細胞生存率アッセイ
細胞増殖の測定およびモニタリングは、細胞ベースの研究に取り組む研究室では不可欠な技術です。細胞増殖測定の技術によって、細胞培養条件の最適化、ならびにサイトカイン、成長因子、またはホルモン活性の決定を行うことが出来ます。さらに重要なことは、毒性試験における抗がん剤の細胞増殖抑制能、薬物スクリーニングでの治療薬剤の有効性、細胞介在性細胞傷害は、細胞増殖の測定・モニタリングによって評価することできます。
細胞生存率は細胞の代謝活性や細胞膜の完全性に特徴付けられます。代謝活性を測定する方法の一つは、MTT などのテトラゾリウム塩で細胞をインキュベートすることです。MTTは、代謝活性を有する細胞によってホルマザン産物へ切断されます。緑色蛍光の カルセイン AM (Calcein AM)は、細胞生存率の別の指標である細胞内のエステラーゼ活性を測定できる試薬です。生細胞は、非蛍光性で細胞透過性のカルセインAM(calcein acetoxymethyl)色素を、高い蛍光を発するカルセイン(calcein)へと変換します。切断されたカルセインは、細胞中にとどまります。一方、エチジウムホモダイマー(Ethidium homodimer;EthD-1)は、死細胞を測定するための優れたマーカーです。EthD-1は、損傷した細胞膜に浸透することができる赤色蛍光色素です。EthD-1は、ssDNA、dsDNA、RNA、オリゴヌクレオチド、および triplex DNAと結合すると、40倍増強した蛍光を発します。色素は、細胞との相互作用前においては事実上非蛍光性であるため、バックグラウンド蛍光は非常に低レベルです。この 検出方法は、従来の51Cr放出アッセイやトリパンブルー法と比較して、細胞生存率または細胞毒性を決定するためのより効率的で、安全で、安価で、より感度の高い手法です。