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記事ID : 44352
研究用

タンパク質が受ける非酵素的修飾(nPTM)の研究ツール 固相ペプチド合成 (SPPS) 用 Argpyrimidine ビルディングブロック

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Argpyrimidine はメイラード反応のような非酵素的な翻訳後修飾の結果起こります。この変化が機能や安定性に及ぼす影響を調べるにはビルディングブロックが必要です。

IRS_PotM_01.jpg

翻訳後修飾(post-translational protein modification:PTM)は、自然界に広く存在し、ほとんどの場合、生体にとって望ましい修飾です。一般的に、これらの修飾は、リン酸化、グリコシル化、ファルネシル化など、酵素を介した標的化です。
しかし、タンパク質が受ける非酵素的修飾(non-enzymatic modifications:nPTM)も存在します。老化、糖尿病や癌などの様々な疾患により、あるいは熱への暴露などを介して行われる修飾です。この修飾は代謝性化合物との不要な反応である場合が多いです。例えば、表面に露出したリジンやアルギニンの側鎖は、代謝物であるメチルグリオキサールと反応し、最終的にカルボキシエチルリジン(CEL)、メチルグリオキサール-ヒドロイミダゾロン(MG-H1)、Argpyrimidine(Apy)などを生成します。

IRS_PotM_02.png
図. 表面露出したLys-/Arg側鎖とメチルグリオキサールとの反応

Apyは、老化や白内障の眼球レンズ、アミロイドポリニューロパチー患者のアミロイド線維、糖尿病患者やがん患者の細胞や組織から検出されています。このようなApy形成による生物学的影響の解明には、目的とするペプチドやタンパク質に決められた位置へ定量的にArgpyrimidineを導入することが重要になってきます。これは、固相ペプチド合成 (solid phase peptide synthesis:SPPS) により形成することが可能です。一般的なSPPS条件下で実施するには、α-アミンのFmoc保護と酸に親和性のある保護基による側鎖保護がされた Amyビルディングブロックが必要です。

Chemical structure of Fmoc-Argpyrimidine(Pbf,TBMS)-OH
Fmoc-Argpyrimidine(Pbf,TBMS)-OHの化学構造式

側鎖保護基の組み合わせは、一般的なFmoc合成条件に対して直交性という条件を満たすだけでなく、合理的な収率で合成可能なものでなければなりません。ウィーン大学 Christian F. W. Becker教授とそのチームは、試行錯誤を重ねた結果、ビルディングブロックであるFmoc-Argpyrimidine (Pbf,TBMS)-OH (FAA5530) を開発しました。このビルディングブロックは標準SPPSプロトコルで簡単に使用でき、Iris Biotechから販売しています。より大きなタンパク質にArgpyrimidineを導入するためには、半合成的なアプローチが可能です。

  1. タンパク質の最も大きな部分を組換え合成で生産する。
  2. Apyを含むフラグメントをSPPS化する。
  3. フラグメントを最終的な全長タンパク質に縮合する。

非酵素的翻訳後修飾(nPTM)を施したタンパク質の製造方法という興味深い旅についてもっと知りたい方は、ベッカー教授のワークショップ外部リンクに参加してみてはいかがでしょうか。

この種の修飾アミノ酸は、遊離アミノ酸として、あるいは質量分析用に重水素で標識したもの、SPPS用に多面的に保護したビルディングブロックとして、「メイラード反応産物」に掲載されています。

 

固相ペプチド合成 (SPPS) 用 Argpyrimidine ビルディングブロック

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Argpyrimidine (TFA salt)詳細データ IRS HAA3050.0005 5 MG
¥114,000
Argpyrimidine (TFA salt)詳細データ IRS HAA3050.0010 10 MG
¥188,000
CEL詳細データ IRS HAA2940.0050 50 MG
¥76,000
CEL詳細データ IRS HAA2940.0100 100 MG
¥133,000
CEL-d4詳細データ IRS HAA2941.0005 5 MG
¥118,000
CEL-d4詳細データ IRS HAA2941.0010 10 MG
¥188,000
Fmoc-L-Argpyrimidine(Pbf,TBMS)-OH詳細データ IRS FAA5530.0100 100 MG
販売終了
Fmoc-L-Argpyrimidine(Pbf,TBMS)-OH詳細データ IRS FAA5530.0250 250 MG
販売終了
Fmoc-L-Argpyrimidine(Pbf,TBMS)-OH詳細データ IRS FAA5530.1000 1 G
販売終了
MG-H1-d3 (Acetate salt)詳細データ IRS HAA3002.0005 5 MG
¥114,000
MG-H1-d3 (Acetate salt)詳細データ IRS HAA3002.0010 10 MG
¥188,000
MG-H1 (Acetate salt)詳細データ IRS HAA3003.0010 10 MG
¥55,000
MG-H1 (Acetate salt)詳細データ IRS HAA3003.0050 50 MG
¥220,000
Argpyrimidine-15N2 TFA salt詳細データ IRS HAA3055.0005 5 MG
お問い合わせ
Argpyrimidine-15N2詳細データ IRS HAA3055.0010 10 MG
お問い合わせ

商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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