トランスフェクションが困難な非分裂細胞の導入効率を向上 Nupherin™ トランスフェクション補助試薬

Nupherin™ トランスフェクション補助試薬は、トランスフェクションが困難な非分裂細胞の導入効率を向上させる試薬です。

効率的なリポフェクションの鍵は、トランスフェクションされたDNAが核に入るかどうかです。Nupherin™ 試薬を用いることで、DNAを核内に効果的に輸送し、驚くほどトランスフェクション効率をあげることができます。リポフェクションを行う前にNupherin™ とDNAを混合することで、市販のカチオン性脂質試薬の性能を高めます。

• Nupherin™ が核への取り込みを増強
  効率的なトランスフェクションにとっての主な障害は、DNAの核への取り込みが不十分なことです。トランスフェクション作用は細胞分裂時に実現されます。なぜなら有糸分裂中に核膜が破壊されることで、十分量のプラスミドが核に侵入できるからです。分裂していない状態の細胞では核膜が破壊されておらず、また核膜孔複合体内外輸送が低率なため核へ十分量のプラスミドが入りにくく、その結果トランスフェクション効率はとても低くなります。これにより、非分裂細胞を用いて行われる過剰発現実験の種類は制限されます。非分裂細胞内での過剰発現操作にはアデノウイルスベクターあるいはバキュロウイルスベクターが用いられますが、これらの試薬はベクターの構築においてかなりのコストを必要とします。
  Nupherin™ はこれらに代わる簡単で安価な手法で、非分裂細胞にも利用可能な過剰発現系をご提供します。
  Nupherin™ 試薬は、非古典的な核局在配列と融合したカチオン性ペプチドを成分としています。このカチオン性ペプチドはDNAとペプチドの静電相互作用を促進し、核局在配列は内因性の核輸送機構を利用してDNAを核に輸送します（図1）。その結果、非分裂細胞内で効率的にトランスフェクションが起こります。
• 2段階による手順
  Nupherin™ 試薬は使用方法が簡単で（図2）、市販のカチオン性脂質トランスフェクション試薬にご使用いただけます。血清フリー、フェノールレッドフリーの培地中で0.5-3.0μgのDNAを3-20μLのNupherin™ と混合し、15分間インキュベーションするだけの簡単操作です。この操作により導入するDNAは、ユーザープロトコールに従ってトランスフェクションできる状態になります。Nupherin™ は、Fugene™、Lipofectin™、Lipofectamine™、Geneporter™などをはじめとする市販のカチオン性脂質トランスフェクション試薬によく適合します。
• トランスフェクション効率が10倍から100倍に
  Nupherin™ 試薬を使うことで、トランスフェクション効率が劇的に向上することが期待できます。非分裂細胞において劇的な結果が見られるだけでなく、Nupherin™ は多くの細胞種においてもトランスフェクション効率を向上させます（図3）。これまで非分裂細胞において、ドミナント・ネガティブな過剰発現、レポーター遺伝子の発現、安定なトランスフェクション細胞の作出などのアプローチが挑戦されてきましたが、現在はNupherin™ を用いることで簡単に行えます。さらに、移植用のトランスジェニック細胞も、ウイルスベクターを使うことによる免疫的な問題を心配せずに作出できます。ユーザーがこれらの研究実験を研究室の実験可能な範囲で行いたい、あるいは単に細胞のトランスフェクション効率を向上させたい時に、Nupherin™ がそれを可能にします。

図1：プラスミドDNAを核内へトランスフェクション
（左）Nupherin™ 無し
（右）Nupherin™ 有り
Nupherin™ により細胞質でのプラスミドDNAの分解が抑制され、効果的にトランスフェクションできる

図2：プロトコール概要
Nupherin™ を添加したトランスフェクションは迅速かつ簡単に行える。

図3：Nupherin™ 試薬を使うことで、トランスフェクション効率が劇的に向上することが期待できる。
非分裂細胞において劇的な結果が見られるだけでなく（図３A）、Nupherin™ は多くの細胞種においてもトランスフェクション効率を向上させる（図３B）。

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