DriverMap™ヒトゲノムワイド標的発現プロファイリングアッセイにより、1アッセイで約19,000のヒトタンパク質コード遺伝子の発現レベルを同時に測定することができます。DriverMapアッセイでは、マルチプレックスRT-PCR増幅と次世代シークエンシング(NGS)定量を組み合わせることにより、トータルRNAから遺伝子発現を簡便に高感度かつ定量的に測定できます。
特徴 | 利点 |
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Multiplex RT-PCR-NGS method | ・rRNAやグロビン除去の必要なし |
・直接 total RNAから解析可能 | |
RNA 必要量 | ・最低10 pg total RNA (single-cell)から解析可能 |
・1 ng - 50 ng が最適 | |
感度/ダイナミックレンジ | ・最大 105 倍のダイナミックレンジの線形データ |
・RNA-Seq や GeneChip の 10-100 倍以上の感度 | |
特異性 | ・バックグラウンドなし (sequencing data) |
・マウスRNAの交差増幅が非常に低い | |
Single-tube プロトコル | 96 サンプル/1 日 (実働 2 時間) |
結果のバリデーション | 従来のqRT-PCRを DriverMap と同じPCRプライマーを用いて実施 |
DriverMapアッセイの開発には、single multiplex PCR反応と組み合わせてヒトゲノム中の19,000個のタンパク質コード遺伝子のそれぞれから代表的な転写配列を増幅することができるプライマープールを同定するために、数千個のプライマーセットの広範な最適化と実験的検証を行っています。その結果、DriverMapアッセイは他の手法のようにmRNAの濃縮は必要とせず、凍結組織、穿刺吸引細胞(FNA)、全血、末梢血単核細胞(PBMC)および患者由来異種移植片(PDX)分離株等のtotal-RNA が DriverMap 分析に適しています。DriverMapアッセイで使用される検証済みのプライマーは最小限のバックグラウンドで、標的転写物アンプリコン配列を特異的に増幅します。そのためrRNAまたはグロビン成分を除去することなく、血液から全RNAを直接アッセイすることが可能です。さらにPDXサンプル中のマウスRNAバックグラウンドに対して、ヒト転写産物を特異的に増幅できます。
図.1 DriverMap ワークフロー
組織、血液、細胞などから抽出したtotal RNAを用いてPCR可能です(mRNA濃縮、グロビン除去の必要なし)。検証済み最適化プライマーを用いたマルチプレックスPCR反応により、転写物の特定固定長領域を増幅します。
図.2 検出遺伝子の相関関係
ヒトユニバーサルRNAと脳由来total RNA間において、検出された遺伝子の相関関係(R2 value)がtotal RNA投与量10 pgから50 ngの全域にわたり一貫性がみられた。
図.3 RNA-Seq vs DriverMap Assay Heatmap
DriverMapはRNA-Seqより100倍高感度であるため、発現量の低い遺伝子をより多く検出可能です。また、RNA-seq よりも広範なダイナミックレンジのため、発現量が多い転写物において発現量に差のある遺伝子はその差をよりよく検出できます。
Driver-Map™のオンターゲットプライマー
DriverMapの最大の特徴はマルチプレックスPCRターゲット増幅ステップの効率と特異性です。単純なPCR反応では許容されるプライマーの二次構造、非特異的結合、結合の非効率性およびプライマー間の相互作用を含む様々な要因は、数千個の鋳型を増幅しようとするマルチプレックスPCR環境においては重大な問題となります。そのためDriverMapアッセイの開発には、洗練されたプライマー設計作業と反復試験プロセスが必要でした。ハイスループットのバイオインフォマティクスパイプラインを開発し、非常に複雑なマルチプレックス反応で数千種類のPCRプライマーを実験的に検証し、19,000種類のヒトタンパク質コード遺伝子すべてに対して最適化されたゲノムワイドマルチプレックスPCRアッセイを作製しました。
図.4 DriverMap™アッセイのためのRT-PCRプライマー開発
複数回のマルチプレックスRT-PCR/NGS実験を連続的に行い、各タンパク質コード遺伝子を標的とするPCRプライマーより、オンターゲット効果が高く、オフターゲット活性の低いプライマーを実験的に選択しました。これより、少なくとも95%のmRNA群を確実に測定可能なゲノムワイドPCRプライマーセットを開発しました。
全てのプライマーは二量体形成を減少させるためにGCAリッチ配列(最小T含量を有する)を有しています。また、高い特異性(rRNA、反復配列、およびグロビンRNAを含む他遺伝子に対する2つ以上のミスマッチ)、高いTm(63℃ 以上)、および小さなサイズのアンプリコン(80-250-n)を指標に選択しています。各標的mRNAについて、最良の5〜20個のPCRプライマーを合成し、その後、鋳型として一組のユニバーサルコントロールヒト組織または細胞のRNA、マウスネガティブコントロールRNA、およびポジティブコントロール DNA を用いて、複数のマルチプレックスRT-PCR反応を実行しました。
図.5 DriverMapのために最適化された特異的プライマーの実験検証
最高の効率、感度、および特異性を有し、異なるmRNAアイソフォーム(通常は3'-ORF領域)の保存部分を標的とするプライマーの1セットのみを各mRNAについて選択しています。さらに、非常に豊富な転写産物について特異性の低いプライマーを選択し、高発現した標的転写産物の過剰シーケンス問題を解決することを可能にしました。
- 組織、細胞、血液由来の total RNAから直接解析できる1 tube & 1 day 発現プロファイリング
- 少量の転写産物も検出できる包括的なプロファイルのためのマルチプレックスRT-PCR増幅
- 少量のtotal RNAサンプル(最低 10 ng) でも再現性の高いデータ
- 機能的に検証されたGCAリッチなPCRプライマーがプライマーの二量体化と交差反応性を最小限に抑え、特異性と効能を最大限に高める
- 低および中発現量の転写産物をより多く検出するために、マイクロアレイやRNA-seq発現解析法よりも広いダイナミックレンジと、10〜100倍の感度
- Spike-in External RNA Controls Consortium (ERCC) のキャリブレーションスタンダードが、データQCおよび標準化のために含まれています。
アプリケーション例
- 全血サンプルからのバイオマーカー探索
rRNAやグロビン除去の必要なく全血由来 RNA (PAXgene 等) を使用可能 - 循環腫瘍細胞 (CTC) 分析
増幅工程が必要ありません - 腫瘍細胞構成解析
腫瘍/間質細胞の構成および浸潤性免疫細胞型を評価するための包括的発現プロファイル - 患者由来の異種移植(PDX)モデル
モデル動物のバックグラウンド細胞からヒト細胞を分離することなく、ヒト特異的発現プロファイルを取得可能 - 細胞株の発現解析
96ウェルまたは384ウェルの単一チューブプロトコルにより、化学的および遺伝的摂動メカニズムの同定が容易 - 希少で限られた細胞集団の発現プロファイリング
FACS、磁気ビーズまたはマイクロ流路、細針生検、およびレーザーキャプチャーマイクロダイセクションによって単離された少数細胞での包括的な分析
標的遺伝子発現プロファイリングパネル
癌および炎症性疾患、細胞シグナル伝達、細胞系統、分化および免疫活性化に関する遺伝子を特異的に増幅するパネルキットもラインナップしております。
パネル | 概要 | 遺伝子数 | ソース |
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Human Cell Marker Panel | 獲得/自然免疫細胞、造血前駆細胞、上皮細胞、細胞外マトリックス細胞など、64種類の細胞タイプについて約 1,000 の出版物から選抜された遺伝子をターゲットにしています。 | 1,285 |
ENCODE, FANTOM, ImmGen, Human Primary Cell Atlas (HPCA), Blueprint & IRIS projects |
Human Hallmark Signatures Panel | 特定の明確に定義された分子経路、生物学的状態、または疾患プロセスに関与し、MSigDB に記載されている遺伝子をまとめたものです。 | 4304 |
Molecular Signatures Database (MSigDB) |
Human LINCSx Panel | 細胞が薬物や他の摂動剤にさらされたときに起こる変化を検出するために、最も有効なLINCSデータベースのランドマーク遺伝子の発現を評価します。 FDA承認薬の標的に関連する遺伝子、ならびに関連する標的およびマーカーが含まれます。 | 1,573 |
Library of Integrated Network-Based Cellular Signatures (LINCS), DrugBank |
Human Pan-Cancer Pathway Panel | 癌においてしばしば調節不全になっているパスウェイの遺伝子レベルを測定します。 標的遺伝子は、科学出版物、NCBI GEO、およびCellecta 社のプロファイリング実験(DECIPHER? -? http://www.decipherproject.net)からのトランスクリプトームデータのキュレーションによって同定されました。 | 2,094 |
Cancer literature, NCBI GEO, DECIPHER project |
Human Transcription Factor Signatures Panel | 343の主要な転写因子の遺伝子発現とそれらの既知の標的遺伝子の活性を分析できます。343の異なる転写因子を 2,649 の異なる標的遺伝子に連結することによって、6,401の可能性のある調節経路に関するデータが得られます。 | 2,649 |
JASPAR, PAZAR, TRANSFAC, TRED, TRRD databases |