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ELISAによる妊婦の唾液オキシトシン測定

ユーザーレポート

高畑 香織 先生

高畑 香織 先生
Kaori Takahata

聖路加国際大学 大学院看護学研究科 客員研究員

Products

メーカー:Enzo Life Sciences,Inc. メーカー略号:ENZ

Enzo Life Sciences,Inc. こちらをつかってみました!

オキシトシン測定ELISAキット

オキシトシン(Oxytocin)を高感度・特異的に定量測定します。

  • 特異的:バソプレシンを検出しないので信頼性のあるアッセイ結果が得られます。
  • 高感度:15 pg/mL オキシトシンを検出
  • 費用効率:LC/MSよりも早く、低コスト
  • 使用が簡単:エラー低減のため、色がついた液体、プレコートされたプレートを使用
  • 信頼:論文審査のある学術専門誌で多く発表されています。

実験内容

助産師を中心とした筆者が所属するグループでは、出産や育児におけるオキシトシンの作用に興味を持って研究をしています。オキシトシンは9つのアミノ酸からなるペプチドホルモンで、視床下部の室傍核や視索上核の大細胞性神経分泌ニューロンで産生、下垂体後葉に貯蔵され、様々な刺激に応じて血液中に分泌されます。オキシトシンの歴史は古く、1906年Daleらによって発見され、Quick birthを意味するギリシャ語を由来に命名されました。オキシトシンは子宮平滑筋の収縮による子宮収縮作用や、筋上皮細胞の収縮による射乳反射などの作用が知られていますが、近年では人間関係における絆の形成に重要なホルモンであることが確認され、現在様々な分野で研究が行われています。

筆者は、妊娠期の乳頭刺激が妊婦に与える生理学的影響の指標として、オキシトシンを測定してみたいと考えました。オキシトシンは、脳脊髄液や血液、尿、母乳などから測定が可能ですが、検体採取において、被験者への侵襲が少なく、連続して複数のサンプルが回収できる利点から、“唾液”でのオキシトシン測定を選択しました。

実験では、妊娠38週以降のローリスク妊婦16名に1日1時間の乳頭刺激を3日間連続で実施してもらい、介入中の唾液オキシトシン濃度の推移を観察しました[1]。唾液オキシトシン濃度を従属変数とし、介入日および介入時間を固定効果としてAR(1)共分散構造による線形混合モデルから、介入1日目よりも3日目において有意にオキシトシン濃度の上昇を推定することができました(図1)。

介入日毎の唾液オキシトシン濃度の平均推定値および95%信頼区間:多重代入法後の線形混合モデル
図.1 介入日毎の唾液オキシトシン濃度の平均推定値および95%信頼区間:多重代入法後の線形混合モデル

次の実験では、妊娠38週以降のローリスク妊婦を介入群22名、対照群20名に割り付け、同様の介入を行いました[2]。1日目の介入前値を共変量とした共分散分析から、調整済み平均値で3日目介入30分後のオキシトシン値は、介入群(M = 146 pg/mL)で、対照群(M = 100 pg/mL)よりも有意にオキシトシン値が高いという結果が得られました(p = .025)。他には、出産を目前に控えた健康妊婦がクラリセージ精油を20分間エアポンプで吸入する効果を調べた研究[3]、初めて出産する妊婦が60分間乳児と触れ合う影響を調べた研究[4]でも、唾液オキシトシン濃度を測定しています。

オキシトシン測定では、多くの先行研究で実績のあるEnzo Life Sciences社のOxytocin ELISA kit(#ADI-900-153A)を使用しました。同キットは試薬類を色分けすることで、ELISAの手順を可視化しており−例えば、競合標識オキシトシン溶液は青色に、抗オキシトシン抗体溶液は黄色に、双方を混合すると緑色に指示されるなど−安心して作業を進めることができます。むしろ注意しなければならないことは、解析に必要となる十分な唾液量の確保です(図 2)。幸いなことに、いずれの実験においても、ELISAに供した唾液検体のオキシトシン濃度が検出限界を下回ることはありませんでした。

オキシトシン測定は今後さらに多くの分野において活用されると考えられます。本商品は、研究の発展を支える確かな製品です。

唾液採取の様子:ELISAによる妊婦の唾液オキシトシン測定
図.2 唾液採取の様子

製品使用文献

  1. Takahata K. et al.; PLoS One, 13(2), e0192757, 2018
  2. 高畑ら. 第58回日本母性衛生学会, 神戸, 58(3), 230, 2017
  3. Tadokoro Y. et al.; BMC Research Notes, 10, 717, 2017
  4. 園田ら.; 日本助産学会誌, 32(1), 60-72, 2018

※親と子の絆オキシトシン研究会


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