商品詳細「PicoKine? ELISA kit」
A. FAQ
- 【01】 ELISAのプロトコールでは、インキュベーション中の振とうが推奨されていません。振とうのテストは行っていますか? 振とうは不要ですか?
- 【02】 組織ライセートの測定に適していますか? 適している場合は、プロトコールを教えてください。
- 【03】 サンプルに含まれるサイトカイン濃度が非常に低いです。ELISAキットで確実に測定できる最低濃度はどのくらいですか?
- 【04】 組織ホモジネートの測定に適していますか?
- 【05】 検証済みでない種類のサンプルは測定できますか?
- 【06】 スタンダードカーブ(標準曲線)は延長できますか?
- 【07】 デュプリケートサンプル間のばらつきが大きいのは何が原因ですか?
- 【08】 サンドイッチ法と競合法の違いは何ですか?
- 【09】 停止液を添加した後、ウェルが緑色に変わるのはなぜですか?
- 【10】 停止液を添加した後、茶色やオレンジブラウン色の沈殿物が現れるのはなぜですか? どうすれば解消できますか?
- 【11】 今回行ったELISAアッセイで、マイクロタイタープレートの全てのウェルを使用しなかった場合、未使用のウェルはどのように保存すればいいですか?
B. トラブルシューティング
A. FAQ
インキュベーション時の振とうあり/なしをテストして、プロトコールを決めています。振とうあり/なしで差はありませんでした。従って、振とうは不要だと考えています。
理論上は、組織ライセートを測定できます。組織ライセートの一般的なサンプル調製プロトコールは次の通りです。
- 組織をPBSですすぎ、余分な血液を除去します。
- 組織を 1-2 mm 片に細かく切ります。
- 組織ホモジナイザーを使用し、PBS または 可溶化液(例: Mammal Tissue Protein Extraction Reagent[Boster Bio社 品番:AR0101])を、組織 1g に対して可溶化液 10mL の比率で加え、サンプルをホモジナイズします。
- ホモジネートを約 5000 x g で5分間遠心します。
- ホモジネートを、速やかにアッセイに用いるか、 -20℃で保存します(凍結融解の繰り返しは避けてください)。
生体サンプルのサイトカイン濃度は、一般的に低いです。ELISA法で、確実に測定できる最低濃度を決める際には、次の点を考慮します。
- スタンダードカーブ(標準曲線): ELISA法で測定できる濃度範囲は、一般的に 0 - 1000 pg/mL で、スタンダードカーブのデータポイントは、0、15.6、31.25、62.5、125、250、500、1000 pg/mL に相当します。
- アッセイ感度: Boster社の Picokine ELISA キットは、一般的に感度が 10 pg/mL であると報告されています。生体サンプルで検出された濃度の多くは、スタンダードカーブのデータポイントで 0 と 15.6 pg/mL の間に入ります。検出値が ELISA の統計的な感度より上である限り(例: 5 pg/mL 以上)、統計的に有意な値であるといえます。この検出限界以下の結果は有効性が疑われます。
通常は可能です。目的の組織に標的タンパク質が十分含まれる場合は、ELISAキットで測定できます。また、特定の組織で、タンパク質の選択的スプライシングが起こることが知られており、キットのタンパク質への反応性が変化する場合には、製品データシートに注意として記載しています。
未検証の種類のサンプルを使用するには、キットごとに添加回収試験(spike and recovery study)を行い、測定できるか確認する必要があります。方法は次の通りです。
- サンプルを2つに分注します。
- 分注した2つの内の1つに、既知の量のキット付属のスタンダードを添加(spike in)します。
- 希釈系列を作製し、スタンダードを添加したサンプルと、添加していないサンプルを比較します。
一般的に、回収(recovery)と直線性が予想の 80 - 120% の間となるサンプルであれば測定可能です。この方法で、Boster社で評価を行っていない種類のサンプルを検証することができます。
曲線の範囲外の濃度を使用する場合は、アッセイの精度を保証できません。アッセイ精度の統計的な信頼性を確保するために、スタンダードカーブの範囲を設定しています。
アッセイ内でサンプルのばらつきが大きい場合には、主な理由が2つ考えられます。ピペッティングと洗浄が一定していないことです。従って、この2つを完全に行うことが重要になります。しかし、ある程度のばらつきは避けられないため、サンプルをデュプリケートで測定し、結果から平均値を計算する方法を採っています。その他には、プレートの一番外側のウェルが蒸発により乾燥しやすいことで起きる、「エッジ効果」が考えられます。また、プレートを重ねた場合にも、プレート全体の温度が不均一になり、ばらつきが生じます。
サンドイッチ法は一般的に、各抗体が抗原分子のそれぞれ別の重複しない部位(エピトープ)に対して特異的な抗体ペア(マッチドペア)を使用する必要があります。一次抗体(キャプチャー抗体)をウェルにコートします。次に、サンプル溶液をウェルに添加します。その後、二次抗体(検出抗体)を添加し、サンプルの濃度を測定します。シグナルが高い場合は、サンプル中の標的抗原の濃度が高いことを示します。
競合法で重要となるのは、一次抗体を用いた、サンプル中の抗原と、マイクロタイタープレートのウェルに結合した抗原との間の競合反応のプロセスです。まず、一次抗体をサンプル中の抗原とインキュベートし、得られた抗体‐抗原複合体を、同じ抗原でコートしたウェルに加えます。インキュベーション後、結合しなかった抗体を洗浄により除去します。サンプル中の抗原の量が多いほど、より多くの一次抗体がサンプル中の抗原に結合します。その結果、ウェルにコートした抗原に結合できる一次抗体の量が減少し、シグナルが弱くなります。基質と停止液の混合が不完全な場合に緑色になります。停止液を添加した後、ウェル内の混合溶液が黄色になるまで、プレートを静かにたたくか、シェーカーの上に置きます。
HRPで標識した検出抗体でインキュベーションした後、洗浄が不十分だと沈殿物が生じます。沈殿物を防ぐには、各洗浄ステップで30秒間ソークし、その後ウェル内の液体を完全に除去します。
マイクロタイタープレートには、一般的に、取り外しが可能なストリップウェルが入っています。未使用のウェルをプレートから取り外し、乾燥剤パックの入ったホイルの袋に戻すと、2-8℃で最大1ヶ月間保存できます。
B. トラブルシューティング
考えられる原因 | 解決方法 | |
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1 | コーティング溶液中のブロッキングタンパク質 | コーティング溶液からブロッキングタンパク質を除く |
2 | キャプチャー抗体(または抗原)がプレートに結合しない |
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3 | スタンダードに問題がある |
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4 | インキュベーション時間が短すぎる | メーカーのガイドラインに従う (問題が解決しない場合は、サンプルを4℃で一晩インキュベートしてみる) |
5 | インキュベーション温度が低すぎる |
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6 | サンプルの種類が非対応 | 使用するアッセイでポジティブコントロールを検出できることがわかっているサンプルを使用する (実験にコントロールを入れる) |
7 | アッセイバッファーが不適切 | アッセイバッファーが目的のターゲットに適しているか確認する |
8 | ターゲットの量が検出限界以下 | 希釈率を下げるか、サンプルを濃縮する |
9 | 基質が不適切/不十分/入っていない |
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10 | 抗体が不適切/不十分/入っていない |
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11 | 抗体を数週間 4℃ で保存した/凍結融解を繰り返した | 分注して -20℃ 以下で保存しておいた抗体の一つを、新たに解凍して使用する |
12 | 添加/調製する試薬を間違えた、入れ忘れた | プロトコールをチェックし、正しい試薬を適切な順序で添加し、正しい濃度に調製しているか確認する (例:HRP標識抗体の検出にはTMB基質を使用) |
13 | 試薬の使用期限を過ぎている/不純物の混入(コンタミネーション) | 新しく不純物が混入していない試薬を調製して使用する |
14 | 酵素の阻害物質が含まれている |
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15 | キット構成品の保存が不適切 | キットの保存条件を再確認する (ほとんどのキットは4℃での保存が必要) |
16 | プレートの洗浄が激しすぎる |
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17 | ウェルが乾いている | インキュベーションの度に、プレートをシーリングフィルムやテープでカバーする |
18 | ピペットやピペットチップでウェルをこすっている | 溶液をウェルに分注/吸引する際に慎重に行う |
19 | プレートを測定する波長が間違っている |
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20 | 発色が遅い |
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21 | プレートへの吸着によりエピトープの認識が妨げられる | プレートにコートする前に、ペプチドを大きなキャリアタンパク質に結合する |
考えられる原因 | 解決方法 | |
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1 | サンプル濃度が高い | サンプルの希釈率を上げる (滴定により最適な希釈を決定する) |
2 | 基質が過剰 | 基質の濃度を低くする/量を減らす: メーカーのガイドラインに従う(ELISAキットに付属の基質は希釈が必要な場合がある) |
3 | 基質の色が使用前に変わる | 基質は使用直前に調製する |
4 | 抗体の非特異的結合 |
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5 | インキュベーション時間が長すぎる | メーカーのガイドラインに従う (問題が解決しない場合は、サンプルを4℃で一晩インキュベートしてみる) |
6 | 抗体が過剰 | 抗体の濃度を低くしてアッセイを繰り返し行い、実験に最適な濃度を決める |
7 | バッファーに金属/HRPが混入している | 新しくバッファーを調製して使用する |
8 | 洗浄が不十分 |
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9 | プレートシーラーを使用していない/再利用している |
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10 | プレートを測定する波長が間違っている |
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11 | プレートを測定するまでに時間がかかりすぎている | 基質を添加した後、30分以内にプレートを測定する (時間内に測定しない場合は、プレートが十分に発色してから停止液を加える) |
考えられる原因 | 解決方法 | |
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1 | 洗浄が不十分 |
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2 | ブロッキングバッファーの効果がない/不純物が混入している |
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3 | 抗体が過剰 | 抗体の濃度を低くしてアッセイを繰り返し行い、実験に最適な濃度を決める |
4 | 基質が過剰 |
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5 | 交差反応 (検出抗体がコーティング抗体と反応する) | 適切なコントロールを用いる |
6 | 抗体の非特異的結合 |
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7 | バッファー中の Tween が不十分 | 0.05% Tween を含むPBSを使用する |
8 | 洗浄バッファーの塩濃度が最適以下 | 塩濃度が高いと非特異的な相互作用が抑制されるため、塩濃度を最適化する |
9 | インキュベーション温度が高すぎる | アッセイに合わせてインキュベーション温度を最適化する (抗体は非常に特異的な温度で最適に結合する) |
10 | 試薬が適切に混合されていない | 溶液をウェルにピペッティングする前に、全ての試薬とサンプルを完全に混合する |
11 | ブランクにサンプルが混入している |
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12 | サンプルに酵素が混入している | サンプルに基質のみを加えて試験し、酵素が混入していないかを確認する |
13 | TMB基質に不純物が混入している | 清浄な容器を用いて、基質に不純物が混入していないか確認する(TMB基質は、ウェルに添加する前は無色透明) |
14 | 基質インキュベーションを明所で行っている | 基質のインキュベーションを暗所で行う/メーカーの推奨に従う |
15 | インキュベーションの間に、ウェルから溶液が不均一に蒸発している | インキュベーションの際は、常にプレートにフタをする |
16 | 基質を添加するとウェルに沈殿が生じる | サンプルの希釈率を上げる/基質の濃度を低くする |
17 | インキュベーション時間が長すぎる | メーカーのガイドラインに従う (問題が解決しない場合は、サンプルを4℃で一晩インキュベートしてみる) |
18 | スタンダードカーブの希釈が不正確 |
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19 | インキュベーション中にプレートを重ねることで、温度分布が不均一になる | プレートを重ねない |
20 | プレートの汚れ/欠陥 | プレートの底面をきれいにする |
21 | 発色が停止しない | 発色のし過ぎを防ぐために停止液を使用する |
22 | プレートを測定するまでに時間がかかりすぎている | 基質を添加した後、30分以内にプレートを測定する (時間内に測定しない場合は、プレートが十分に発色してから停止液を加える) 注意: (速度は低下するが)停止液を加えた後も発色は続く |
23 | プレートを測定する設定が間違っている |
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考えられる原因 | 解決方法 | |
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1 | アッセイの感度が不十分 |
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2 | ELISAキットの保管が不適切 | 全ての試薬を推奨の通りに保管する 注意: すべての試薬が同じ保存条件ではない場合がある |
3 | ターゲットが不十分 | サンプルの希釈率を下げる/サンプルを濃縮する |
4 | 基質の活性がない | レポーター酵素が予想される活性を示すか確認する |
5 | ターゲットがウェルにあまり吸着しない | ターゲットをウェルに共有結合する |
6 | 基質が不十分 | 基質の濃度を高くする/量を増やす |
7 | サンプルの種類が非対応 |
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8 | バッファーの成分がサンプルに干渉する | 試薬に干渉する化学物質が含まれていないか確認する 例: 抗体中のアジ化ナトリウム→HRP酵素を阻害、血漿採取のための抗凝固剤として使用するEDTA→酵素反応を阻害 |
9 | 別のキットの試薬を混ぜて/置き換えて使用 | 別のキットの試薬を混ぜて使用しない |
10 | プレートを測定する設定が間違っている |
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考えられる原因 | 解決方法 | |
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1 | スタンダード溶液が不適切 |
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2 | スタンダードの再構成が不適切 |
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3 | スタンダードの劣化 |
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4 | カーブフィッティングが不適切 | 別のスケールを使用してプロットしてみる 例: log-log, 5-parameter logistic curve fit |
5 | ピペッティングのエラー | キャリブレーションされたピペットを使用し、適切なピペッティング技術で取り扱う |
6 | 洗浄が不十分 |
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7 | 試薬が完全に混ざっていない | 試薬を完全に混合する |
8 | 試薬がプレートにあまり吸着しない/むらがある |
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9 | インキュベーション中にプレートを重ねている | プレートを回転させない場合は、別々に置く |
10 | プレートの汚れ/欠陥 | プレートの底面をきれいにする |
考えられる原因 | 解決方法 | |
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1 | ウェル内の気泡 | プレートを測定する前に、気泡がないことを確認する |
2 | ウェルの洗浄が不十分 |
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3 | 試薬の混合が不十分 | 全ての試薬を完全に混合する |
4 | ピペッティング操作が一定していない |
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5 | サンプル調製/保管が一定していない | サンプル調製が一定しており、サンプルの保存条件が最適なことを確認する (例: 凍結融解の繰り返しを最小限にする) |
6 | サンプル中の微粒子 | 遠心分離で微粒子を除去する |
7 | プレートシーラーを使用していない/再利用している |
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8 | ウェル間の混入 | プレートシーラーとピペットチップに試薬が付着していないことを確認する |
9 | エッジ効果(中央よりも外周のウェルのODが高い/低い) |
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考えられる原因 | 解決方法 | |
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1 | ウェルの洗浄が不十分 |
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2 | インキュベーション温度の変動 |
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3 | プロトコールの変動 | 毎回同じプロトコールに従ってアッセイする |
4 | プレートシーラーを使用していない/再利用している |
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5 | 希釈が不正確 |
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6 | バッファーに不純物が混入している | 新しいバッファーを作製して使用する |
7 | インキュベーション中にプレートを重ねている | プレートを回転させない場合は、別々に置く |
考えられる原因 | 解決方法 | |
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1 | 基質が古い/不純物が混入している/不適切な pH で使用している | 基質を正しい pH で新しく調製して使用する: 使用直前に調製する |
2 | 試薬の使用期限を過ぎている/不純物の混入 | 新しく試薬を調製して使用する |
3 | インキュベーション温度が不適切 |
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4 | 抗体の濃度が低い | 抗体の濃度を高くしてアッセイを繰り返し行い、実験に最適な濃度を決める |
5 | 基質の濃度が低い |
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