分子輸送をリアルタイムで評価し定量化できます。 対象薬物分子に蛍光標識し、生理学的な流速で脈管を灌流させました。リアルタイムビデオ撮影を行い、組織チャンバーへの透過率を算出しました。内皮細胞の密着結合のため、BBBを越える際は透過率が異なりました。
リアルタイムでの密着結合調節
SynBBBは、炎症応答モデルとしても使用できます。TNF-αといった炎症誘発性化合物を単一培養内皮細胞に添加して密着結合を調節し、その後、灌流下に一定期間おいて回復させました。電気抵抗測定では、リアルタイムの密着結合モニタリングを非侵襲的に行うことができます。
図.6 SynBBBモデルにおける炎症応答調節。
BBBにおけるTNF-α誘導性漏出は内皮細胞を介した抵抗変化で測定した。TNF-α除去後、生理学的流動条件下で培地の灌流を行うことで密着結合を回復でき、密着結合形成の増大がみられた。静止状態で培養した細胞は密着結合を欠くため一定の抵抗を保持した。
- A Novel Dynamic Neonatal Blood-Brain Barrier on a Chip. S. Deosarkar, B. Prabhakarpandian, B. Wang, J.B. Sheffield, B. Krynska, M. Kiani. PLOS ONE, 2015, DOI: 10.1371/journal.pone.0142725
SynBBB 3D Model -スターターキット
消耗品(10チップ, 100ftチューブ, 25ヶスライドクランプ, 50ヶ平滑末端針 および 50ヶ1 mLシリンジ)を含みます。スターターキットには、気圧式プライミング装置(細胞播種に必要)と細胞インピーダンス分析機器(TEER配置のみ)も添付されています。
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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SynBBB 3D Blood Brain Barrier Model Starter Kit (basic configuration with IMN2 radial chips) | CFD | 402002 | 1 KIT |
お問い合わせ |
SynBBB 3D Blood Brain Barrier Model Starter Kit (TEER configuration) | CFD | 402004 | 1 KIT |
お問い合わせ |
※:細胞、培地、およびマトリックスといった上記以外の必要な消耗品はキットに含まれません。研究室機器として、培養器、倒立顕微鏡、およびシリンジポンプが必要です。
SynBBB 3D Model -アッセイキット
消耗品(10チップ, 100ftチューブ, 25ヶスライドクランプ, 50ヶ平滑末端針, 50ヶ1 mLシリンジ)を含みます。
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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SynBBB 3D Blood Brain Barrier Model Assay Kit (basic configuration with IMN2 radial chips) | CFD | 402001 | 1 KIT |
お問い合わせ |
SynBBB 3D Blood Brain Barrier Model Assay Kit (TEER configuration) | CFD | 402003 | 1 KIT |
お問い合わせ |
※:細胞、培地、およびマトリックスといった上記以外の必要な消耗品はキットに含まれません。研究室機器として、培養器、倒立顕微鏡、およびシリンジポンプが必要です。
【関連商品】
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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Co-Culture Idealed - 200μm OC, 50μm slit spacing, 3um wide slit, 50μ travel, 100μm depth | CFD | 102005-IMN2 | 1 SLIDE |
CFD社 102005 1 を参照 |
Co-Culture Idealed - 200μm OC, 50μm slit spacing, 3um wide slit, 50μ travel, 100μm depth, w/impedence capability | CFD | 102015-IMN2 | 1 SLIDE |
CFD社 102015 1 を参照 |
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
※ 表示価格について