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記事ID : 35278

DIAプロテオーム解析法によるがん転移特異的エクソソーム表面タンパク質の同定

ユーザーレポート

小坂 展慶 先生

小坂 展慶 先生
Nobuyoshi Kosaka

国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野
東京医科大学産学連携講座細胞外小胞創薬研究講座

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メーカー:株式会社ハカレル

株式会社ハカレルこちらを使ってみました!

エクソソームのプロテオーム解析受託サービス

サンプルを送付するだけで高深度なプロテオーム解析データを手に入れることができます。

  • 一度の分析で最大8,000種類のタンパク質を観測
  • サンプル前処理からDIAプロテオーム解析までを一貫して行うワンストップサービス

実験内容

エクソソームは細胞外に分泌される直径約100 nmほどの小胞であり、がんを始めとする様々な疾患の発生や進展に関わることが知られている。またエクソソームが、RNAやDNAなどの核酸や、蛋白質、脂質、糖鎖といった様々な種類の生体物質の複合体であることから、疾患の分子機構解明の一端を担う物質として研究されているだけでなく、疾患のバイオマーカーとしても有望視されている。

特にエクソソームの膜上には膜蛋白質が存在しており、分泌した細胞の性質を反映した分子が存在することから[1]、疾患の状態を反映するバイオマーカーとしての利用に期待が集まっている。そのためには、疾患特異的なエクソソーム膜蛋白質を同定が必要となる。そこで本研究では、がんの転移特異的なエクソソーム表面蛋白質を同定するためにプロテオーム解析の実施を検討した。

使用した細胞は、ヒト乳がん細胞株のMDA-MB-231-D3H2LN細胞と、この細胞株から当研究室で樹立した複数の転移亜株である[2,3]。これらの細胞株から回収したエクソソームをサンプルとして、プロテオーム解析を行うこととした。プロテオーム解析は、ハカレル社が提供するData-independent acquisition (DIA)分析法を用いたプロテオーム解析受託サービスを利用した。その結果の一部を表1に示す(表1)。

表.1
形成機構に関わるタンパク質
TSG101
リソソーム膜タンパク質
LAMP1
LAMP2
テトラスパニンファミリー
CD9
CD63
CD81
RAB蛋白質ファミリー
RAB1A
RAB15
RAB28
RAB1B
RAB17
RAB34
RAB3A
RAB19
RAB35
RAB3D
RAB20
RAB37
RAB7A
RAB24
RAB33B
RAB9B
RAB27A
RAB39A
RAB14
RAB27B
RAB44

すべてのサンプルで約4000種類以上の蛋白質が検出され、その中にはいわゆるエクソソームマーカーとして使用されているテトラスパニンファミリーや多胞体形成関連蛋白質であるTSG101、リソソーム膜蛋白質のLAMP1, LAMP2、そしてエクソソーム形成機構に関わっていることが知られている多くのRab蛋白質ファミリーなどが検出された[4]。このように背景の似ている細胞株から回収したエクソソームでは、多くの蛋白質が同一であるばかりか、エクソソームの不均一性が報告されていることから[5]、より多くの蛋白質を検出し、そこから疾患や細胞の性質特異的な分子を選ぶことが重要となる。そういった意味では、4000種類以上の蛋白質の検出を可能とするDIA分析法を用いるプロテオーム解析は、従来法より多くの候補蛋白質を調べることができ、今後のバイオマーカーの開発に希望が持てる結果であった。

    参考文献

  1. Yoshioka Y, Kosaka N, et al., Ultra-sensitive liquid biopsy of circulating extracellular vesicles using ExoScreen. Nat Commun. 2014
  2. Tominaga N, Kosaka N, et al., Brain metastatic cancer cells release microRNA-181c-containing extracellular vesicles capable of destructing blood-brain barrier. Nat Commun. 2015
  3. Ono M, Kosaka N, et al., Exosomes from bone marrow mesenchymal stem cells contain a microRNA that promotes dormancy in metastatic breast cancer cells. Sci Signal. 2014
  4. Thery C, et al., Minimal information for studies of extracellular vesicles 2018 (MISEV2018): a position statement of the International Society for Extracellular Vesicles and update of the MISEV2014 guidelines. J Extracell Vesicles. 2018
  5. Kowal J, et al., Proteomic comparison defines novel markers to characterize heterogeneous populations of extracellular vesicle subtypes. Proc Natl Acad Sci U S A. 2016

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