技術情報
フローサイトメトリーに適した合成コントロールの選び方
ViaComp® Ultra™ XT - Amine と一般的な抗体結合ビーズコントロールの使い分け
はじめに
近年のフローサイトメトリーでは、多数の蛍光色素や生死判別色素 (Viability Dye) を組み合わせた、複雑なスペクトルパネルが広く利用されています。このとき、パネルが複雑になるに伴って、試薬やサンプル品質、染色のばらつきなど、解析結果に影響する要因も増加します。そのため、安定した解析を行うには、ワークフローの標準化と適切なコントロールの選択が重要です。
細胞由来材料で生じやすいばらつきを抑え、安定したコントロールを提供できる合成コントロールは、その有効な選択肢の一つです。一方、合成コントロールにもさまざまな種類があり、用途や再現する特性はそれぞれ異なります。
本記事では、抗体結合ビーズと Cell mimics コントロールを取り上げ、それぞれの特徴と違い、目的に応じた使い分けについてご紹介します。
各コントロールの比較
抗体結合ビーズコントロールと Cell mimic コントロールは、ともにワークフローの標準化に役立ちますが、それぞれが担う役割は異なります。
抗体結合ビーズは、蛍光色素ごとのリファレンス取得に適しており、コンペンセーションやスペクトルアンミキシングに使用できる、再現性の高い陽性・陰性集団を提供します。抗体結合ビーズは、安定した抗体結合と蛍光色素のスペクトル取得に適しており、細胞そのものの特性を再現することを目的としたコントロールではありません。
一方、Cell mimics コントロールは、細胞に近い条件でアッセイを再現できるよう設計されています。散乱光特性や自家蛍光特性、色素への反応特性、抗体結合挙動などを再現することで、生体サンプルに近い条件下で、生死判別色素やアミン反応性色素、抗体などの性能を評価できます。
以下では、一般的な抗体結合ビーズコントロールと Cell mimics コントロール(ViaComp® Ultra™ XT - Amine)のそれぞれの特性を比較します。
一般的な抗体結合ビーズコントロール
蛍光標識抗体の単染色コントロールとして一般的に使用されるビーズです。抗体を結合させることで陽性シグナルを取得し、コンペンセーションやスペクトルアンミキシングの設定に使用されます。
ViaComp® Ultra™ XT - Amine
コンペンセーションやスペクトルアンミキシングのための単染色コントロールとして設計された合成 Cell mimics です。1 滴中に陽性・陰性の Cell mimic があらかじめ混合されており、染色後には明瞭に分離した陽性・陰性集団が得られます。
| 特徴 | ViaComp Ultra XT - Amine | 一般的な抗体結合ビーズコントロール |
|---|---|---|
| 陽性・陰性コントロール | ○ 陽性・陰性の合成 Cell mimics を混合済み | - |
| 対応する抗体の動物種 | マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヒト | - |
| コンペンセーション/スペクトルアンミキシングの単染色コントロール | ○ 抗体 + 生死判別色素 | ○ 主に抗体のみ |
| 生死判別色素への対応 | ○ アミン反応性色素に対応 | 製品により異なる |
| 細胞に近い散乱光・自家蛍光 | ○ ヒト血液細胞に近い特性 | × 一般的にビーズ特有の特性 |
以上のように、一般的な抗体結合ビーズコントロールと ViaComp® Ultra™ XT - Amine は、どちらも蛍光標識抗体のコンペンセーションやスペクトルアンミキシングに使用できますが、対応できる色素や再現する特性には違いがあります。
一般的な抗体結合ビーズコントロールは、安定した抗体結合特性により、蛍光色素のリファレンス取得に適しています。一方、ViaComp® Ultra™ XT - Amine は、蛍光標識抗体に加えてアミン反応性生死判別色素にも対応し、さらに細胞に近い散乱光や自家蛍光特性を備えています。そのため、生存率色素を含むパネルや、生体サンプルに近い条件でのコントロールが必要な場合にも活用できます。
結論
スペクトルサイトメトリーで使用するコントロールには、それぞれ異なる特長と役割があります。パネルの複雑化が進む中、評価したい項目やパネル構成に合わせて適切なコントロールを選択することが、安定した解析結果を得るための重要なポイントです。
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては
使用しないように、十分ご注意ください。























