トラスツズマブとは?
HER2 (ヒト上皮増殖因子受容体2)はNeu, ErbB-2, CD340,あるいは、p185としても知られる、ヒトではERBB2遺伝子にコードされたタンパク質であり、上皮増殖因子受容体(EGFR/ErbB)ファミリーメンバーです。ErbBファミリーは、3種の細胞膜結合受容体チロシンキナーゼから構成されます。これらは細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通型ドメイン、および細胞内ドメインをもち、多数のシグナル伝達分子と相互作用します。HER2は他の3つの受容体の何れともヘテロ二量体を形成します。二量体形成により受容体内の細胞質領域内にあるチロシン残基の自己リン酸化が誘導され、さまざまなシグナル伝達経路が惹起されます。受容体のErbBファミリーを介するシグナル伝達は、細胞増殖を促進してアポトーシスに対抗するため、無制御な細胞成長が生じないよう厳しく制御される必要があります。
ERBB2遺伝子の増幅や高発現はおよそ30%の乳がんで生じます。疾患再発やより悪い予後と強く関係します。ERBB2の高発現は、卵巣がん、胃がん、および子宮漿液性子宮内膜がんといった悪性度の高い子宮がんでも生ずることが知られています。HER2の細胞外ドメインは、腫瘍細胞表面より脱落し、血行路に入ることもできます。HER2テストは乳がん患者において予後評価とTrastuzumab(商標名Herceptin)治療の適正を確認するために行われます。血清HER2(可溶性)のELISA測定は、生検に比べて非侵襲的な方法でHER2状態を確認できるため、広範に用いられています。
HER2はモノクローナル抗体Trastuzumab(商標名Herceptin)の標的であり、Trastuzumabは、HER2が高発現している癌においてのみ効果が高いことが知られるヒト化モノクローナル抗体(IgG1κ、148kDa、1998年に認可、Genentech/Roche)です。Her2/neu受容体の細胞外区域にあるドメインIVに結合します。Trastuzumabと化学療法の組み合わせでは、Trastuzumab単独に比べて生存率と薬剤応答率の両方が改善することが示されています。その他のモノクローナル抗体として、HER2とHER3受容体の二量体形成を阻害するPertuzumab(2c4またはOmnitrag)があり、臨床治験が進行中です。その他のアプローチとして、DNAを利用したHer2に対するワクチンがあり、Her2(pE2A)の全長または細胞外ドメインまたは細胞内ドメイン(pE2TM、pSec2、p185、またはMVA-BN-Her2)を用いてHer2に対する抗体が産生されています。同様に、Her2ペプチド由来ワクチン(E75, GP2, AE37ペプチドまたは多重ペプチド)がワクチンとして使用されています。多くのヒト化抗体と同様に、Herceptinは抗体またはヒト抗-ヒト抗体を誘発します(HAHA または ヒト抗-Herceptin 抗体)。
Cosmo Bio would like to acknowledge and thank Alpha Diagnostic International Inc for providing trastuzumab information presented here.