細胞内カルシウムの測定に Biotium社　カルシウムインジケーター（指示薬）

Fluo-3は、Ca²⁺が結合すると506 nmを吸収し、526 nmの蛍光を出します。一般的に使用されている488 nmのレーザーで最適に励起することができるため、もっとも広く使用されている蛍光インジケーターの1つです。Fluo-3は非レシオメトリックな単一波長の蛍光インジケーターで、Ca²⁺が存在しないときには蛍光を出しませんが、Ca²⁺の結合で少なくても40回蛍光が増加します。Fluo-3はFura-2やIndo-1に比べてCa²⁺への結合が弱く（Kd値が高い）ので、Ca²⁺スパイク中の高濃度の一過性のCa²⁺濃度を測定に適しています。

Fluo-4は2つの塩素置換基がフッ素で置き換えられたFluo-3のアナログで、488 nmでの蛍光励起が増大し、強い蛍光を出します。

Fura-2は、広く使用されているUV励起の蛍光カルシウムインジケーターですが。Ca²⁺が結合すると、最大励起波長が363 nm（Ca²⁺ free）から青色の335 nm（Ca²⁺ saturated）にシフトします。一方、最大蛍光波長は、〜510 nmであまり変化しません。通常、340 nmと380 nmで励起し、蛍光強度の比率をCa²⁺濃度の算出に使用します。Fura-2は、様々な細胞やアプリケーションに使用されており、特に顕微鏡でのイメージングによく用いられています。

Indo-1はUV励起の蛍光カルシウムインジケーターで、アルゴンレーザーの351-365 nmのスペクトル線で最適に励起されます。インジケーターの最大蛍光波長は、〜475 nm（Ca²⁺ free培地）から〜400 nm（Ca²⁺ saturated）にシフトします。Ca²⁺濃度は、2波長の蛍光強度の比率で決定されます。Fura-2と同様にレシオメトリックな測定技術なので、色素分布の不均一や退色の問題を回避することができます。Indo-1はフローサイトメトリーで広く使用されています。

Furaptra（別名：mag-fura-2）は1.9 ｍMのKd値を持つマグネシウムインジケーターとして開発されました。しかし、1μMから100 μMの高Ca²⁺濃度での優れたカルシウムインジケーターでもあります。Fura-2とfuraptraは同じ発色団であり、Ca²⁺濃度の変化に応じて同様のスペクトラル変化をします。

Rhod-2はローダミンと同じような発蛍光団を持つ蛍光カルシムインジケーターです。Rhod-2は、Fluo-3と同じく、Ca²⁺濃度の変化による蛍光波長の変化がありません。Ca²⁺が結合前は非蛍光で、Ca²⁺濃度が上昇すると蛍光を発します。Fluo-3と比べて、Rhod-2は蛍光が弱くCa²⁺による蛍光の増加が低いインジケーターです。

Rhod-590は、fluo-3よりも長波長の595 nmの吸収波長と616 nmの最大蛍光波長をもっています。Fluo-3と比べてCa²⁺による蛍光強度の増加が小さいインジケーターです。

図13：Rhod-590, Tripotassium Salt