ユビキチン、ユビキチン様タンパク質およびそれらの派生物のリコンビナントタンパク質や基質等多数取り揃えています！ Enzo Lifescience社：ユビキチン、ユビキチン様タンパク質 & 派生物

特定リシン残基のみを介した、もしくは特定リシン残基のみを介さないポリユビキチン鎖を形成するユビキチンです。ポリペプチド鎖の形成にはリシン残基におけるイソペプチド結合が必須であるため、ユビキチンの持つ7 つのリシン残基を局所的にアルギニンに変換しています（ユビキチン酵素とのチオエステル結合には影響ありません）。ラインナップとして、特定の一部位のリシン残基のみアルギニンに変異させた変異体や、特定の一部位以外のリシン残基をすべてアルギニンに変異させた変異体、すべてのリシン残基をアルギニンに変異させた変異体をご用意しています。

脱ユビキチン化酵素の同定、検出に有用です。HA-Ub-VS は、DUB活性部位ダイレクトプローブで、活性部位での共有結合を介した強力な不可逆的阻害剤として、そしてDUB活性を持つ酵素用特異的プローブとして働きます。HAペプチド配列 (YPYDVPDYA) は、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来し、HA-反応性抗体やHA-アガロース抗体による認識を介して HA-Ub-VS修飾DUBs の同定や精製の精度を上げます。

　SUMO タンパク質は、ユビキチンと同じように標的タンパク質のリシン残基側鎖のεアミノ基に共有結合するタンパク質修飾因子です。その役割は、生物学的過程で多岐に渡っています。哺乳類のSUMO ファミリーには、機能的にはよく分かっていませんが、少なくとも SUMO-1 〜 SUMO-4 の 4 種類のメンバーが存在します。全メンバーは前駆体型として合成され、C 末端がプロセシングされることで、機能活性をもつ成熟型になります。ユビキチン化とは対照的に、SUMO 化は標的リシン残基にとても高い特異性がありますが、SUMO化機構による基質やリシン選択の詳細は、未だ解明されていません。SUMO 化は通常、コンセンサスモチーフで起こりますが、非コンセンサス部位で起こる場合もあり、SUMO 化の制御は、他の翻訳後修飾 ( ユビキチン化、リン酸化、アセチル化) と密接に関連しています。標的タンパク質がSUMO 単量体に結合される一方で、SUMO ファミリーメンバー全てが in vitro では鎖を形成することができます。細胞では、SUMO は SUMO-2、SUMO-3 の両方に存在する内部コンセンサス部位を介して可逆的にポリマー化し、SUMO 鎖となります。また、SUMO ポリマーは in vitro 及び in vivo でSUMO プロテアーゼによってバラバラに分解されます。SUMO 鎖は有糸分裂、減数分裂時にプロテアーゼによる SUMO ターゲットのターンオーバーや複製に関与しています。また SUMO 化とユビキチン化過程のクロストークの存在に評価が高まっています。厳密に平行な関係性であるというよりも、これら2 種類のシステムには多くの交点があり、協調して多くの根本的な細胞イベントの調節を行っているようです。

NEDD8 は、NEDD 化プロセスにおいて標的タンパク質を修飾するユビキチン様タンパク質です。NEDD 化は細胞増殖、生存、成長にとって重要な調節的役割を担っていますが、NEDD8 基質のスペクトルやそのネットワーク相互作用には多くの研究課題が残っています。当初、cullin ファミリーメンバーのみを修飾すると考えられていましたが、現在では転写、DNA 修飾、複製、細胞周期制御、クロマチン構成、リモデリングに関わる多くの NEDD8 化タンパク質や関連タンパク質が見つかっています。

　ユビキチン様タンパク質ファミリーの 1 つですが、その機構は未だ不明な点が多くあります。この ISG15 はインターフェロン刺激遺伝子にコードされています。ISG15 は妊娠から自然免疫応答といった様々な生物学的経路で重要な機能を担っています。更に、いくつかの重要な分子を修飾し、I 型インターフェロンのシグナルを伝達するということが分かっています。悪性転換のような病状でのISG15 の役割が最近提唱されていますが、ISG15 とISG15 修飾の生物学的影響を解明するには、更なる研究が必要です。

　FAT10 は、主要組織適合遺伝子複合体にコードされている小分子ユビキチン様修飾因子で、TNF αやインターフェロンγによって相乗的に誘導されます。2 種類のユビキチン様ドメインからなり、FAT10結合体形成に必要な、フリーの C 末端グリシンモチーフを持ちます。FAT10 結合体は迅速にプロテアソームで分解されてしまうため、FAT10 との結合は、サイトカイン誘導性の不可逆的なプロテアソーム分解を起こす別のユビキチン非依存性メカニズムをもたらしているのかもしれません。FAT10 はヒストン脱アセチル化酵素HDAC6 と相互作用することが分かっており、プロテアソーム分解系が欠如していると、タンパク質隔離のための別ルートが働き、結合体はアグリソームへ移送され、除去されます。また一方で、ISG15 修飾と同じように、腫瘍転換での役割が提唱されています。