細胞ライセート中のホスファチジン酸(phosphatidic acid, PA)およびリゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid, LPA)を96ウェルプレートで測定するキットです。
背景
ホスファチジン酸とは?
ホスファチジン酸は、細胞内の脂質の生合成において非常に重要な前駆体です。ホスファチジン酸は膜構造において重要であり、シグナリング脂質としてサイトゾルタンパク質を細胞膜に補充する役割を担います。細胞内では、ホスファチジン酸は強力なリン脂質ホスファターゼによってジアシルグリセロール(diacylglycerol, DAG)に変換されるため、ホスファチジン酸の濃度は非常に低く保たれています。
ジアシルグリセロールはもう一つの重要な脂質前駆体であるため、迅速に他の膜脂質成分に代謝されます。
そのため細胞内のホスファチジン酸を測定することは、脂質合成および代謝のモニタリングに役立ちます。
特長
- 細胞ライセート中のトータルホスファチジンを検出
- 検出限界:約5 µM ホスファチジン酸
- ホスファチジン酸スタンダード付属
構成内容
- ホスファチジン酸スタンダード
- 10× アッセイバッファー
- リパーゼ溶液
- 酵素ミックス
- 蛍光プローブ
アッセイ原理
まずリパーゼによってサンプル中のホスファチジン酸はグリセロール3-リン酸(glycerol-3-phosphate)に加水分解されます。
次に、グリセロール3-リン酸はグリセロール-3-リン酸オキシダーゼ(glycerol-3-phosphate oxidase, GPO)によって酸化され、過酸化水素が生成されます。この過酸化水素が蛍光プローブと反応することで蛍光が検出されます(励起:530-560 nm、蛍光:585-595 nm)。
ホスファチジン酸アッセイの原理
プロトコール
- 96ウェルプレートにホスファチジン酸スタンダードまたはサンプル10 µLを添加します。
- リパーゼ溶液40 µLを各ウェルに加えます。
- 37℃で30分間インキュベートします。
- インキュベーションの間に、必要量(プロトコールの表2参照)の酵素ミックスと蛍光プローブを混ぜて、検出用試薬を調製してください。
- 調製した検出用試薬50 µLを各ウェルに加えてください。
- プレートにカバーをして遮光します。
- 室温で10分間インキュベートします。
- マイクロプレートリーダーで測定します(励起:530-560 nm、蛍光:585-595 nm)。
- サンプルのRFU値とスタンダードカーブを比較することで、サンプル内のホスファチジン酸濃度を計算します。
使用例
図1. トータルホスファチジン酸スタンダードカーブ
トータルホスファチジン酸アッセイキット
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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Total Phosphatidic Acid Assay Kit (Fluorometric)![]() |
CBL | MET-5019 | 100 ASSAY |
¥152,000 |
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
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