「ウシ ミルク由来エクソソーム」発売のお知らせ
〜DDSツール開発をサポートします〜
このたびコスモ・バイオ株式会社(以下「当社」)は、「ウシ ミルク由来エクソソーム」を発売することといたしましたのでお知らせいたします。
記
1.「ウシ ミルク由来エクソソーム」の概要および用途
エクソソームは、細胞から放出される脂質二重膜で形成される直径50〜150ナノメートル(1ナノメートルは1ミリメートルの百万分の一)程の小胞で、多くの生物では主に唾液や血液、尿、羊水、母乳等の体液中に存在しています。このエクソソームの中にはさまざまな種類のタンパク質やRNAが含まれており、なかでもエクソソームに含まれるマイクロRNA注1)は近年、病気の診断を簡単かつ高感度で行える新たなバイオマーカー注2)として注目を浴び、日本のみならず世界中で活発に研究が行われています。
また、最近の研究では、エクソソームが遠く離れた別の細胞にまで到達し取り込まれることによって、細胞間の情報伝達を行うことが示唆されています。この細胞間の情報伝達の媒介役を担うというエクソソームの特徴を、また、脂質の膜がさまざまな分子を取り込める性状であるという特徴を利用して、エクソソームの中に治療用の薬剤を搭載し、標的細胞や臓器に薬剤を届けるDDS(ドラッグデリバリーシステム)ツールとしての研究も行われております。
このたび当社が発売する研究用「ウシ ミルク由来エクソソーム」は、国立がん研究センター研究所において得られた研究成果※を応用して当社が開発した製品で、健康なウシから採取した生乳から超遠心分離法によって調製したエクソソームです。in vitro注3)からin vivo注4)まで幅広い実験にご利用いただけます。
※
事業名:日本医療研究開発機構(AMED) 革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業
課題名:エクソソーム改変技術を用いた新規ドラッグデリバリーシステムの開発
研究代表者:国立がん研究センター研究所 分子細胞治療分野 吉岡 祐亮 氏
当社は、平成28年7月25日のプレスリリースにてお知らせいたしましたように、ヒトエクソソーム検出用モノクローナル抗体(抗CD9、抗CD63及び抗CD81)に関する特許権譲受契約を塩野義製薬株式会社と締結しており、これら抗体を含め、近年急速に拡大しているエクソソーム研究に必要な新規試薬の開発を積極的に行っております。今回発売する「ウシ ミルク由来エクソソーム」もラインアップに加え、これらの製品を国内の学術研究向けばかりではなく、製薬会社、臨床検査薬開発会社などの民間企業をはじめ、世界に向けて販売してまいります。
2.製品の販売開始日および希望販売価格
販売開始日: | 平成29年8月30日 |
希望販売価格: | 100μLx10本 30,000円(税別) 1mLx10本 100,000円(税別) |
3.業績見通しに与える影響
当社グループの収益基盤の拡大に繋がるものと考えておりますが、当社グループ全体の当面の業績に大きな影響はありません。
以上
【用語解説】
注1) マイクロRNA
生体内に存在する21-25塩基長の短いRNA。遺伝子発現を調節していることが知られており、ヒトには約2,500種類のマイクロRNAが存在している。
注2) バイオマーカー
さまざまな疾患の進行度、存在を示す指標となる生体分子等。
注3) in vitro
「試験管内の」という意味で、試験管や培養器などの中で体内と同様の環境を人工的に作り、ヒトや動物の被検物質と薬物等の反応を検出する試験のことを指す。
注4) in vivo
「生体内での」という意味で、マウスなどの実験動物を用い、生体内に直接被験物質を投与し、生体内や細胞内での薬物等の反応を検出する試験のことを指す。
「ウシ ミルク由来エクソソーム」発売のお知らせ PDF形式 117KB 2017年8月29日 |