重要な細胞内メッセンジャーであるCa2+の役割を研究するためには、その濃度を定量的にモニターすることが不可欠です。最も広く用いられているCa2+検出法は、Roger Tsienらが開発した蛍光カルシウムインジケーター(指示薬)を用いる方法です。
カルシウムインジケーターは、BAPTAカルシウムキレート剤の構造に蛍光体をカップリングしたものです。カルシウムがインジケーター分子のキレート部分に結合すると、蛍光色素のスペクトルシフトおよび、または色素の蛍光強度が増加します。Ca2+解離定数(Kd)またはCa2+応答範囲、励起/蛍光波長、スペクトルシフト、および相対蛍光量子収率に応じて、様々なインジケーターがあります。
実験系、用いる機器の設定、その他の蛍光プローブを考慮して、最適なカルシウムインジケーターを選択してください。指標Kd値から通常0.1 Kd〜10 Kd のCa2+濃度反応の推定値を得ることができますが、in vitroで測定したKd値は、脂質および蛋白質によるイオン強度、pH、粘度、およびCa2+緩衝能の違いにより、細胞内の値とかなり異なる可能性があるため、注意が必要です。
二波長によるレシオメトリック? 単一波長による非レシオメトリック?
レシオメトリックインジケーターは、カルシウムに結合すると励起波長、蛍光波長のいずれか、またはその両方がスペクトルシフトします。Ca2+濃度は、2つの異なる励起および蛍光設定でカルシウムインジケーターの蛍光を測定し、その二波長の比によって決まります(励起および蛍光設定は、高濃度のCa2+、Ca2+なしでの最大値に対応する設定)。これらのインジケーターは内部制御されているという利点があり、そのため、試料間での色素ローディングの違いや褪色によるアーチファクトを避けることができます。レシオメトリック測定には、特殊な画像設定またはフィルターキューブが必要な場合があります。
非レシオメトリックなインジケーターは、カルシウムが結合すると、蛍光強度の増加を示し、励起/蛍光波長のシフトはありません。
細胞膜透過性AMエステル
カルシウムインジケーターがsalt formの場合、インジケーターは水溶性で膜不透過性のため、細胞内にロードするためにはマイクロインジェクションする必要があります。AMエステルフォームは膜透過型のインジケーターで、それ自体はイオンと結合しません。しかし、いったん細胞内に入るとエステラーゼによって加水分解されイオンインジケーターが放出されます。そのため、細胞または組織をAMエステルフォームのインジケーターを含む緩衝液とインキュベートするだけで、インジケーターを細胞にロードすることができます。
Cosmo Bio would like to acknowledge and thank the Biotium, Inc. for providing Calsium indicator information presented here.
コスモ・バイオでは、定番品からメーカー独自開発品まで多数のカルシウムインジケーター(指示薬)を取り扱っています。
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