記事ID ： 12947

アルギニン＆リシンメチルトランスフェラーゼ阻害剤

メーカー名：Enzo Life Sciences,Inc.

アルギニン/リシンメチルトランスフェラーゼの阻害剤をご紹介します。

背景

リシンのεアミノ基もしくはアルギニンのグアニジン基のメチル化は、S-アデノシル-L-メチオニンをドナーとしてメチル基が移動することにより起こります[1,2]。リシンのメチル化では1～3個のメチル基が修飾されますが、アルギニンのメチル化では1～2個のメチル基が左右対称／非対称に修飾されます（図1を参照）。多数のリシン残基やアルギニン残基がヒストンN末端に存在し、その多くが生体内ではメチル化されています。そのメチル化の度合いは多様であり、これこそが染色体の膨大な量の遺伝子発現制御情報の源となっています。ヒストンのリシンのメチル化はSETドメインを含む蛋白群や酵母のDot1、その哺乳類のホモログ蛋白Do1Lなどによって触媒されています[3,4]。アルギニンのメチル化は、ヒストンメチル基転移酵素の一種類であるPRMTによって行われます[5]。

図1 ヒストンのアルギニン残基とリシン残基のメチル化

図1 ヒストンのアルギニン残基とリシン残基のメチル化
メチル化アルギニンには、メチル基が一つ修飾されたものと、左右対称／非対称で二つ修飾されたものの、三パターンがあります。メチル化リシンには、1～3個のメチル基が修飾されたものがあります

図2 メチル化ヒストンの役割

図2 メチル化ヒストンの役割
Adapted from: The many faces of histone lysine methylation: M. Lachner and T. Jenuwein; Curr. Opin. Cell Biol. 14, 286 (2002)

参考文献

The diverse functions of histone lysine methylation: C. Martin & Y. Zhang; Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 6, 838 (2005)
The many faces of histone lysine methylation: M. Lachner & T Jenuwein; Curr. Opin. Cell Biol. 14, 286 (2002)
Histone methyltransferases in tumor suppression: K.C. Kim & S. Huang; Cancer. Biol. Ther. 2, 491 (2003)
Structure and function of histone methyltransferases: R.C. Trievel; Crit Rev Eukaryot Gene Expr 14, 147 (2004)
Genome regulation by polycomb and trithorax proteins: B. Schuettengruber, et al.; Cell 128, 735 (2007)