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技術情報

記事ID : 17909

PBL Assay Science(PBL)社 ヒトインターフェロンαELISAの血漿マトリックス研究


ELISAによる血清または血漿サンプル中のインターフェロン(IFN)の正確な検出は、異好性抗体および凝固因子などの血清または血漿中の成分からの干渉の影響を受けます。これらの異なる成分からの干渉をマトリックス効果と呼びます。このような場合、ELISAキットの性能を評価するために、IFN不含の血漿中に既知濃度のIFNを添加し、ELISAで検出された濃度と実際の量との差のパーセンテージを測定します。これは添加回収(試験)として知られています。

本研究では、異なる抗凝固剤中の未処理のプール血漿で調製した参照スタンダードカーブを用いた適合性研究について述べます。また、本テクニカルノートには、異なるロットのヒト血漿を用いたヒトIFNαの添加回収に関する結果も報告されています。

■ はじめに

ELISAアッセイは、ターゲット分子(分析物/抗原)とターゲットを特異的に認識する抗体との結合に基づいています。抗原-抗体複合体の存在は、酵素標識二次抗体を用いて検出します。検出は、定量可能なシグナルを生じる基質の添加によって得られます。スタンダードカーブは、さまざまなサンプル希釈液を用いて既知濃度の分析物の希釈シリーズを行うことによって作成されます。
次に、曲線の非線形4パラメータフィットを用いて、同様の希釈液中の未知試料の濃度を計算します。測定される分析物は、血清を含む組織培養培地、未処理の血清や血漿、および塩緩衝液などのさまざまな希釈剤(希釈サンプル)に存在する可能性があります。
測定される分析物が血清または血漿中にある場合、血清タンパク質、異好性抗体および/または凝固因子の存在によりアッセイにおける干渉が生じる可能性があります。これは、偽陽性、偽陰性、または高いバックグラウンドの検出につながる可能性があります。

本研究では、PBL Interferon Source's VeriKine™ Human Alpha Multi-Subtype Serum ELISAキット(品番:41110)を用いることにより、低濃度のヒトIFNαの場合において、実際の濃度の平均70%以上の濃度(=添加回収率70%以上)で、ヒト血漿中の検出が可能であることを示しております。また、低濃度のIFNでの偽陽性や偽陰性は見られず、ブランクに対する高シグナルは存在しないことを示しました。
さらに、サンプル希釈液で50%に前希釈したプール血漿で作成したスタンダードカーブ(500〜12.5 pg/ml)、またはサンプル希釈液で希釈した未処理のプール血漿の2Xスタンダードカーブ(1000〜25 pg/ml)を500-12.5 pg/mlに調製したスタンダードカーブに大きな違いはありませんでした。

■ 方法と解析

スタンダードカーブは、サンプル希釈液にて1000 pg/ml-25 pg/mlで調製し、正常ヒト血漿の3ロット[異なる抗凝固剤(Na-クエン酸、Na-EDTAおよびNa-ヘパリン)で処理したもの]および3ロットのプールから作成しました。加えて、ヒトIFNαA2a低(30 pg/ml)、中(300 pg/ml)および高(800 pg/ml)濃度での添加試験を2つの異なるロットの正常ヒト血漿で調製しました。これら2ロットはプールで使用したロットからのものとは異なります。続いて、Human Interferon Alpha Serum Sample Multi-Subtype ELISAキット(品番:41110-1)にて提供されたプレート上にサンプル希釈液50µl、スタンダード50µlを添加しました。残りのステップは、キットプロトコルに従って実施しました。

別のアッセイでは、プールヒト血漿中の1000〜25 pg/mlからのスタンダードカーブと、サンプル希釈液で希釈した50%プールヒト血漿中の500〜12.5pg/mlからのスタンダードカーブを比較しました。このアッセイでは、プールヒト血漿中の各スタンダード(1000〜25 pg/ml)50µlをプレート上のサンプル希釈液50µlに加え、50%希釈プール血漿の場合は、スタンダード(500〜12.5 pg/ml)100µlを直接プレートに添加しました。

各アッセイ終了後、プレートをVmaxプレートリーダー(Molecular Devices Corporation, CA)で測定しました。(吸光度450nm)Y軸上に平均OD@ 450nmを、(曲線ごとに)X軸上にpg/mlの実濃度をプロットしました。曲線は、非線形4パラメータフィット(図1〜5)を用いて生成しました。カーブフィット式とデータポイントに対する平均OD値に基づいて、推定濃度(バックフィット濃度)を各データポイントに対して決定し、全データをSoftMax Proバージョン5(Molecular Devices Corporation, CA)を用いて分析しました。

図1-3 サンプル希釈液のみ、異なる凝固剤を用いた3つの異なるロットの未処理血漿、 異なる凝固剤を用いた3つの異なるロットをプールした未処理血漿からのスタンダードカーブ(1000-25 pg/ml)

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図1

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図2

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図3

図4-5:サンプル希釈液で調製した500-12.5 pg/mlのスタンダードカーブ、および50%希釈したプール血漿サンプルにおけるスタンダードカーブ(500-12.5 pg/ml)と 未処理血漿サンプルで調製したスタンダード(1000-25 pg/ml)をサンプル希釈液にて希釈し作成したスタンダードカーブ(500-12.5 pg/ml)との比較

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図4

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図5

表1 異なる抗凝固剤を用いたヒト血漿におけるヒトIFNαA2aの添加回収率(%)

> Matrix 30 pg/ml 300 pg/ml 800 pg/ml
Lot D with Na-Citrate 61.2% 102.2% 91.5%
Lot E with Na-Citrate 79.1% 122.5% 127.5%
Lot D with Na-EDTA 60.6% 84.7% 76.81%
Lot E with Na-EDTA 58.6% 86.96% 91.23%
Lot D with Na-Heparin 91.88% 107.68% 94.88%
Lot E with Na-Heparin 98.76% 105.32% 106.53%
Average 75% 101.56% 98.1%

図1-3から、Na-EDTAにおけるヒト血漿中のシグナルは、Na-クエン酸およびNa-ヘパリンにおけるヒト血漿中のシグナルよりも低いことが分かります。この作用はプール血漿でも同様に明らかです。Na-ヘパリン血漿におけるシグナルは3種類の抗凝固因子の中で最も強く、また、サンプル希釈液中のシグナルと比較して、血漿中の成分によるヒト血漿中のシグナルの抑制も明らかでした。

図4-5から、プレート上のIFNαの濃度に一致するOD値に基づいて、プレート上のサンプル希釈液50µlに非希釈プール血漿で調製した各スタンダード(1000〜25 pg/ml)50µlを添加したサンプルからのスタンダードカーブは、使用した抗凝固剤に関係なく50%希釈のプール血漿で調製した各スタンダード(500〜12.5 pg/ml)からのスタンダードカーブと類似していることが観察されました。しかし、異なるドナー由来の血漿中の成分量や個体差のために、2つの曲線間の類似性の程度は、血漿のロットごとに異なる可能性があります。

表1から、IFNαA2a(30 pg/ml)の低濃度添加における添加回収率は、Na-EDTAを含む血漿の場合に最も低く、Na-ヘパリンを含む血漿の場合に最も高いことが観察されます。 全体として、平均添加回収率は許容可能な業界標準の範囲内です。

■ 結論

血漿中のヒトIFNα濃度を正確に測定するためには、未知の血漿サンプルをサンプル希釈液で1:2に希釈する必要があり、1:2希釈前のすべての前希釈は、同じ抗凝固剤を使用した正常なヒト血漿で行う必要があります。
未知濃度のサンプルは、正常なヒト血漿(=サンプルマトリックス;微量の内因性IFNαを有する、または内因性IFNαフリー血漿ロットのプール)で調製されたスタンダードカーブ(1000〜25 pg / ml)から推定する必要があり、サンプルマトリックスで調製したスタンダード50µlをプレート上のサンプル希釈液50µlに加えなければなりません。

品番:41110を用いたヒト血漿からの添加回収率は、血漿のロットによって異なります。最も正確な結果を得るためには、添加回収率は、同じ抗凝固剤を用いてプールした血漿で作成したスタンダードカーブから推定する必要があります。品番:41110の性能は、抗凝固剤としてNa-ヘパリンを用いた血漿検体で最も良好であり、抗凝固剤としてNa-EDTAを用いた血漿検体で最も不良となりました。

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