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研究用

特集:電気泳動

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電荷を持った分子に電流を流すと、その分子は自身の電荷と反対の極に向かって移動します。この現象を電気泳動といい、ライフサイエンス分野の研究においてはDNAやタンパク質といった生体分子を分離、分析するための重要な手法の一つとなっています。

電気泳動の概要図

図1. 電気泳動
電荷を有した分子が、荷電状態により陽極、または陰極へ向かって移動する。

  • 電荷を有する分子 ⇒ タンパク質、核酸
  • 支持体 ⇒ ゲル(ポリアクリルアミド、アガロース)、セルロース膜 等

また、ゲルやセルロース膜等の支持体を用いて電気泳動を行うことで、支持体中の立体的な網目構造により分子の大きさに応じてサンプルは分離されます(分子ふるい効果)(図2)。

electrophoresis_1.jpg

図.2
サンプルは分子ふるいの網目を通りやすいものほど早く進む。
分子量の小さいものは早く進み、分子量の大きいものはゆっくりと進む。

ポリアクリルアミドとアガロースゲル
  ポリアクリルアミド アガロース
目的物質
タンパク質/核酸
核酸
ポアサイズ
小さい
大きい
分子ふるい効果
大きい
小さい
分離能
高い
(DNAは1000bp以下)
低い
(1000bp以上)
一般的に使用する泳動槽
縦型電気泳動槽
水平型電気泳動槽
検出方法
銀染色、CBB、蛍光染色、RI
エチジウムブロマイド、銀染色、RI

 

1. ポリアクリルアミドゲル電気泳動

支持体の一つであるポリアクリルアミドゲルは、アクリルアミドにN’,N’-メチレンビスアクリルアミド(BIS)が挟み込まれるように重合したもので、網目状の立体構造が形成されています。このゲルは化学的に安定で、タンパク質等の分子にほとんど反応性、吸着性を示さないという特長から、主にタンパク質の電気泳動に用いられています。

この網目の大きさは、アクリルアミドとBISとの合計濃度(総濃度:%T)と、総濃度に対するBISの割合(%C)によって決まります。ゲルの分子ふるい能を左右するゲルの網目構造は、%Cを一定にした場合、%Tが高くなるほど網目が小さくなり、また、%Cが約5%の時に最も網目が小さくなり、%Cが5%より高くても低くても網目が大きくなると言われています。%Tと%Cはゲルの強度にも影響し、%Tが高いほど強度は高く、%Tが高くても%Cが低すぎると軟弱なゲルができます。また、10%C以上になるとゲルは不透明になります。

electrophoresis_2.jpg

図.3
均一ゲル(左):ゲル濃度(網目の大きさ)が全て同じ。目的の分子量範囲を広く分離可能。
グラジエントゲル(右):泳動開始部では網目が大きいためサンプルは早く進み、泳動が進むにしたがって網目が小さくなるので徐々に遅くなる。広い分子領域に渡って分離可能。

 

2. アガロースゲル電気泳動

アガロースゲルは、核酸を分離するために最もよく利用されており、その網目構造の大きさから、数十から数百KbpのDNA断片を長さや分子構造の違いで分離することが可能です。アガロースゲル電気泳動は、PCR産物の確認、DNAクローニング実験、DNAフラグメント解析のほか、サザンハイブリダイゼーションやノーザンハイブリダイゼーションを行う上で必須の手法となっています。

商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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