転写因子抗体（FOX・PAX・SOX）

コスモ・バイオでは、転写因子研究にご使用いただける、転写因子マーカー（FOX・PAX・SOXファミリー）抗体を販売しています。

転写因子とは、DNAに結合して転写反応を活性化する因子のことであり、その特長によっていくつかのグループに分けられます。

FOXグループ

フォークヘッド（FOX）遺伝子ファミリーは、発生・新陳代謝・癌・老化において、重要な役割を担う"ウイング付へリックス構造"を持つ転写因子のグループです。近年、様々なFOX遺伝子がリンパ球やエフェクター機能において重要な役割（例：Foxp3はT細胞の制御を担う）を果たすことが示されました。 CD4+T細胞の制御に関わるFoxj1とFoxo3aおよび、胸腺の発生におけるFoxn1、ナチュラルキラー細胞のエフェクター機能を制御する Foxq1、T細胞を活性化するFoxd2なども報告されています。FOX遺伝子は、様々な免疫細胞系統の免疫制御メカニズムのマーカーであり、その制御 異常は、免疫性疾患の原因となり得ます。FOXの研究は、画期的な治療薬の開発につながるでしょう。

PAXグループ

Pax (paired box)はセットの転写因子をコードする小さいが、発生上で重要な役割を担う遺伝子ファミリーです。哺乳動物では、（オルソログ存在下では虫・ハエ・カエル・魚・鳥なども）9つのPaxファミリーが報告されています。Pax遺伝子は、胚において組織の発達や細胞の分化の制御、細胞増殖の促進、細胞系統の規 定、移動性、生存を制御します。発生が完全であるときは、Pax遺伝子の発現は減少しますが、ある組織では、Adultステージまで発現が持続する、あるいは再発現します。Adult組織には、組織特異的再生機構が存在し、ストレスにより誘発される細胞死に対する防御反応があります。
Pax遺伝子ファミリーは全て、 paired box DNA結合ドメインと呼ばれる領域を含みます。このファミリーはまずオクタペプチド領域あるいはホメオドメインの有無によって1-6のグループに分けられ ます。サブグループII（PAX2/PAX5/PAX8)およびIII（PAX3/PAX7)は、様々な腫瘍で発現しているため、腫瘍マーカーとしても用いられています。これら遺伝子の発現をノックダウンすると、腫瘍細胞が死ぬことから、重要な役割が示唆されます。また、PAX2においては、癌疾患において染色体の転位を引き起こすことが報告されています。

SOXグループ

SOXグループは、様々な発生段階での転写制御を担う重要な役割を果たしています。他の転写因子に比べ、SOXクループはマイナーグルーブにDNAが結合する際に強い屈曲を引き起こす珍しいグループです。つまり、DNAの立体構造を変化させ、構造タンパク質として機能します。SOXタンパク質のもう一つの特徴は、ターゲット遺伝子の活性化に効果的に結合するパートナープロテインのような転写因子依存という点があげられます。
哺乳細胞において、SOXタンパク質は20種類存在し、塩基配列の相同性により、いくつかのグループに分けられます。

CD30（赤色）とFOXP3抗体（ab20034：黒色）を用いて、パラフィン包理したヒト扁桃腺組織を二重染色した。青色ヘマトキシリンを用いて核染色した。

Pax 2抗体（品番ab23799）を用いて、パラフィン包理した腎臓組織を染色した。図中の矢印は、標識された細胞を示す。

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