抗原全体の配列からペプチド合成の配列をデザインします。
デザイン作業には抗原配列情報が必要になりますので、アクセッション番号か全長配列情報をご用意ください。
価格算出だけであれば解析対象配列の全長アミノ酸数の情報のみで結構です。
ペプチド合成本数は、解析対象配列の全長、ペプチド合成の残基数、オーバーラップ残基数で決定されます。
ペプチド合成料金は、1本あたり9,000円〜となりますが、合成残基数と純度設定によって単価設定が変わります。詳細はお見積り時に説明させていただきます。
ペプチド合成デザインのイメージ



【ペプチド合成本数について】
ペプチド合成本数は、合成するペプチドの残基数ではなく、オーバーラップ残基数によって大きく影響を受けます。
一例として、抗原全長が100残基だった場合にペプチド合成を15、20、30残基、オフセット残基数を1〜5および10で設定した時のペプチド合成本数を算出しました。(下記表5参照)
表5.100AAの時のペプチド合成本数(例)
全長アミノ酸数 |
ペプチド合成残基数 |
オーバーラップ |
ペプチド合成本数 |
100 |
15 |
14 |
86 |
13 |
43 |
12 |
29 |
11 |
22 |
10 |
18 |
5 |
10 |
20 |
19 |
81 |
18 |
41 |
17 |
27 |
16 |
21 |
15 |
17 |
10 |
9 |
30 |
29 |
71 |
28 |
36 |
27 |
25 |
26 |
19 |
25 |
15 |
20 |
8 |
こちらを参考に、ペプチド合成の目安としてください。
(抗原全長が1,000残基の場合は、上記の表の10倍程度という目安に使用できます)
【エピトープマッピングに使用するペプチド純度について】
標準仕様では純度保障の設定をせず、TOF-MSで産物の中に確実に目的のペプチドが含まれていることを保証します。目安としては50%以上ということが多いです。ペプチド合成後の精製や純度測定を行わないため安価に試験設計でき、定性試験となるスクリーニングでは機能するという考えです。
オプションにて純度保障(50%、80%、90%、95%)に有償で変更が可能です。価格の目安はこちらから「合成収量1mg」の単価をご確認ください。
※合成納期については合成する本数によりますので都度のご連絡となります。
【設計するペプチド残基数、オーバーラップ数の考え方について】
通常、抗原エピトープは線状エピトープの場合5〜10残基と考えられています。そのため、1stスクリーニングのペプチド鎖長は10〜15残基を設定することが多いですが、鎖長を伸ばしてエピトープ全体をカバーするように設計し、ヒットする確率を上げようとする考え方から、20〜30残基で設計することをお勧めしています。メリットデメリットも含め、お見積の際に説明をさせていただきます。
オーバーラップについてはできるだけ多く取るほうが当然ヒットする確率が上昇しますが、ペプチド合成本数が増えます。
Step2: エピトープマッピング用ELISAプレート作製
Step1で合成したペプチドをELISA用プレート(96ウェルプレート)に固相化します。
固相化するペプチドは10µMに調整し100µL/ウェル使用します。分子量2000の場合、1ウェルあたり2µg使用する計算になります。この計算ではペプチド純度は考慮しません(100%相当で濃度調整します)。
1配列につき2ウェル固相化します。(duplicate)
固相化濃度、条件については変更が可能ですが、条件により追加料金となります。
【1プレート(96ウェル)の割付けについて】
Negative control:ブロッキングのみ(2ウェル)
Positive control:お預かりした抗原(2ウェル、使用量1µg/ウェル)
Step1で合成したペプチド:最大46ペプチド(92ウェル)

Step3: 1st スクリーニング(目的の抗体とのELISA作業)
お客様の抗体を用いてELISA測定を行います。
Step2で作製したELISA用プレートを用いてお預かりした抗体を反応させ、ポジティブなウェルを確認する定性評価となります。
測定料金は1プレート単位のため、ここでは46ペプチド(もしくは46の倍数)の時の作業料金が比較的割安となります。
使用する抗体量は、あらかじめ抗原と希釈系を組んだELISAを実施し、決定した濃度で行います。
この試験結果をもとに、反応が得られた場合はStep4へ進みます。反応が得られなかった場合はお客様と相談の上、試験を終了するか、試験設計を変更して再試験をする選択肢がございます。
プレート配置のイメージ

ELISA試験結果(発色)のイメージ

この図では、ペプチド5、10、11で反応が得られています。
Step3でポジティブな結果が得られた時は、その配列についてエピトープ位置の特定を進めます。
1stスクリーニングと配列を変えずに高純度(純度保障95%)のペプチドを用いて、ELISA法で定量測定を行う方法の他に、1stスクリーニングでの結果により配列デザインを変更して実施する方法もあります。
Step4に進む際は、必ずお客様と試験担当者で試験設計について打合せを持たせていただきます。
その際に試験の進め方を協議させていただき、都度御見積、納期のご案内となります。
【Step4のELISA条件について】
固相化するペプチド濃度は1stスクリーニングと同じく10µMに調製し100µL/ウェル使用します。
使用する抗体濃度はお客様と打ち合わせの上で決定し、通常4倍の6段階希釈で設定します。
1stスクリーニングと配列を変えずにELISAを実施する例

ELISA測定の発色のイメージ


図1. 2ndスクリーニング結果の例
【Step4で1stスクリーニングとペプチド残基数を変更する場合について】
1stスクリーニングで反応が得られた配列について、その配列中のさらにどの残基がエピトープ認識されているのか探るため、N末端またはC末端から1残基ずつ削って複数のペプチドを合成し、ELISA測定を行ってエピトープ部位を決定していく手法などが考えられます。
15残基の陽性反応ペプチド配列から絞り込む設計(例)

この図の例では8残基のエピトープ部位を予想する結果が得られました。