記事ID ： 43651

Endotoxin定量キット
EndoAlert™エンドトキシンプレートキット/EndoAlert™エンドトキシン ES プレートキット

メーカー名：Rockland Immunochemicals, Inc.

水溶液中の細菌性エンドトキシンをカイネティック比色法により定量するアッセイキットです。
細菌性リポ多糖のエンドトキシンは、ほとんどのグラム陰性菌において細胞壁の主要成分の一つです。本キットは少量のエンドトキシンを検出可能なため、生体試料や環境試料の完全性を評価に有用です。検出範囲は0.01～10エンドトキシンユニット（EU / mL）です。

背景

エンドトキシンとは?

エンドトキシンの存在は、細胞学者のリヒャルト・フリードリヒ・ヨハネス・プファイファによって発見されました。彼の場合、コレラ菌の一部が中毒を引き起こす可能性に気が付きました[1]。
今日、この効果はグラム陰性菌の外膜（OM: outer membrane ）の重要な構成要素であるリポ多糖（lipopolysaccharide : LPS)を介していることが知られています（図1）。このことは、名前から示されるものとは反対に、エンドトキシンは細菌の外側で発見されたことを意味します。

図1
Source: Rockland Immunochemicals, Inc. Created by BioRender.com

古典的なリポ多糖構造は、種間で大きく異なるO側鎖（O抗原）やコアオリゴ糖として知られている中間領域、外膜に固定された糖脂質（リピドA）で構成されています。O抗原の有無により、LPSが粗いか滑らかであるかが決定します。

アッセイ原理

本キットは、1968年にLevinおよびBang氏によって最初に記述された反応の定量法です。これは、エンドトキシンがカブトガニ血球抽出成分(LAL)の因子C (Factor C)を活性化し、同様に因子B (Factor B) も活性化する酵素カスケードに基づいています。因子Bは酵素前駆体を活性化させ、さらに凝固酵素前駆体が凝固酵素を活性化させます。無色の合成ペプチド基質を、凝固酵素によって加水分解させ、精製された黄色物質を405nmで分光光度計によって測定します。
呈色反応による色の濃さは試験サンプル中のエンドトキシンの量に比例し、検量線を使用して計算できます。

参考文献
[1] Pfeiffer, R. (1892). Untersuchungen über das Choleragift. Zeitschrift für Hygiene und Infektionskrankheiten, 11, 393-412.

構成内容

表1
品名	EndoAlert™ エンドトキシンプレートキット	EndoAlert™ エンドトキシンES プレートキット
品番	KMA-0100	KMA-0200
発色性ライセート	●	●
エントドキシンスタンダード	●	●
LAL試験用水(LRW)	●	●
エンドトキシン特異的再構成用バッファー	-	●
96ウェルマイクロプレート	●	●

どちらのキットも405nmで測定する発色性LAL試薬に基づいており、gel clotと比べて高感度で定量性があります。

EndoAlert™ Endotoxin Plate Kit：
LAL試験用水で再構成し、LPS（エンドトキシン）ならびにβ-Dグルカン（真菌汚染物質）の両方と反応します。

EndoAlert™ ES Endotoxin Plate Kit：
因子G経路（真菌）を不活性化し、遮断するエンドトキシン特異的再構成バッファーを用いて再構成し、因子C経路（LPS結合タンパク質）のみを残すことでエンドトキシン特異的なアッセイが可能です。真菌の細胞壁成分である（1,3）β-Dグルカンには反応しません。

【注意】
キット添付のエンドトキシンスタンダードに基づいてエンドトキシン量を算出します。各サンプル中のエンドトキシンの由来となるグラム陰性菌の種類に特異的なものではございません。既知由来のエンドトキシン測定時に本キットによる試験の精度を向上させるためには、別途その種の精製済エンドトキシンをご用意の上、ご使用ください。