記事ID ： 43869

ALKの転座を検出するFISHプローブ ZytoMation® ALK Dual Color Break Apart FISH Probe

メーカー名：ZytoVision GmbH

ZytoMation® ALK Dual Color Break Apart FISH Probe は、染色体領域 2p23.1-p23.2 に存在する ALK（ALK受容体型チロシンキナーゼ、別名CD246）を含む転座を検出するために設計されたプローブです。

背景

ALKは膜貫通型受容体チロシンキナーゼをコードしており、この遺伝子は造血器系および非造血器系の固形がんにおいて、いくつかの遺伝子パートナーとの融合や変異により特徴的な癌化活性を発揮します。ALK遺伝子座に影響を及ぼす転座は、T細胞から発生する侵攻性の非ホジキンリンパ腫である未分化大細胞型リンパ腫（ALCL）で頻繁に認められます。
最も頻度の高い転座である t(2;5)では、染色体5q35に位置するNPM1 遺伝子との融合が起こります。この転座により、NPM1/ALK融合タンパク質が生じ、このタンパク質は自己リン酸化により恒常的に活性化され、STAT3などの下流エフェクターを活性化することにより、悪性細胞の形質転換を仲介します。さらに、非小細胞肺がん（NSCLC）では、2番染色体短腕に位置するALK遺伝子に影響を与える逆位（inv(2)(p21p23)）が頻繁に検出されており、EML4-ALK融合転写物の形成に繋がっています。

構成内容

ZyGreen labeled polynucleotides (excitation 503 nm/emission 528 nm)
染色体領域2p23.1-p23.2^* (chr2:29,460,144-30,095,822) のALK ブレークポイント領域の近位の配列をターゲットとするプローブ
ZyOrange labeled polynucleotides(excitation 547 nm/emission572 nm)
染色体領域2p23.2^* (chr2:29,174,204-29,383,335) のALKブレークポイント領域の遠位の配列をターゲットとするプローブ
ハイブリダイゼーションバッファー(ホルムアミドベース)

^*Human Genome Assembly GRCh37/hg19による

プローブの概要

緑色のプローブは、ALK ブレークポイント領域の近位にある2p23.1-p23.2の配列をターゲットとしています。橙色のプローブは、ALKブレークポイント領域の遠位にある2p23.2の配列を標的とするプローブです。

図1. プローブの検出位置

図2. ALKプローブマップ

使用例

2p23.1-p23.2バンドを含む転座を持たない正常細胞の間期核では、正常な（非転座）2p23.1-p23.2遺伝子座を表す2つの橙/緑の融合シグナルが期待されます。1つの橙/緑の融合シグナルと、橙と緑各１つずつの離れたシグナルとなるシグナルパターンは、転座または逆位により影響を受けた1つの2p23.1-p23.2遺伝子座と正常な2p23.1-p23.2遺伝子座を示します。また、5'-ALK配列の欠失を伴うEML4-ALK逆位は、1つまたは複数の孤立した橙色のシグナルで示されます。

図3.
(a) ALK Dual Color Break Apart FISH Probeを用いて検出した正常な間期の細胞
(b) ALK遺伝子の転座を示す肺がんの組織切片