ページの本文へ移動

記事ID : 34663

CD9 / CD63 ELISA キットによるがん細胞由来エクソソームの定量

ユーザーレポート

小坂 展慶 先生

小坂 展慶 先生
Nobuyoshi Kosaka

国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野
東京医科大学産学連携講座細胞外小胞創薬研究講座

Products

メーカー:コスモ・バイオ株式会社

コスモ・バイオ こちらを使ってみました!

CD9 / CD63 ELISA キット (ヒト由来エクソソーム定量用)

血液サンプルや細胞培養上清などに含まれるヒト由来エクソソームを直接定量可能

  • CD9/CD63 融合タンパク質(標準タンパク質)で補正することで各サンプルの相対定量が可能
  • 固相化した CD9 抗体 (12A12) でエクソソームを捕捉し、HRP 標識した CD63 抗体(8A12)で検出

実験内容

最近、様々な研究分野で注目を浴びるエクソソームは、脂質の二重膜をもつ直径約100 nmほどの細胞外に分泌される小胞である。エクソソームの定義として、エンドソーム由来の顆粒とされているが、その産生・分泌機構に関しては不明な点が多い。エクソソーム研究が盛んになるにつれ、様々な疾患におけるエクソソームの機能が明らかにされているが、今後のさらなる研究の進展やエクソソームを標的とした疾患治療法の開発には、エクソソームの産生機構を充分に理解する必要がある。

エクソソームの産生機構の理解には、エクソソームの定量が必須であるが、これまでのエクソソームの定量法は、超遠心によりエクソソームを単離した後に、タンパク質定量やNTA法(Nanoparticle Tracking Analysis法)などにより粒子数の測定をする方法が一般的であった。しかしこれらの方法では、エクソソームの産生機構に関わる遺伝子のスクリーニングには不向きであり、精製なしにエクソソームを高感度に定量できる方法が必須である。

エクソソームの定量方法として様々なものが販売されているが、今回は簡便性と実用性を考えて、普段の研究でも使用しているELISA法を用いることとし、コスモ・バイオ社から発売しているCD9 / CD63 ELISA キットを使用した。

図に示した細胞数で前立腺がん細胞株PC-3M細胞を96ウェルプレートに播種した翌日、培養液を無血清培地に変え、2日間培養した。その後培養上清を回収し、「遠心などの精製行程」をしないで本キットによる定量を行った。図に示すように、培養上清中のエクソソーム量を定量することに成功した。さらにその量は、細胞の播種数に依存して増えることがわかった。興味深いことに、H2O2で処理して細胞死を起こしたPC-3M細胞の培養上清では、一切のシグナルが検出されなかった。

本ELISAキットは、細胞死により生じた細胞断片でも偽陽性を示さなかったことから非常にエクソソームに特異性の高いELISAキットであると言える。今後、エクソソームの産生機構を解明することを目的とした様々なスクリーニングに貢献すると思われる。

CSR_cd9_cd63_elisa_kit_csr_app_2.jpg
図 それぞれのPC-3M細胞数とH2O2処理後の培養上清におけるエクソソームの定量

メーカー・代理店一覧

サポート情報

SNSアカウント

オウンドメディア

※当社のWEBサイトはユーザーの利便性を最適にし、それを保証するためにクッキーを使用しています。
 このWEBサイトの利用を継続することで、クッキーの使用に同意することになります。

© COSMO BIO