●パフォーマンス
CORALLは、優れたカバレッジおよびパフォーマンスを有し、高いストランド特異性、ERCC input-output相関およびアラインメント率を示します(表1)。CORALLは、ヒト、マウス、ミニブタ、ハムスター、植物、細菌等の様々な動物種、FFPE RNAのような分解の進んだRNAを用いて試験されています。
表1 CORALLライブラリのペアエンドマッピングデータ
~2ngのrRNA除去UHRR (RiboCop V1.2キット、Lexogen)からライブラリを調製し、NextSeq500(PE150)を用いてシークエンス解析を行った。リードはヒトリファレンスゲノムGRCh38.94に対しアラインメントし、Mix2バージョン1.4.0.12 (Lexogen)1,2で定量した。
a.Coverage CoDは、理論的なカバレッジと実験的に観察されたカバレッジとのばらつきを示す(値が小さい程、ばらつきが小さい)
b.featureCountsを用いて数値化した、タンパク質コード領域、アンチセンス、lincRNAのパーセンテージ
●カバレッジ
CORALLで調製したライブラリはトランスクリプトームワイドで、均一なリードカバレッジを有し、他社製品と同等の性能を発揮します (図2)。
図2:標準化したカバレッジ(whole transcriptome)
RseQCが提供するgbc-toolを用いて解析した。カバレッジは、トランスクリプトーム全体をカバーしている。
●遺伝子検出
CORALL は従来のキットに匹敵する優れた遺伝子検出率を有します(図 3A)。95% の遺伝子は CORALL と 2社のキットで共通して検出されました(at > 10 counts per million(CPM)、図 3B)。トランスクリプトームを忠実に表し、感度の高い発現プロファイリングが可能です。
図3:遺伝子の検出
A)遺伝子の検出率
検出された遺伝子の数をエクソンにマッピングされたリードの総数に対してプロットした(featureCountsにて算出)。
B)検出された遺伝子の重複
CORALLと他社キットでを用いて調製したライブラリから検出された遺伝子の重複をベン図で表した(normalized expression levels >10 CPM)。
●アイソフォーム検出
CORALLはLexogen社のSpike-In RNA Variant controls (SIRVs) で示すような正確なアイソフォーム検出が可能です。SIRVはトランスクリプトームの複雑性を模した69種類の合成RNAのセットです。CORALLは予想カバレッジを再現し(図 4、灰色線)、アイソフォームや選択的スプライシングの解析に適していることが示されました。
図4:SIRV6のカバレッジ
Lexogen社SIRV-Set3を、ライブラリ調製前のRNA試料にスパイクインした。リードをSIRVリファレンスゲノム1, 3にマッピングし、遺伝子レベルで可視化した(上図)。SIRV6遺伝子の全18転写産物のエキソン-イントロン構造を下図に示す(アンチセンス転写産物を青色で示す)。
●優れた End-to-End カバレッジ
CORALL は転写開始部位に対するカバレッジが優れています。リードカバレッジを転写開始点(TSS)既知の ERCC スパイクインコントロールを用いて解析しました。CORALL で調製したライブラリは、他社キットを用いて調製したライブラリよりも正確に ERCC の転写開始点にマッピングされました(図 5)。
図5:ERCC の転写開始点に対するカバレッジ
検出された ERCC に対するリードのカバレッジを示した。転写開始点(TSS)の位置を赤色の点線で示す。
FFPE サンプルでのパフォーマンス
CORALL は FFPE のような分解の進んだサンプルでもご使用いただけます。遺伝子検出率は、マウス脾臓組織の新鮮凍結サンプル、FFPE サンプルで同等の結果を示しました(DV200 = 6%)。定性分析では、新鮮凍結サンプルと FFPEサンプル間で検出された遺伝子の大部分がオーバーラップしており(> 10 CPM)、FFPE サンプルのような RNA クオリティが低いサンプルでも一貫性のある性能を発揮することを示しています(図 6)。
図6:新鮮凍結サンプルと FFPE サンプルの遺伝子検出率
A) 新鮮凍結(FF)または FFPE マウス脾臓組織から採取した RNA サンプルでの遺伝子検出率。検出された遺伝子の数をエクソンにマッピングされたリードの総数に対してプロットした。
B)> 10 CPM で検出された遺伝子の重複を示した。