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記事ID : 45437

イムノクロマトキットによる細胞外小胞の検出

ユーザーレポート

横井 暁 先生

横井 暁 先生
Akira Yokoi

名古屋大学医学部附属病院 産科婦人科 講師
(日本細胞外小胞学会 理事)

Products

  • Exorapid-qIC® 細胞外小胞用イムノクロマトキット(CD9) (品番:DNT-EXO-K01)
  • Exorapid-qIC® 細胞外小胞用イムノクロマトキット(CD63) (品番:DNT-EXO-K02)

メーカー:大日本塗料株式会社 メーカー略号:DNT

大日本塗料株式会社 appnote_title_use.jpg

Exorapid-qIC® 細胞外小胞用イムノクロマトキット(CD9/CD63/CD81)

EVs研究のスタートアップや簡易評価に最適

本キットは、大日本塗料株式会社が開発した青色の貴金属ナノ粒子「金ナノプレート」を使用し、エクソソームや微小胞、アポトーシス小体、ラージオンコンソームなどの細胞外小胞(Extracellular Vesicles:EVs)を検出可能な試験研究用のイムノクロマトキットです。

※株式会社島津製作所との共同開発品です。
※本キットに使用されている抗体は、下記コスモ・バイオ社品です。
CD9抗体(12A12、品番:SHI-EXO-M01)
CD63抗体(8A12、品番:SHI-EXO-M02)
CD81抗体(12C4、品番:SHI-EXO-M03)

 

実験内容

エクソソームなどの細胞外小胞(sEV :small Extracellular Vesicles)は、脂質二重膜におおわれた直径100nmほどの小胞体であり、すべての生きた細胞から分泌される。sEVは核酸、タンパク質、脂質、代謝産物など、多様な生理活性分子を含んでおり、特定の細胞間コミュニケーションを仲介できることが知られている。がん細胞に由来するsEVの特徴を捉えることで、がん診断マーカーとしての可能性が期待される。

一方で、sEVの研究を進める中では作業負荷を抑え、より効率的に解析を進めたいと感じる場面も多い。特に、サンプル数が増える場合や、限られた時間・人員のなかで実験を進める場合には、操作にかかる手間や時間が課題となることがある。ウエスタンブロッティング法やELISA法は、広く使用されている手法ではあるが、装置や反応時間、ステップの多さに加え、習熟度によって作業効率が左右されやすい側面もある。

最近はsEVの定量キットも様々な種類が販売されているが、その中でも操作が簡単で短時間での検出が可能な「Exorapid-qIC® 細胞外小胞用イムノクロマトキット」を用いた試験を試みた。検体には、卵巣がん細胞株CAOV3(Human ovarian adenocarcinoma cell line CAOV3)の培養上清から回収したsEVを使用した。

実験1:CAOV3分泌sEVの評価

CD9、CD63の2タイプのキットを用いて評価したところ、いずれのキットでもCAOV3細胞株から分泌されたsEVを1時間もかからずに検出可能であることを確認した。ナノ粒子トラッキング解析(NTA)による粒子数測定結果に基づき、1テストあたりの粒子数を1×108個以上にするとテストラインの着色が確認された。さらに、本試験におけるCD9とCD63の検出強度の傾向について、文献で報告されているCAOV3の検出結果と相関があることが分かった。

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実験2:CAOV3分泌sEVの調製Lot.の比較

調製日の異なるsEVについて、NTAで測定したsEV濃度を揃えて評価したところ、CD9の検出強度に差異があることを確認した。NTA法の評価のみでは見落としてしまう調製のばらつきについて、本手法による簡易評価が可能であった。

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結言

本キットを用いて、卵巣がん細胞株CAOV3から分泌されたsEVを簡単に短時間で検出できた。また、同様に培養、調製したsEV画分であってもばらつきが生じるため、複数の手法でsEVを評価することが好ましいと考える。


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