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Q&A

記事ID : 6788

FAQ : Cellecta社 プール型レンチウイルスshRNAライブラリーについて

A. shRNA / Bar-code Design B. オリゴ作製 C. ライブラリー構築:QCおよび含まれる量
D. ベクターデザイン E. シークエンシング F. プール型スクリーニング
G. 納品商品 H. ライセンス/IP I. 経験

A. shRNA / Bar-code Design

Q1. Cellecta社のshRNAデザインアルゴリズムとは何か。どのように最適化かつ検証されていますか。 shRNAの構造やその長さを評価するために、いくつのコンストラクトを使用しましたか。

A1. Cellecta社ではプール型RNAiスクリーニングに適したshRNAデザインを開発しています。
プール型ライブラリーでは、ライブラリー内のshRNAが均質であることや、トランスダクションした細胞に組込まれたわずか1コピーのshRNAカセットに由来した発現量の低いshRNAより十分なノックダウン効果を得ることが必要です。さらに、HT validation screens(下記参照)により高い機能をもつshRNAを同定した結果、高いノックダウン効果を得るためにベクターやshRNAデザインの最適化や、ライブラリー内におけるshRNAの均一なレプリゼンテーションが可能となりました。最近の報告やCellecta社における種々の細胞モデルを用いたin vitro RNAiスクリーニング(下記参照)結果より、U6プロモーターからのshRNA発現を組込んだCellecta社のレンチウイルスベクターデザインを用いることで、H1プロモーターやmiR30骨格を利用したshRNA発現※1に比べてより高いノックダウン効果が得られることが示唆されました。
shRNA構造を最適化するため、shRNA validation vector (U6Tet-sh-PGK-GFP-Target)を利用したshRNAターゲットライブラリーを開発しました。本ライブラリーでは、150種類のshRNAをデザインし、かつ各shRNAは論文報告のある40種類のデザインに組込んでshRNA構築を行いました。この150x40 bar-coded shRNA-Target LibraryをCHO-TRex細胞にトランスダクションし、レプリゼンテーションの測定(ライブラリー内および導入細胞)と各shRNA構築によるノックダウン効果の評価を行いました。ノックダウン効果が高く、同一デザインのオリゴプールからの回収効率が均一であり、かつ同一プールライブラリーにおけるレプリゼンテーションが同等であった10種類のデザインを選択しました。さらに、この10種類のデザインを用いた3種類のp53-shRNAレンチウイルスベクターをマウス線維芽細胞にトランスダクションし、RT-PCRを用いてその効果の2次確認を行いました。

※1: An D.S., et al. Mol Ther. 2006 October;14(4), Boudreau R.L., et al. Mol Ther. 2009 Jan;17(1):169-75


Q2. バーコード配列長を教えてください。どのようにデザインし検証しましたか。マイクロアレイにおける交差性はどの程度ありますか。

A2. Cellecta社では18, 25, 34塩基長の複数種類のバーコード配列をデザインしました。過去3年にわたる25種類のスクリーニング結果より、遺伝子スクリーニング実験におけるshRNA/バーコード同定にはハイブリダイゼーションを利用する手法よりも次世代シークエンシングが非常に優れていることがわかりました。特に、ハイブリダイゼーション手法では、1)バーコード検出時のダイナミックレンジに限度がある(約100倍)、2)異なるバーコード間でハイブリダイゼーション効率に最低100倍の配列特異的相違がみられるため、少なくとも30%程度のバーコードにおいてハイブリダイゼーションシグナルの欠損がみられる、3)異なるバーコード間での交差性がみられること、が問題となります。次世代シークエンシングではデジタルデータが得られるため、これらの制限がありません。したがって、Cellecta社では次世代シークエンシングに対応するバーコードを開発してきました。現在、コンプレキシティが55K以下のshRNAライブラリーでは、18塩基のバーコードを使用していますが、Illumina-Solexaプラットフォームでは変異率約0.2%で各バーコードの特異的検出が問題なく行えます。さらにCellecta社独自のバーコードデザイン用アルゴリズム開発を行い、各配列が最大限相違し、かつオリゴ合成における変異導入に左右されにくいバーコードデザインを行っています。上記およびIllumina-Solexa 次世代シークエンシング技術により、各バーコードを精度よく区別することが可能となりました。
shRNA同定をハイブリダイゼーション法または次世代シークエンシング法で行われるお客様用に34塩基のバーコードもご用意しています。配列類似性の回避だけでなく、この34塩基バーコードではGCコンテントも同程度にデザイン(50-70%)してありますので、Agilentマイクロアレイへのハイブリダイゼーションにもご利用頂けます。ただし、Cellecta社ではマイクロアレイにおける機能性は検証しておりません。


Q3. 別のバーコードデザインを使用することはできますか。

A3. はい、可能です。Cellecta社ではアプリケーションやライブラリーコンプレキシティに応じたバーコードデザインの改良を続けています。お客様のカスタムライブラリーに最適なバーコードデザインも承ります。


Q4. mir30骨格ではなく、短鎖ヘアピンを使用したライブラリーを使用している理由を教えてください。

A4. これまでの報告を始め、mir30骨格を使用したshRNAに比べ短鎖ヘアピンを使用したものの方が高いノックダウン効果が得られると言われています。

  • mir30骨格shRNAに関するノックダウン効果に関しては、これまで1報しかなされていません。 NCI (Cancer Gene Anatomy Project)は、2008年にOpen Biosystemsに対してmir30骨格コンストラクトを検討するためのプロジェクトを提示しています。このプロジェクトは136種類のがん関連遺伝子に対して3種類ずつのshRNAを使用し、OVCAR-8およびMCF-7細胞を使用して2回繰り返し実験を行うものです(http://cgap.nci.nih.gov/RNAi/shRNAValidation/)。その結果、OVCAR-8細胞において約46%、MCF-7細胞において約25%のmiR30-shRNAが70%以上のノックダウン効果示しました。短鎖(GG21-S6) shRNAのTRCコレクションに関してはいくつかの報告があります※2,3。70%以上のノックダウン効果を示すTRC型shRNAコンストラクトは、A549およびHT29細胞を使用して54種のshRNAを検証した場合で35% ※2、同じく256種のshRNAを検証した場合で38% ※3、A549細胞を主に用いて340種類のshRNAを検証した場合で57-68%であることが示されています(http://www.sigmaaldrich.com/life-science/functional-genomics-and-rnai/shrna/learning-center/mission-application-data.html)。
  • いくつかのアカデミアのグループが複数の遺伝子に対するshRNAおよびmir30骨格shRNAコンストラクト(mature siRNA配列は同一)を構築し、siRNAへプロセスされる程度およびノックダウンレベルを検証しています(例:Boudreau, R.L. et al. Mol. Therapy (2009)17:169-175.; McBride, J.L. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. (2008)105:5868-5873.)。その結果、ノックダウン効果および細胞内のプロセスされたsiRNAレベルは、shRNAコンストラクトにおいて約1.5〜2倍程度高かったと報告しています。
  • mir30骨格shRNAの開発者による結果をうけ、Cellecta社では複数のコントロール遺伝子に対してそれぞれ少なくとも10種類のmir30骨格shRNAを構築し、そのノックダウン効果を検証しました。Cellecta社の実験では、shRNAコンストラクトの方がmir30骨格のものに比べて少なくとも50%程度高いノックダウン効果が得られています。

以上より、mir30骨格デザインはin vivoex vivoまたは初代培養細胞を用いた実験系において、毒性を低く抑えつつsiRNA発現調節やノックダウン誘導を行う際には有用なツールであると思われます(U6を用いたshRNA発現コンストラクトではその毒性が報告されています)。しかし、HT RNAiスクリーニングにおいては、従来のshRNAデザインの方が少なくとも50%優れた性能をもち、より信頼できると考えます。一方、Cellecta社においても、現存するin silicoデザインしたshRNAコレクションを検証するにあたり多大な労力(MIT, Sigma, Cellecta)を費やしたためRNAi consortium platform (TRC collection) の使用を決めています。Cold Spring Harbor Laboratory (mir30 collection)やThermo Fisherがゲノムワイドスケールでの機能検証プロジェクトを実施することはないと思われます。

※2: Moffat J, et al. A lentiviral RNAi library for human and mouse genes applied to an arrayed viral high-content screen. 124:1283-1298.
※3: Root DE, et al. Genome-scale loss-of-function screening with a lentiviral RNAi library. Nat Methods (2006) 3:715-719.


Q5. 他社製品に比べてCellecta社製品のノックダウン効果はどうですか。

A5. 上述の既報および120種類のCellecta社の検証済みshRNAコンストラクトを用いてCellecta社にて実施した機能テスト結果より、70%以上のノックダウン効果が得られるshRNA率を算出した結果を下にまとめました。

shRNAの種類ノックダウン効果を示すshRNAの比率
miR30デザイン 20%
他社21-mer shRNAデザイン 50%
Cellecta社21-merデザイン 65%

B. オリゴ作製

Q1. チップごとに作成可能なオリゴ数

A1. 現在のオリゴプールは、6.5K、13K、27Kまたは55Kのコンプレキシティで合成できます。実質、上限はライブラリーのコンプレキシティにより決まり、オリゴ合成の限界というよりは効率的なスクリーニングが行えるか(Cellecta社の経験では27Kまたは55Kが上限)によります。


Q2. オリゴの長さの限度はどの程度ですか

A2. 最長180塩基です。ただし、精度よく合成できるのは160塩基未満です。


Q3. トランスダクション後のPCRおよびクローニングに最適なオリゴ長

A3. 200〜300bpであれば、オリゴのサイズはPCR増幅やクローニングに影響しません。ただし、Cellecta社の経験では、 PCR反応中により安定構造をとるshRNA配列が減少する可能性があるため、shRNAのステムループを不安定化することが重要です。より安定構造をとるものはバクテリアでのプラスミドライブラリー増幅時にも減少する可能性があります。


Q4. オリゴの変異率

A4. 約0.2%です(約1000塩基に2つの変異/欠損)。Cellecta社では変異率を約0.1%まで抑える技術を保有していますが、shRNAライブラリー構築において必要とは考えていません。


Q5. 各チップにおける至適shRNA数(shRNA/ライブラリー)

A5. 現在のIllumina-Solexa sequencing platformを約10 x 106 reads/サンプルで使用した場合、統計的に信頼性の高いデータが得られる至適ライブラリーコンプレキシティは27K以下です。55Kのライブラリーも許容範囲であると考えますが、HT sequencingを行う際に2組のサンプルを使用することをお勧めします。


Q6. 独自のshRNAデザインを提供してCellecta社にてオリゴ作製することは可能ですか。

A6. 可能です。ノックダウン効果を期待できるデザインをお持ちの場合、それを使用することもできます。ただし、お手持ちのshRNAデザインがCellecta社の次世代シークエンシング利用するプール型ライブラリープラットフォームに適合するか確認するための予備実験が必要となります。


Q7. アレイ型shRNAライブラリーの提供は可能ですか。

A7. 可能です。お客様のご要望に応じたフォーマットでご提供致します。ただし、アレイ型のものは非常に高価となる上、開発に多大な時間を要すること、ご了承ください。


Q8. プール型オリゴまたはアレイ型オリゴの提供は可能ですか。

A8. Agilent社により合成されたプール型オリゴは提供可能ですが、アレイ型の提供は行っていません 。


Q9. shRNAライブラリーにおいて、アレイ型に比べプール型の利点はなんですか。

A9. プール型のゲノムワイドRNAiスクリーニング(少なくとも10,000遺伝子を対象とし、各遺伝子に対して3種のshRNAを含む場合)は、アレイ型に比べて少なく見積もっても100分の1程度しか費用がかかりません。現実問題として、個々の研究者にとってはプール型フォーマットが唯一の選択肢であるともいえます。

プール型の利点:

  • 数十の細胞株を用いたラージスケールの実験が可能(下記論文参照)
    Moffat, J., Gruenerberg, D.A. et al. Cell (2006) 124: 1283-1298.
    Root, D.E. et al. Nat Methods. 2006 Sep;3(9):715-9.
  • 特別な設備(ロボティクスを完備したHTスクリーニング施設など)が必要なく単独の研究者が実験を行うことが可能
  • 病原微生物を使用し、細胞モデルを用いたドラッグターゲット創薬ターゲット探索研究が実施可能(Biosafety Level 3)。同様のスクリーニングをアレイ型で行うことは非現実的である。
  • 生物学的サンプルを使用しバーコードの次世代シークエンシングによりデジタルデータを得るため、統計解析に適しており、かつ、複数の研究グループ間で互換性のあるデータベースを構築することが可能。
  • 同一のshRNAカセットを、種々の蛍光マーカー(GFP, RFPなど)、薬物耐性(Puro, Neo, Bleoなど)、shRNAプロモーター(H1, U6など)およびshRNA発現形態(tet-制御型など)をもつ発現ベクターに組込み、さまざまなshRNAライブラリーを構築することが可能。さらに、shRNAデザイン改変による新規shRNAライブラリー構築も容易である。shRNAのデザインや組合わせの自由度は、アレイ型に比べて特に有利な点である。

アレイ型の利点:

  • HTS用に開発された生物学的アッセイにはアレイ型shRNAライブラリーのみ利用可能なものが種々存在する(例: ハイコンテント解析)。
  • 一般に、得られる生データはアレイ型の方がプール型に比べてよい。主な理由として、プール型ではコンプレキシティの維持が困難なことが挙げられる。
  • 小分子ライブラリーのHTスクリーニング施設など既存の施設が利用可能。

以上より、Cellecta社ではプール型とアレイ型のshRNAライブラリーは対称的なものであると考えています。価格面を考慮すると、プール型を用いて1次スクリーニングを行うことが妥当であると思います(モデルシステムなどの制限が無い場合)。その後、プール型スクリーニングによるヒットをアレイ型を用いた2次スクリーニングで検証し、動物モデルにおける追試や検証実験に使用するといった流れが考えられます。プール型ライブラリーとアレイ型ライブラリーの双方を利用することで、ラージスケールRNAiスクリーニングがより柔軟かつ費用対効果の高いものとなると考えます。


C. ライブラリー構築:QCおよび含まれる量

Q1. 変異および誤って合成する頻度はどの程度ですか。どの程度のコンストラクトがデザイン通りに構築できていますか。

A1. 変異率は約0.2%です。25ntのshRNAでは、約95%のshRNAは正しい配列であるといえます。また、通常ベクターへの挿入率は95%程度です(単一インサート)。


Q2. プラスミドDNAライブラリーには、デザインしたコンストラクトの何パーセントが含まれていますか。

A2. デザインした挿入配列のうち約90〜95%が検出できています。各サンプルでは全10 x 106のリードが得られ、各挿入配列に対し最低10個のシークエンシングリードを得ています。


Q3. シークエンシングのためのPCRステップ後のレプリゼンテーションはどの程度ですか。エラー率はどの程度ですか。

A3. PCRステップ後にプール中の各オリゴのレプリゼンテーションを推定することは可能ですが、ベクタークローニング後に確認すべきであると思います。次項をご参照ください。


Q4. クローニングおよびプラスミドDNA調製後のレプリゼンテーションはどの程度ですか。

A4. プラスミドライブラリー構築後の各shRNAコンストラクト間における存在量の分布は約100倍です(shRNAデザインに依存し、ヘアピンが不安定構造をとるものほど分布はよい)。エラー率は約0.2%です(1,000塩基中2つの変異/欠損)。


Q5. ウイルスライブラリーには、デザインしたコンストラクトの何パーセントが含まれていますか。

A5.
a. ウイルス調製後のレプリゼンテーションおよびその検証方法。
バーコードshRNAコンストラクトをパッケージングした後のレプリゼンテーションは、ウイルスRNAよりRT-PCRによりバーコード配列を増幅し次世代シークエンシング解析することで確認可能です。しかし、実際問題として、ライブラリーをトランスダクションしてゲノムに組込まれたベクターよりバーコード領域をPCR増幅して次世代シークエンシング解析し、shRNAのレプリゼンテーションを確認する方が意味があると考えます。

b. ウイルス粒子調製に際してプールサイズの限度はどの程度ですか(1度にトランスフェクションが可能なコンストラクト数)。
shRNAライブラリーのコンプレキシティが100,000以下である場合、パッケージングにおけるプールサイズの限度は特にありません。より複雑なライブラリーをパッケージングする場合、使用するパッケージング細胞の数を最大1x108まで増やしています。

c. パッケージングにおけるライブラリーの最大コンプレキシティはどのように決定していますか。
プラスミドライブラリー構築およびトランスダクションステップ後におけるバーコード(shRNA)のレプリゼンテーションを比較しています。


Q6. ウイルスタイターの決定法。

A6. ベクターに蛍光タンパク質や薬物耐性等のマーカーが含まれている場合、ウイルスをトランスダクションしてマーカーによる選択を行い、ウイルスタイターを算出しています。ベクターがマーカーを持っていない場合、トランスダクションした細胞のゲノムとベクター 特異的プライマーを用いてPCRを行い、組込まれたウイルスのコピー数を測定しウイルスタイターを算出します。


Q7. ライブラリートランスダクション後の一般的なレプリゼンテーションはどの程度ですか。

A7. 一般に、導入ライブラリーのレプリゼンテーションはプラスミドライブラリーのそれと同程度です。ただし、細胞毒性のあるshRNAを含むコンストラクトは、トランスダクション後の細胞を数日間にわたり培養した場合やshRNAが野生株のプロモーター(tet-制御型ではないもの)より発現させた場合、トランスダクションしたプールより消失します。


Q8. 間違いや期待するトリガーの消失を特定するため、各プロセスではどのような品質管理測定を行っていますか。

A8. プラスミドライブラリーの品質管理のため、20種類のクローンをランダム抽出してPCR増幅およびシークエンシング解析を行い、正しいインサートの割合と変異度を確認しています。追加で、バーコードの増幅および次世代シークエンシング解析により、プラスミドライブラリーやトランスダクション後のウイルスライブラリーにおけるshRNAレプリゼンテーションを測定することもできます。


D. ベクターデザイン

Q1. tet制御効率を示すデータはありますか。

A1. Cellecta社では、tet抑制やマーカー(Puro/Bleo, GFP/RFP)を発現し、H1-tetまたはU6-tetプロモーターからshRNAを発現するベクターの開発を目指しています。これまでのところ、いくつかのTet-制御型ベクターを開発し、形質導入した細胞においてdox処理の有無によりshRNA発現を少なくとも10〜50倍制御できることを実証しています。しかし、tet-制御型プロモーターは野生型(wt)プロモーターに比べ活性が低いこともわかっており、wtに比べてtet-制御型では活性化されるshRNAが少ないと考えられます。そのため、tet-制御型shRNAライブラリーでは偽陰性ヒットを最小限に抑えるため、各遺伝子に対し最低10種類のshRNAをデザインしています。現在、U6-wtプロモーターと同程度の活性を有するU6-tetプロモーター開発を目指して、U6-tetプロモーターの部位特異的変異誘発を試みています(約6,000種の変異体構築)。


Q2. 各研究者独自のベクターを使用することはできますか。

A2. お客様のベクター骨格を使用することも可能です。ただし、shRNAクローニングおよび HTスクリーニング用のGexプライマー結合部位などを組込むため、shRNA発現カセット(U6またはH1プロモーター)を変更することになると思います。さらに、選択マーカーやtet抑制遺伝子なども組込む必要があるかもしれません。


Q3. さまざまなベクターの比較方法。

A3. レンチベクターは全て非常に類似しており、同様の骨格をもっています。主な違いは組込まれている要素です(上記参照)。


E. シークエンシング

Q1. マルチプレックスの障害は何ですか。

A1. シークエンシング時のリードの数が問題となります。27Kライブラリーではサンプルあたりのリード数が10 x 106となり、shRNA/バーコードあたり約350リード得ることになります。コンストラクト間で存在量のレプリゼンテーションにバラツキがあること(上記参照)、50リードが統計的に有意なリード数であることを考慮すると、現行の技術で遺伝子スクリーニングを行うには27Kライブラリーが限度であると思われます。27Kバーコードライブラリーは、27,000の単一バーコードまたは9,000の三つ組バーコードが付与されたshRNAを使用しています。


Q2. 三つ組バーコードの生データを提供してもらい、使用可能かどうか確認することはできますか。

A2. 生データの提供は可能です。三つ組バーコードおよび繰り返し実験は、統計解析を行って偽陽性と真の陽性を区別する際に非常に有用です。その一方で、HTスクリーニングのコスト増につながり、またはコンプレキシティの低いライブラリー(5〜10K)を選択することになります。


Q3. ヘアピン構造はシークエンシング済みですか。

A3. QCの一環としてヘアピンもシークエンシング済みです(上記 "ライブラリー構築" の項参照)。しかし、遺伝子スクリーニングにおいては、各shRNAに付随するバーコードのシークエンシングをお奨めしており、この方法ではステム-ループの増幅やループ配列に相補なプライマーを使用する必要がありません。


Q4. シークエンシングとハイブリダイゼーションの比較データはありますか。

A4. 比較データはございます。Cellecta社の初代shRNAライブラリーはAffymetfix HG-U133またはExon 1.0アレイと相補配列をもつshRNA配列を利用したものでした。さまざまな検討の結果、ダイナミックレンジ、交差性、配列特異的なハイブリダイゼーション効率の違いによる問題など種々の問題が露呈してきました。次世代シークエンシングでは、これらのハイブリダイゼーションにおける問題が回避できます。次世代シークエンシングにおける課題は、サンプルごとのリード数(新規技術開発にともない、常時増加中)や、特にポジティブセレクションスクリーニングにおいていくつかの特定ヒットが多数存在する場合は存在量の少ないヒットを回収することが困難となることです。例えば、screens for TGF-β-resistant cellsでは、TGF-βリセプターshRNAに対するバーコード配列が全シークエンスの95%を占め、他のTGF-βシグナリングエフェクターの探索が困難です。この場合、次世代シークエンシングを行う前のPCRステップを変更して再度シークエンシングすることで改善できる可能性があります。


Q5. シークエンシングサービスはありますか。その価格を教えてください。

A5. Cellecta社では、サンプル調製、次世代シークエンシング、リード数の算出、および統計解析を含めた一連のサービスを承っています。


F. プール型スクリーニング

Q1. プール型スクリーニングが可能な最大コンプレキシティはどれくらいですか。どのように決定していますか。

A1. 上述の通り、shRNAライブラリーコンプレキシティの上限は、実質25K〜50Kと考えています。これは、1)ライブラリーに存在するshRNAコンストラクトのレプリゼンテーションを保つために、細胞/shRNA比を100以上とする必要があること、2)次世代シークエンシングの限度が10 x 106リード/サンプルであること、によります。


Q2. スクリーニングにおいて推奨するMOIおよび濃縮率

A2. Cellecta社では、通常、MOI=0.2(ネガティブセレクション)からMOI=0.5(ポジティブセレクション)および細胞数/shRNA比100〜200にてトランスダクションを行った後、マーカー選択を行い、1000程度の感染細胞/shRNAを用いて特定表現型におけるセレクションを行っています。表現型セレクションステップにおける濃縮ファクターはスクリーニングにより異なります。ポジティブセレクションスクリーニングでは、通常1000倍を超える濃縮が見られます。一方、ネガティブセレクションスクリーニングでは、「逆向きに選択可能」な濃縮レベルは感染細胞率および十分なshRNA発現レベルによって異なります(例えば、生存能の喪失など)。もし shRNAのバーコードをもつ90%の細胞が、表現型を示すのに十分なレベルでこのようなshRNAを発現する場合、濃縮率は10倍程度になると考えられます。もし、バーコードをもつ細胞の50%程度のみが表現型を示す場合、濃縮率は2倍程度となります。


ウイルスパッケージングを繰り返し実施してもらうことはできますか

Q3. 使用経験のある細胞株

A3. これまでのところ、種々のヒトおよびマウスのがん由来細胞を用いて25種類を超えるスクリーニングを実施しています。


Q4. 細胞株によってライブラリーのレプリゼンテーションはどのように異なりますか。

A4. 細胞株によってライブラリーレプリゼンテーションが大きく異った経験はありません。一方、トランスダクションの際に各オリジナルクローン/shRNAが100個以下となった場合や、感染細胞/shRNA数に対して500倍未満で感染細胞を継代培養した場合にレプリゼンテーションの低下がみられます。


G. 納品商品

Q1. プール型プラスミドを購入した場合、パッケージングは何回程度行えますか。提供されるウイルス粒子のタイターおよび提供量はどの程度ですか。

A1. 通常、> 200 ugのカスタムプラスミドライブラリーDNAをご提供しますので、スクリーニングが少なくとも50〜100回行える程度のウイルス粒子が得られると思います。ウイルス粒子の場合、お客様のご要望に応じてご提供可能です。27Kライブラリーを用いて3回繰り返し実験を行う場合、おそらく1〜2 x 107 ifu程度のウイルスが必要になると思います。


Q2. 提供されるウイルス粒子を使用して何回のスクリーニングが行えますか。

A2. 通常、> 200 ugのカスタムプラスミドライブラリーDNAをご提供しますので、スクリーニングが少なくとも50〜100回行える程度のウイルス粒子が得られると思います。ウイルス粒子の場合、お客様のご要望に応じてご提供可能です。27Kライブラリーを用いて3回繰り返し実験を行う場合、おそらく1〜2 x 107 ifu程度のウイルスが必要になると思います。


Q3. ウイルスパッケージングを繰り返し実施してもらうことはできますか。

A3. 承っております(別途、追加料金を申受けます)。


H. ライセンス/IP

Q1. Cellecta社は実験結果による新規知見に対して何らかの権利を持ちますか。

A1. 受託サービスはCellecta社の誇る遺伝子スクリーニング技術をお客様の研究に役立てて頂くためのサービスですので、ライブラリーおよびデータは全てお客様に帰属します。


Q2. オリゴはAgilent社のプリント技術を利用したものでしょうか。Agilent社への支払い義務等はあるのでしょうか。

A2. Cellecta社ではAgilent社のオリゴプール技術を利用しカスタムライブラリーを構築することに関してAgilent社とライセンス契約を結んでいます。Cellecta社がオリゴプール購入に際してAgilent社に支払う費用には、お客様が研究目的でこれらのライブラリーを使用するライセンス費が含まれています。ただし、第三者への譲与はこの限りではありません。詳細はCellecta-Agilent License Statement(PDF)をご確認ください。


I. 経験

Q1. Cellecta社により構築したライブラリー数

A1. Cellecta社ではこれまでshRNA、mir30、ペプチドおよびshRNA-targetライブラリーなど、200種を超えるライブラリーを何十種類ものベクターを用いて構築してきました。知識量などから、Cellecta社はshRNAライブラリー開発の先駆けかつ最も経験をもつグループといえるのではないかと思います。


Q2. Celleta社のライブラリーを繰返し購入している顧客はどの程度ありますか。

A2. 現在、5〜7つの研究グループと常に研究を続けています。共同研究者のプライバシーを保護し、spamを防ぐためにコンタクト情報はwebに掲載していません。Cellecta社の共同研究者とコンタクトをご希望の方はご連絡願います。一方、数々の製薬企業やバイオテック企業からもご購入頂いていますが、情報開示は致しかねます。



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