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記事ID : 46298
研究用

細胞死に関連したレポーター細胞、誘導材、阻害剤がございます。 制御された細胞死 関連商品コレクション

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制御された細胞死 (RCD, regulated cell death) は、細胞のホメオスタシス、組織のリモデリング、そして疾患において重要な役割を果たしています。生物学的に制御不可能なプロセスである偶発的細胞死 (ACD, accidental cell death) とは対照的に、RCDは専用の分子機構に依存しています。その機能は、胚発生のような生理的条件下 (このような条件下ではRCDは 「プログラムされた細胞死」として呼ばれています) 、あるいは感染症のような病的条件下で、不要な細胞を排除することです。古典的なアポトーシス以外に、現在ではいくつかの異なる形態のRCDが認められており、最もよく研究されているのはネクロプトーシスとパイロトーシスです。ネクロプトーシスとパイロトーシスは、主に持続時間、形態、炎症の結果が異なります。その分子機構は非常に複雑で絡み合っており、多くの病態に関与していることを示す証拠が増えつつあります。ヒトの疾患におけるRCDの役割は、エキサイティングな研究の焦点として浮上しています。

アポトーシス(Apoptosis)

アポトーシスは、これまでのところ最もよく特徴付けられたRCDであり、長い間、唯一のRCDであると考えられていました。アポトーシスは恒常的に (例えば胚発生の過程で) 、 あるいは様々な外的要因にさらされたときに誘導されます。アポトーシスには、内在性経路と外在性経路という2つの主要な経路が存在します。内在性経路は様々な細胞内シグナルが関与し、カスパーゼ-9の活性化につながります。対照的に、外因性経路は、細胞外の要因によってデスレセプターを介して開始され、カスパーゼ-8の活性化を誘導します。
アポトーシス細胞死は、DNAの断片化、膜のブレビング、アポトーシス小体の形成によって特徴付けられます。死細胞は、免疫反応を引き起こすことなく食細胞によって速やかに除去され、それにより恒常性が維持されます。アポトーシスはこのように「サイレント 」な細胞死と考えられています。

ネクロプトーシス(Necroptosis)

ネクロプトーシスは細胞外あるいは細胞内の障害によって開始されるRCDです。FASやTNFR1などのデスレセプター、あるいはTLR3、TLR4、DAI/ ZBP1などの病原体を認識するレセプターによって検出されます。ネクロプトーシスはMLKL、RIPK3、そして (少なくともいくつかの環境では) RIPK1のキナーゼ活性に決定的に依存しています。ネクロプトーシスによる細胞死は、イオンの流入、細胞の膨潤、細胞膜の溶解を引き起こし、その後、炎症性サイトカインやダメージ関連分子パターン (DAMPs) を含む細胞内内容物の制御不能な放出を引き起こします。

パイロトーシス(Pyroptosis)

パイロトーシスは、感染、組織傷害、代謝の異常などの状況下で、インフラマソームの活性化によって引き起こされるRCDです。インフラマソームは、病原関連分子パターン (PAMPs) 、ダメージ関連分子パターン (DAMPs) 、またはその他の免疫的な刺激を選択的に感知することによって集合します。その集合は、炎症性カスパーゼ (カスパーゼ-1またはカスパーゼ-4/5/11) 、サイトカイン (IL-1およびIL-18) および孔形成タンパク質であるGasdermin-Dの活性化につながります。パイロトーシスは、核の凝縮、細胞の膨潤、細胞膜孔の形成によって特徴付けられ、細胞の溶解や、HMGB1のような大きなサイズのDAMPを含む細胞内容物の放出につながります。
パイロトーシスは感染や細胞ストレスに対する強い反応であり、差し迫った危険を免疫系に知らせ、脅威の拡大を防ぎます。

オキシプトーシス(Oxeiptosis)

オキシプトーシスは、最近発見された酸化ストレスによって引き起こされるプログラムされた細胞死の一つです。
アポトーシスに似たカスパーゼ非依存的な細胞死として知られ、Kelch-like ECH-associated protein 1 (KEAP1)、phosphoglycerate mutase 5 (PGAM5) 、およびapoptosis-inducing factor mitochondria-associated 1 (AIFM1) の活性化が特徴としています (これはKEAP1/PGAM5/AIFM1経路と呼ばれています)。
通常、活性酸素種 (ROS) の蓄積によって細胞が過剰な酸化的損傷を受けると、オキシプトーシスが活性化されます。KEAP1を介して活性酸素を感知すると、PGAM5はKEAP1から解離し、ミトコンドリアに移動します。ミトコンドリア内では、PGAM5がAIFM1のSer116残基を脱リン酸化し、最終的にオキシプトーシスに至ります。細胞死をもたらすAIFM1の下流のシグナル伝達は、未だに解明されていません。

商品ラインアップ

HEK-Lucia-Star™ AREレポーター細胞

これらの細胞はHEK 293細胞株に由来し、酸化ストレス応答と活性酸素依存性細胞死 (オキシプトーシス) をモニターするように設計されています。

HEK-Lucia-Star™
 AREレポーター細胞の酸化ストレスシグナル経路をあらわした図

図1.HEK-Lucia-Star™ AREレポーター細胞の酸化ストレスシグナル経路
酸化ストレスを受けると、KEAP1は構造変化を起こし、分解されてNrf2が放出される。
その後、Nrf2は核内に移動し、そこで抗酸化応答エレメント (ARE) に結合し、Luciaルシフェラーゼレポータータンパク質(分泌性ルシフェラーゼ)の発現を誘発する。
酸化ストレスによる細胞死を測定するため、細胞は分泌型酸性ホスファターゼ5 (ACP5) を恒常的に発現している。
上清中の2つのレポータータンパク質LuciaとACP5の活性は、それぞれQUANTI-Luc™ 4とQUANTI-Star™ 検出試薬を用いて容易に測定可能である。

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
HEK-Lucia-StarTM ARE cell line詳細データ ING HKLS-ARE 1 VIAL
[3-7 x 10^6 cells]
お問い合わせ
QUANTI-StarTM: ACP5 Detection Reagent詳細データ ING REP-QST1 0.5 ML
¥45,000
QUANTI-StarTM: ACP5 Detection Reagent詳細データ ING REP-QST2 1 ML
¥86,000

THP1-HMGB1-Lucia™ レポーター細胞

これらの細胞はTHP-1ヒト単球系細胞株由来で、ネクロプトーシスとインフラマソーム介在性パイロトーシスをモニターするように設計されています。

THP1-HMGB1-Lucia™
レポーター細胞のシグナル経路をあらわした図

図2.THP1-HMGB1-Lucia™ レポーター細胞のシグナル経路
THP1-HMGB1-Lucia™ レポーター細胞は、ネクロプトーシス、及びインフラマソームが介在するパイロトーシス (細胞膜の破裂時に警告因子であるHMGB1が放出されることを特徴とする2つの形態の細胞死) をモニターするためにデザインされている。この細胞はTHP-1ヒト単球系細胞株に由来し、HMGB1::Luciaルシフェラーゼ (分泌性ルシフェラーゼ) 融合タンパク質を安定に発現している。この細胞は、一般的なインフラマソーム誘導剤やネクロプトーシスのカクテル誘導剤に反応する。
パイロトーシスやネクロプトーシスに伴う細胞外環境中のHMGB1::Luciaタンパク質の放出は、LuciaおよびGaussiaルシフェラーゼ検出試薬であるQUANTI-Luc™ 4 Lucia/Gaussiaを用いて容易に測定可能である。

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
THP1-HMGB1-LuciaTM Cells詳細データ ING THP-GB1LC 1 VIAL
[3-7 x 10e6 cells]
¥376,000

制御細胞死モジュレーター

■ パイロトーシス誘導剤

Val-boroProによるNLRP1及びCARD8の活性化をあらわした図

図3.Val-boroProによるNLRP1及びCARD8の活性化
細胞内ジペプチジルペプチダーゼDPP-8およびDPP-9は、触媒活性と足場機能の両方を通じて、NLRP1およびCARD8インフラマソームの内因性阻害剤として機能している。
低分子化合物Val-boroPro (VbP) を用いてDPP-8/-9を薬理学的に阻害すると、NLRP1およびCARD8インフラマソームの抑制を解除し、活性化を引き起こす。
このプロセスは、NLRP1およびCARD8のN末端ドメインのプロテアソームによる分解と、活性のあるC末端ドメインの放出に続いて起こる。

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Val-boroPro詳細データ ING TLRL-VBP-10 10 MG
¥29,000
Val-boroPro詳細データ ING TLRL-VBP-50 50 MG
¥77,000

■ パイロトーシス阻害剤

パイロトーシス阻害剤の作用をあらわした図

図4.パイロトーシス阻害剤
これらは、Gasdermin-D (GSDMD) を切断しN末端ドメイン (NT) を放出する炎症性カスパーゼ (カスパーゼ-1、カスパーゼ-11/4/5) の阻害剤である。
NTドメインは細胞膜に孔を形成する機能を持ちます。GSDMDの細孔が細胞膜に蓄積すると、可溶性の細胞質内容物やイオンの通過が可能になり、最終的に細胞膜の破裂に至る。

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Ac-YVAD-cmk詳細データ ING INH-YVAD 5 MG
¥79,000
Ac-YVAD-cmk詳細データ ING INH-YVAD-5 5*5 MG
¥235,000
VX-765詳細データ ING INH-VX765I-1 10 MG
¥36,000
VX-765詳細データ ING INH-VX765I-5 50 MG
¥125,000
Z-VAD-FMK詳細データ ING TLRL-VAD 1 MG
¥48,000

■ ネクロプトーシスモジュレーター

ネクロプトーシスモジュレーターをあらわした図

図5.ネクロプトーシスモジュレーター
これらは、最も研究され最もよく特徴付けられたネクロプトーシス経路であるTNF誘導性ネクロプトーシスのキープレーヤーを標的としている。
Nectostatin-1はアポトーシスとネクロプトーシスのイニシエーター分子RIPK1(receptor-interacting serine/threonine-protein kinase 1)の強力で選択的な阻害剤である。
RIPK1が介在する細胞死には、cIAPs (アポトーシスを阻害する細胞内タンパク質) の消失/阻害が必要であり、これはcIAPsの特異的アンタゴニストであるBV6を用いて達成することができる。ネクロプトーシスを完全に誘導するためには、アポトーシス開始因子であるカスパーゼ-8を同時に阻害する必要があり、これはZ-IETD-FMKを用いて達成できる。

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
BV6詳細データ ING INH-BV6 5 MG
¥48,000
Necrostatin-1詳細データ ING INH-NCST1 25 MG
¥48,000
Necrostatin-1詳細データ ING INH-NCST1-4 4*25 MG
¥96,000
Z-IETD-FMK詳細データ ING INH-IETD 1 MG
¥54,000
Z-IETD-FMK詳細データ ING INH-IETD-5 5 MG
¥135,000

商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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