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記事ID : 17169
研究用

生細胞内の一酸化窒素をフローサイトメトリーもしくはマイクロプレートリーダーで検出 Cell Meter™ 細胞内NO活性蛍光測定キット

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本商品は、生細胞中の一酸化窒素(NO)を蛍光で検出するキットです。

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背景

一酸化窒素(NO)は、多くの生理学的・病理学的プロセスに関与する重要な生物学的レギュレーターです。NO産生に変化が生じると、免疫系や血管系、神経変性、炎症性など様々な疾患に影響を及ぼします。NOはフリーラジカルのため、生体内では迅速に酸化され、比較的低濃度で存在します。そのため、生物学的システムにおけるNOの役割を検出および理解することは容易ではありません。

使用目的

本商品では、生細胞の細胞内NOレベルを高感度にモニターできます。Nitrixyte™ プローブは DAF-2 の優れた代替として、細胞内のフリーNOの検出に使用されます。Nitrixyte™ はDAF-2と比較して光安定性が高く、細胞透過性が強化されています。
AAT Bioquest社では、Cy3® や TRITC と類似のスペクトル特性を有する Nitrixyte™ Orange(Ex/Em 488/590 nm)、Texas Red® と類似のスペクトル特性を有する Nitrixyte™ Red(Ex/Em 630/660 nm)、近赤外蛍光スペクトルの Nitrixyte™ NIR(Ex/Em 650/680 nm)を使用したキットをご用意しています。

特長

DAF-2 (他社製品) との比較データ

外因性一酸化窒素の蛍光イメージング

図1. 外因性一酸化窒素(NO)の蛍光イメージング
HeLa細胞で NONOate(NOドナー)処理における外因性 NO の蛍光イメージングを行った。細胞は AAT Bioquest (ABD) 社のNitrixyte™ Orange (左) もしくは DAF-2 diacetate (右)を同濃度で 30分間インキュベートした後、1 mM DEA NONOateで37℃ 30分間処理した。蛍光シグナルは蛍光顕微鏡のTRITC(左)とFITC(右)のフィルターでそれぞれ検出した。

 

外因性一酸化窒素(NO)のマイクロプレートリーダーによる測定

図2. 外因性一酸化窒素(NO)のマイクロプレートリーダーによる測定
HeLa細胞における NONOate(NOドナー)処理における外因性NO をマイクロプレートリーダーで測定した。細胞はABD社のNitrixyte™ Orange (左) もしくはDAF-2 diacetate (右)を同濃度で30分間インキュベートした後、37℃ 30分間 1mM DEA NONOate 処理した。蛍光シグナルは Ex/Em = 540/590 nmもしくは Ex/Em = 490/530 nm でそれぞれ測定した。 (A)で示したNONOate処理サンプルのRFUを対応する非処理コントロールのRFUで割った値を(B)シグナル-ノイズ比として示した。 DAF-2 diacetateに比べ、Nitrixyte™ Orangeは優位に高いシグナル-ノイズ比を示した。

 

内因性一酸化窒素(NO)の蛍光イメージング

図3. 内因性一酸化窒素(NO)の蛍光イメージング
RAW 264.7 マクロファージにおける内因性NO の蛍光イメージングを行った。細胞はABD社の Nitrixyte™ Orange (左) もしくは DAF-2 diacetate (右)を同濃度で 30分間インキュベートした後、20 µg/mL リポポリサッカライド(LPS)と1 mM L-アルギニン(L-Arg)で 37℃ 16時間処理した。蛍光シグナルは蛍光顕微鏡の TRITC(左)とFITC(右)のフィルターでそれぞれ検出した。

構成内容

フローサイトメトリー用

  • Component A: 500×Nitrixyte™ Orange(品番:16351)またはRed(品番:16356)、NIR (品番:16360)
  • Component B: NONOate ポジティブコントロール
  • Component C: アッセイバッファー

マイクロプレートリーダー用

  • Component A: 500×Nitrixyte™ Orange (品番:16350)またはNIR(品番:16359)
  • Component B: アッセイバッファーI
  • Component C: アッセイバッファーII

プロトコール

フローサイトメトリー用

  1. 保温した培地(もしくは適切なバッファー)0.5 mLに細胞数5×105-1×106 個/mLの細胞を懸濁します。
  2. 1 µLの500×Nitrixyte™ プローブ試薬(Component A)を0.5 mLの細胞懸濁液に加えます。
  3. 2.の細胞懸濁液に試験する化合物を加え、NOが産生されるのに必要な時間、37℃でインキュベートします。
  4. ポジティブコントロールとしてNONOate処理用に、Component BのバイアルにddH2Oを加え、50 mMのストック溶液を調製します。使用する際はアッセイバッファー(Component C)で1-2 mMに希釈します。
    Nitrixyte™ プローブ試薬で30分間プレインキュベートした細胞をスピンダウンします。1 mM DEA NONOate ポジティブコントロールワーキング溶液に再懸濁し、37℃でさらに30分間(品番:16360 は60分間)インキュベートします(図1参照)。
  5. フローサイトメトリーで蛍光強度を測定します。

 

マイクロプレートリーダー用

細胞の用意
  1. 接着細胞:増殖培地中の細胞をO/Nで培養します。細胞数は、
    ・96ウェルプレートの場合は30,000-80,000個/ウェル/90 µL
    ・384ウェルプレートの場合は8,000-20,000/ウェル/20 µL
  2. 非接着細胞:遠心して培養用培地から細胞を回収し、細胞を再度培養用培地に懸濁します。細胞数は、
    ・96ウェルプレート(ポリ-D-リジンコート済)の場合は125,000-250,000個/ウェル/90 µL
    ・384ウェルプレート(ポリ-D-リジンコート済)の場合は30,000-60,000/ウェル/20 µL
    実験前にプレートを800 rpmで2分間遠心します(ブレーキオフ)。
ワーキング溶液の調製
  1. 全キット構成品を使用前に室温に戻します。
  2. Nitrixyte™ プローブワーキング溶液の調整
    20 µLの Nitrixyte™ プローブストック溶液(Component A)を10 mLのアッセイバッファーI(Component B)に加え、よく混ぜます。ワーキング溶液は室温で2時間は安定です。
    20 µLの Nitrixyte™ プローブストック溶液は1プレートに対して十分量入っています。残りは、分注して-20℃より低温で遮光保存してください。また、凍結融解の繰り返しは避けてください。
NOアッセイ
  1. 内在性NOを刺激するために、試験する化合物で各ウェルの細胞を処理します(化合物はPBSやHHBSなどのバッファーで希釈)
    ・96ウェルプレート:10×濃度の化合物溶液10 µL/ウェル
    ・384ウェルプレート:5×濃度の化合物溶液5 µL/ウェル
    コントロールウェル(未処理細胞)には、同量の培地もしくは化合物バッファーを加えます。
    化合物を添加する前に細胞を洗浄する必要はありません。しかしテスト化合物が血清感受性である場合、成長培地、血清因子を化合物添加前に吸入除去し、1× Hank's salt溶液や20 mMHHBS、もしくはお好みのバッファーで下記量を加えます。
    ・96ウェルプレート:90 µL/ウェル
    ・384ウェルプレート:20 µL/ウェル
  2. Nitrixyte™ プローブワーキング溶液を下記量添加します。
    ・96ウェルプレート:100 µL/ウェル
    ・384ウェルプレート:25 µL/ウェル
    37℃でお好みの時間、遮光してインキュベートします。
    スト化合物は除去しないでください。
    ポジティブコントロール用NONOate処理: 細胞をNitrixyte™ プローブワーキング溶液と37℃、30分間インキュベートします。ワーキング溶液を除去し、細胞に1 mM DEA/NONOate と37℃、30分間、NOを発生させるためにインキュベートします(図2参照)。
  3. 各ウェルの溶液を除去し、アッセイバッファーII(Component C)を下記量添加します。
    ・96ウェルプレート:100 µL/ウェル
    ・384ウェルプレート:25 µL/ウェル
    アッセイバッファーIIを添加する前に細胞を洗浄しないでください。
  4. 蛍光増加をプレートリーダーでモニター、もしくは蛍光顕微鏡で画像を撮影します。

製品データ

フローサイトメトリー用
Orange(品番:16351)、Red(品番:16356)、NIR(品番:16360)

Jurkat細胞を用いたNOの検出 Jurkat細胞を用いたNOの検出 Jurkat細胞を用いたNOの検出

図4. Jurkat細胞を用いたNOの検出
一酸化窒素供与体であるDEA NONOateで処理したもの(赤色)とDEA NONOateで未処理のもの(青色)のシグナルをフローサイトメーターで検出した。
(上段左)品番:16351 (上段右)品番:16356 (下段左)品番:16360

 

マイクロプレートリーダー用
Orange(品番:16350)、NIR(品番:16359)

DEA/NONOate処理 (NOドナー) したCHO-K1細胞、HeLa細胞のNO検出

図5. DEA/NONOate処理(NOドナー)したCHO-K1細胞、HeLa細胞のNO検出(品番:16350)
各細胞をNitrixyte™ Orangeワーキング溶液で37℃、30分間インキュベートした後、染色を停止するためワーキング溶液を除去した。さらに 10 mM HEPES(pH=6.2)を持つHBSSに 1 mM DEA/NONOate を含むもの、含まないもので処理し、37℃、30分間インキュベートした。各ウェルの溶液を除去後アッセイバッファーII を添加し、蛍光シグナルを測定 (FlexStation (Molevular Device)、Ex/Em = 540/590 nm (cut off = 570 nm)、bottom read mode)。

 

RAW 264.7 マクロファージ細胞のNO検出 RAW 264.7 マクロファージ細胞のNO検出

図6. RAW 264.7 マクロファージ細胞のNO検出
培地に Nitrixyte™ プローブ試薬を加え、かつ20 µg/mLのLPSと1 mMのL-アルギニン(L-Arg)を含む培地と含まない培地に分け、37℃で16時間インキュベートした。各ウェル内の溶液を取り除き、アッセイバッファーII(Component C)を加え、蛍光シグナルを測定。
(上段)Nitrixyte™ Orange (品番:16350)、(下段)Nitrixyte™ NIR(品番:16359)

 

細胞内一酸化窒素 (NO) とトータルROS の同時蛍光イメージング

図7. 細胞内一酸化窒素 (NO) とトータルROS の同時蛍光イメージング
RAW264.7マクロファージの細胞内NOとトータルROSの蛍光イメージングを同時に行った。 AAT社のNitrixyteTM Orange (品番:16350)とAmpliteTM ROS Green (品番:22900)で共染色した後、 20ug/mL リポポリサッカライド(LPS)、1 mM L-アルギニン(L-Arg)、50 uM Pyocyanin (Pyo)で 37℃ 16時間処理した。蛍光シグナルは蛍光顕微鏡のTRITC(赤 NitrixyteTM Orange )とFITC(緑 AmpliteTM ROS Green )のフィルターでそれぞれ検出した

Cell Meter™ 細胞内NO活性蛍光測定キット

Nitrixyte™ Red
品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Cell MeterTM Fluorimetric Intracellular Nitric Oxide (NO) Activity Assay Kit *Red Fluorescence Optimized for Flow Cytometry*詳細データ ABD 16356 100 TEST
¥84,000

製品使用文献

  1. Fluorescent real-time quantitative measurements of intracellular peroxynitrite generation and inhibition
    Authors: Zhen Luo, Qin Zhao, Jixiang Liu, Jinfang Liao, Ruogu Peng, Yunting Xi, Zhenjun Diwu
    Journal: Analytical Biochemistry (2017)
  2. Inducible Nitric Oxide Synthase (iNOS) Is a Novel Negative Regulator of Hematopoietic Stem/Progenitor Cell Trafficking
    Authors: Mateusz Adamiak, Ahmed Abdelbaset-Ismail, Joseph B Moore, J Zhao, Ahmed Abdel-Latif, Marcin Wysoczynski, Mariusz Z Ratajczak
    Journal: Stem Cell Reviews and Reports (2016): 1--12

商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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