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記事ID : 44320
研究用

フローサイトメトリーでの細胞分裂のモニタリングに! ViaFluor® SE 細胞増殖キット

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フローサイトメトリーにて、細胞分裂を長期でモニタリング可能な細胞質染色素です。共培養中の細胞集合のトラッキングにも使用可能です。
ViaFluor® SE色素は膜透過性化合物で、細胞内エステラーゼによって分解されると、非蛍光性エステルから蛍光性の色素へと変換されます。それと同時に細胞内タンパク質のアミン基と共有結合し、蛍光コンジュゲートを形成して細胞内に保持されます。

特長

  • 非毒性色素で細胞質を共有結合し、安定的な染色が可能
  • フローサイトメトリーでの色素希釈によるin vivoまたはin vitroでの細胞増殖の追跡が可能
  • 顕微鏡による細胞形態または共培養中の長期イメージングが可能
  • ViaFluor® 405および488は、ViaFluor® CFSEよりも毒性が低いです。
  • ViaFluor®色素は3種類ともすべてグラム陽性菌の染色は可能ですが、グラム陰性菌の染色には適していません。
  • ViaFluor® CFSEは酵母の細胞質を染色し、ViaFluor® 405および488は酵母の細胞質の周辺を染色します。染色部位に関する詳細はメーカーWEB情報をご覧ください。
<各種色素の特長>
細胞分裂トラフィッキング色素 品番 Ex/Em (nm) 検出チャンネル 特長
ViaFluor® 405 Cell Proliferation Kit 30068 408/452 Pacific Blue® フローサイトメトリーを用いた色素希釈による細胞分裂の追跡
ViaFluor® 488 Cell Proliferation Kit 30086 493/532 FITC CFSEに代わる独自の改良型緑色色素
ViaFluor® CFSE Cell Proliferation Kit 30050 495/519 FITC CellTrace™ Violetの代替品

CellTrace、Pacific BlueはThermo Fisher Scientificの商標または登録商標です。

アッセイ原理

VIAFLUOR® SE CELL PROLIFERATION KITS

フローサイトメトリーによる細胞増殖のモニター

ViaFluor® SE色素は、生細胞の中に受動的に拡散し、長期の細胞ラベリングに使用されます。細胞内エステラーゼによって分解されると、非蛍光性エステルから蛍光性の色素へと変換されます。それと同時に細胞内タンパク質のアミン基と共有結合し、蛍光コンジュゲートを形成して細胞内に保持されます。染色直後は、単一の明るい蛍光集団がフローサイトメトリーで検出されますが、細胞分裂が起こるたびに、フローサイトメトリーのヒストグラム上に順次暗い蛍光のピークが検出されます(図1)。ViaFluor® SE色素は、in vivoまたはin vitroでの細胞分裂の追跡に使用することができます。ViaFluor® SE色素で染色を行った後に、免疫染色のための固定化および透過処理を行うことができます。

ViaFluor® SE 細胞増殖キット

CFSE(CFDA-SEまたはcarboxyfluorescein diacetate, succinimidyl ester)は、フローサイトメトリーによる細胞増殖のモニターに長年使用されてきました。近年、いくつかの代替品が開発されましたが、CFSEは依然として人気があり、広く使用されています。Biotium社では、ViaFluor® CFSEという商標名でCFSEを提供し続けています。しかし、CFSEには、細胞外への漏出、細胞毒性、フィコエリスリン(PE)および PE-TexasRed®チャンネルへの波及など、いくつかの注意点があります。Biotium社で開発されたViaFluor® 405 SEおよび ViaFluor® 488 SE細胞増殖色素は、優れた細胞染色性、固定性、低毒性です。ViaFluor® 405は、バイオレットレーザーで励起され、Pacific Blue®チャンネルで検出され、毒性がなく素晴らしいピークを示します(図1)。ViaFluor® 488とViaFluor® CFSEはともにFITCチャンネルで検出されますが、ViaFluor® 488は、従来の色素CFSEよりも毒性が低く、漏出が少なく、定着性に優れた代替品として開発されました。また、PEやPE-Texas-Red®などの他のチャンネルへの波及も少なくなっています。

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図1.
上:細胞分裂のトラッキング原理。
下:5日間(d0〜d4)にわたるJurkat細胞の細胞分裂トラッキング。0日目(d0)に細胞をViaFluor® 405で標識し、その後の各日にフローサイトメトリーで分析した。連続した各ピークはそれぞれ、1つの細胞分裂を表し、灰色のピークは未染色の細胞。

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図2.
ヒトPBMCをViaFluor® 405(左)、ViaFluor® 488(中央)、またはViaFluor® CFSE(右)で染色した。細胞は、Dynabeads® Human T-Activator CD3/CD28ビーズと100 ng/mL IL-2で刺激し、誘導後4日目に分析した。CD3+T細胞の結果が示されている。比較のため、刺激していない細胞(ダーク)と染色していない細胞(グレー)を示す。

 

VIAFLUOR® 405:バイオレットレーザー用色素

高性能細胞増殖色素 ViaFluor® 405

Biotium社が開発した ViaFluor® 405 は、優れた細胞増殖モニター用色素です。他の色素とは異なり、細胞に対して無毒であり(図6)、細胞周期の進行やT細胞の活性化などの細胞プロセスを阻害しません。シグナルは明るく安定しており、きれいでシャープなピークを与えるので、フローサイトメトリーで細胞分裂サイクルを簡単に追跡することができます。一般的な細胞増殖色素であるCellTrace™ Violetと比較すると、染色パターン(図3)や非毒性は基本的に同じであることが分かります。

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図3
Jurkat細胞を5 µMの細胞増殖色素で染色した(左:ViaFluor® 405、右:CellTrace™ Violet)。染色直後の細胞をPacific Blueチャンネルで解析し、その後4日間毎日解析した。どちらの色素もシャープなピークを示し、細胞分裂によるシグナルの減少を示した。
 

VIAFLUOR® 488:CFSEの代替品

FITCチャンネル用色素 ViaFluor® 488

CFSEは依然として人気があり広く使用されていますが、CFSEは、細胞毒性(図5)、T細胞活性化の動態を変える可能性、細胞内での保持力が弱い(図4)、固定後の保持力が弱い(図7)、他の検出チャンネルに波及する(図8)といった、実験の妨げになる欠点があります。そこでBiotium社は、これらの欠点をすべて改善した新しい緑色細胞増殖色素ViaFluor® 488を開発しました。

ViaFluor® 488は、細胞分裂ごとにシャープなピークを示し、CFSEとは異なり、洗浄後の漏れがありません(図4)。固定および透過処理後も細胞内に保持されるため (図7)、サンプルの免疫染色や保存が可能であり、PEや PE-TexasRed®などの他の検出チャンネルへの波及が少ないため、より多くの共染色オプションが可能です。ViaFluor® 488はCFSEと同じチャンネルで検出されるため、現在CFSEを使用しているユーザーは、簡単にViaFluor® 488を使用することができます。

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図4
Jurkat細胞を3 µMの細胞増殖色素で染色した(左:ViaFluor® 488 、右:ViaFluor® CFSE)。染色直後にFITCチャンネルで解析し、その後3日間毎日解析を行った。CFSEは、最初の染色から1日目までの間にシグナルが大きく失われ、測定できる細胞分裂の回数が制限されるのに対し、ViaFluor® 488はよく保持され、分裂周期ごとにシャープなピークが得られた。
 

細胞毒性の低減

CFSEと比較して毒性が低減された新しい色素

市販の多くの細胞増殖色素は、一般的なアッセイ濃度範囲である1〜5 µMで使用した場合、細胞に対して毒性を示します。これは、何日も続くことが多い増殖アッセイでは特に問題です。Biotium社は、これらの色素の中には、細胞死や細胞周期停止を引き起こすものがあることを発見していました。典型的な増殖色素であるCFSEは、細胞増殖アッセイの典型的な色素濃度である5 µMで著しい毒性を示し(図5)、1 µMでは中程度の毒性を示します。Biotium社では、優れたパフォーマンスを実現するために、特に細胞への毒性が低くなるように設計された、新しい細胞増殖色素を開発しました。

ViaFluor® 488 SEは、CFSEの改良版として開発された緑色の細胞増殖用色素です。ViaFluor® 488は、細胞毒性の低減をはじめとし、CFSEと比較して多くの利点があります。5 µMで使用した場合、CFSEは細胞に極めて有害ですが、ViaFluor® 488は同じ実験条件においてはるかに毒性が低いです(図5)。1 µMでは、ViaFluor® 488の毒性はまったく確認されていません。
ViaFluor® 405 SEは、培養Jurkat細胞(図6)またはPBMCのいずれにおいても、5 µMで使用しても毒性は認められませんでした。ViaFluor® 405 は、毒性の低さとフローサイトメトリーで素晴らしいピークを得られるという点で、CellTrace™ Violetと遜色ありません。

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図5.
5 µM ViaFluor® 488または5 µM CFSEで染色したJurkat細胞を、染色直後と、培養24時間後にフローサイトメトリーで解析した。生細胞ゲートにあった細胞のパーセンテージを定量化した。CFSEは5 µMで著しい毒性を示し、ViaFluor® 488は毒性が弱かった。ViaFluor® 488は、1 µMで使用した場合、毒性はなかった。

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図6.
5 µM ViaFluor®405で染色したJurkat細胞を、染色直後と、培養24時間後に再度フローサイトメトリーで解析した。生細胞ゲートにある細胞のパーセンテージを定量化した。非染色細胞とViaFluor® 405で染色した細胞との間に差は見られなかった。

 

高い固定性

ViaFluor® 488は、固定やインキュベーション後もシグナルを失わない

CFSEの問題点として知られているのが、細胞への定着性の悪さです。細胞をCFSEで染色し、一晩インキュベートすると、Day 0とDay 1のピークの間に大きなギャップが見られます。ViaFluor® 405やViaFluor® 488などの他の増殖色素では、このような大きいギャップは見られないため、細胞分裂によってシグナルが希釈されることが原因ではありません。切断された後のCFSE色素の反応性が低いためと思われます。
同じ理由で、固定性が悪く、固定、透過、洗浄後にシグナル消失が生じます。改良型緑色増殖色素ViaFluor® 488は、インキュベーションや固定化後も細胞内に極めてよく保持されます(図7)。シグナルを失うことなく固定化や透過処理を行うことができるため、免疫染色やその他多くの細胞アッセイと組み合わせて細胞増殖アッセイを行うことが可能です。

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図7
ViaFluor® 488の固定性が CFSEよりも優れていることを示す図。Jurkat細胞を1 µM ViaFluor® 488(左)またはViaFluor® CFSE(右)で染色した。細胞の半分を取り出し、固定と透過処理を施した(黄緑色のヒストグラム)。ViaFluor® 488で染色した細胞は固定後もシグナルを失わないが、ViaFluor® CFSEで染色した細胞はかなりの量のシグナルを失った。
 

他チャンネルへの影響の少なさ

ViaFluor® 488は、CFSEと比較して他チャンネルへの波及が少ない

CFSEのもう一つの問題は、FITCチャンネルからPEやPE-TexasRed®のような長波長検出チャンネルへの波及があることです。これは、多色フロー実験をデザインする際に問題となることがあります。Biotium社の緑色ViaFluor® 488は、近接するチャンネルへの波及が劇的に減少しており(図8)、R-PEやCF® 594などの他の色素と併用することが可能です。

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図8
Jurkat細胞を3 µMのCFSEまたはViaFluor® 488で染色した。その後、FITC、PE、PE-TexasRed® チャンネルでフローサイトメトリー解析を行った。両方の色素について同じ検出チャンネル電圧設定を使用したところ、CFSEはViaFluor® 488に比べて、スピルオーバーチャンネル(PE、PE-TexasRed®)の両方で非常に強いシグナルを示した。

ViaFluor® SE 細胞増殖キット

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
ViaFluor(R) 405 SE Cell Proliferation Kit詳細データ BTI 30068-T 1 KIT
[1 vial, 100 assays]
¥19,000
ViaFluor(R) 405 SE Cell Proliferation Kit詳細データ BTI 30068 1 KIT
[10 vials, 1000 assays]
¥102,000
ViaFluor(R) 488 SE Cell Proliferation Kit, Trial Size詳細データ BTI 30086-T 1 KIT
[1 vial, 100 assays]
¥15,000
ViaFluor(R) 488 SE Cell Proliferation Kit詳細データ BTI 30086 1 KIT
[10 vials, 1000 assays]
¥83,000
ViaFluor(R) CFSE Cell Proliferation Kit詳細データ BTI 30050 1 KIT
¥33,000

商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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