商品詳細:「犯罪調査協力します! RSID™ キットシリーズ」
- 【01】 「シャドーバンド」とは何ですか?また、この結果が出た場合、結果をどのように解釈すべきでしょうか?
- 【02】 テストの待ち時間10分後以降にテストラインにバンドが現れることがあるのはなぜでしょうか?
- 【03】 10分後以降に非特異的なバンドが出現することがあるのはなぜでしょうか?
- 【04】 RSID™テストは定量的でしょうか、定性的でしょうか?/テストラインの強度は、サンプル中の抗原量に比例しますか?
- 【05】 精液や唾液を検査する際、たった10秒でサンプルを抽出できるのは本当ですか?
- 【06】 有効期限の過ぎたRSID™カセットやRSID™バッファーを使用しても大丈夫でしょうか?
- 【07】 コントロールラインが弱い場合、結果はどのように解釈すればよいでしょうか?
- 【08】 用量過多によるフック現象が疑われる場合どうすればよいでしょうか?
- 【09】 検査の際、検査ラインの近くに灰色や赤ではない色の斑点が出ることがありますが、これはどのように解釈すればよいでしょうか?
- 【10】 ポジティブコントロールを採取する基質としてろ紙は使えますか?
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「シャドーバンド」は、10分間の間にテストバンドの位置に現れる、かろうじて見えるぼんやりとしたバンドのことです。バンドが存在するかしないか意見が分かれる場合は、シャドーバンドである可能性が高いです。シャドーバンドは陰性として解釈してください。
これらのシャドーバンドは、サンプル中のタンパク質やその他の分子がテストライン上で結合した非特異的な反応であると考えられています。テストライン上にできる線は標的分子の3次構造に特異的に結合する抗体によって生成しますが、まれに試料中の非標的分子が抗体の電荷と静電相互作用を起こし、テストライン上にわずかにバンドとして現れるのが原因と考えられます。
10分間の間に現れるテストラインのみが陽性とみなされます。RSID™カセットは10分後に評価しないでください。これは、時間経過とともに非特異相互作用により、特異的なものではないバンドが現れる可能性が高いためです。
10分後に非特異的なバンドが発生することを説明するには、ラテラルフローテストのメカニズムついての背景知識が必要です。
ラテラルフローストリップテストでは、同じ抗原の異なるエピトープを認識する2つの抗体でサンドイッチする、2重抗体法を採用しています。検出抗体には、正電荷のアミノ酸残基と負電荷のコロイド金との結合により、コロイド金と結合しています。試料成分と金コロイドとの非特異結合は、ブロッキング試薬(BSA)を用いることで防いでいます。2番目の抗体(キャプチャー抗体)は、膜のテストライン領域に配置されており、サンプル中に抗原が存在する場合、テストライン上を移動する抗原/抗体/金のコンジュゲートを捕捉します。
テストの10分後以降に非特異的バンドが現れるメカニズムは次のように考えられます。
- 非特異的な静電相互作用が時間経過で蓄積した
- 試験終了後にサンプルが逆流した
ラテラルフローのバックグラウンドは、金コロイド標識した検出抗体がテストラインに非特異的に結合することによって生じます。通常、これはテストライン上に固定した捕捉抗体と検出抗体の間に抗原の「ブリッジ」が存在する場合にのみ起こるはずです。しかし、試験時間の経過とともに、ストリップテストの最下流にあるウィックからサンプルウェルに向かって液が逆流することがあります。この逆流はテスト開始時とは全く異なる条件下で液体が流れるため、サンプル中の成分から非特異的な相互作用が起こると考えられます。
4種類のRSID™検査はすべて定性的な検査です。テストラインが陽性を示せば、抗原が存在することを意味し、テストラインが陰性を示せば、抗原が存在しないか、あるいは検出限界量以下であることを意味します。ラテラルフローテストは定量化のための校正を行っていないため、テストラインの強度に基づき抗原の存在量を推定することはできません。
はい、精液や唾液の検査においては、10秒でサンプルを抽出できることが分かっています。
コントロールとなる綿棒、数年前の古いサンプル、微量の精液や唾液サンプル、布に付着した精液や唾液をサンプルに用い、10秒から1時間の間でインキュベート時間を振り、インキュベート時間の変化で結果が変わるかテストしました。その結果、テストしたすべてのサンプルタイプから同様の結果が得られることが示されました(実際の実験結果はこちら)。室温でのサンプル抽出は、RSID™-SemenによるsemenogelinまたはRSID™-Salivaによるα-amylaseの検出には、最低10秒あれば十分との結果でした。より長いインキュベート時間(例:5〜60分)は任意で行われます。ただし、RSID™-BloodとRSID™-Urineは抽出時間が長く、最低でも20分、できれば1時間まで、特に古いサンプルでは注意が必要です。
RSID™-Blood および RSID™-Urine の標的抗原である Glycophorin A および Tamm-Horsfall は、semenogelinおよびαamylase と比較して抽出が困難であり、抽出時間を長くする必要があります。
印刷された有効期限の後に RSID™カセットまたは RSID™バッファーを使用することはお勧めしません。Independent Forensics of Illinois社のQA/QCの手順の問題で、RSID™カセットまたは RSID™バッファーの有効期限前に得られた結果のみをサポートできます。
ラテラルフローテストのコントロールラインは、テストが正しく実行され、テストの構成品が正しく機能していることを示すように設計されています。ほとんどの場合、コントロールラインは暗く、明らかに陽性ですが、まれにコントロールラインが弱くなることがあります。この原因は必ずしも明確ではありませんが、粘性のあるサンプルがこの影響を引き起こす可能性があります。コントロールラインが弱いながらも明らかに陽性である限り、テストラインの結果は適切・正確に解釈できます。
フック現象とは、抗体クロマトグラフィーストリップテストの検体中に、非常に高濃度の標的が存在する場合に、テストラインのシグナルが減少することを指します。抗原用量が過多な条件下では、検出抗体と未結合の抗原が検出抗体-抗原複合体より先にテストラインに到達し、テストラインの抗体部位を占有してしまい、結果としてテストラインのシグナルが弱くなる可能性があります。最悪の場合、テストラインのシグナル減少により偽陰性をおこす可能性があります。
フック現象が疑われる場合は、RSID™ runningバッファーまたはextructionバッファーでサンプルを 1:10 に希釈し、再実験してください。たとえば、20 µLから調製したサンプルでフック現象が疑われる場合は、元のサンプルを10倍希釈します (抽出サンプル10 µLにバッファー90 µL を加える)。この希釈したサンプル 20 µL と80 µL の RSID™ runningバッファーを混合して100 µL の(希釈抽出物 + バッファー)サンプルを調製し、カセットにロードします。希釈していないサンプルの結果と比較してテストラインの強度が低下した場合 、フック現象が疑われた最初の結果は、抗原の量が少ない 、または存在しない)ことが原因であることがわかります。テストライン強度が増加する場合、元の結果はフック現象によるものであり、サンプルは陽性であったことがわかります。
膜の上に見える赤やグレーでない点やマークは、たとえそれが検査ライン付近であっても陽性と解釈しないでください。検査位置で左右に完全な赤い線が出た場合のみ、陽性と判定してください。検査終了後、メンブレン上に赤い斑点が出ることは稀で、ほとんどの場合、サンプル中のコンタミがメンブレンの切れ目や傷に蓄積されたことが原因です。 Independent Forensics of Illinois社のQA/QCの際、ストリップを組み立てる前に、ラテラルフローの構成品を検査してメンブレンのキズや割れ目の有無を確認しています。メンブレンに刻み目や傷が見つかったストリップは製造中に廃棄されますが、まれに観察できないほど小さな刻み目や傷が存在し、テスト実行後に明らかになることがあります。
ポジティブコントロールは綿棒や布の上で行っていただくよう強く推奨致します。RSID™検査は、一般的な法医学的証拠、つまり布や綿棒についた汚れを付属のバッファーに浸漬してサンプルを抽出することで綿棒を主な証拠として使用できます。綿棒の中綿(巻き取られている糸のこと)がフィルターの役割を果たすため、布や綿棒がフィルターのように機能しています。体液をろ紙の上に置くと、綿棒などで起こっていたフィルター機能が弱まり、RSID™検査に悪影響を及ぼします。また、実際の法医学的証拠を模倣しているので検査の信頼性の向上にもつながります。
ろ紙に小さな染みを付けてサンプルを抽出する場合は体液の量が少ないためRSID™検査への干渉も少なくて済みますが、染みが大きい場合には問題が生じます。これは、RSID™検査で体液を直接使用する場合と同様の問題が起こります。RSID™カセットに血液や唾液などを直接入れるケースが報告されますが、これは使用方法として推奨しておりません。
一般的なラテラルフローテストのカセットには2つ目のパッドが組み込まれているものもあり、それがフィルターとして機能します。この設計は、生の体液を直接使用可能にするための設計です。しかし法医学では、生の体液を直接扱うことは稀であるため、本製品ではこの2つ目のパッドを使用しないカセットを製造しており、これが綿棒や布からの抽出が必要な理由です。