- 商品情報:ブロッキングペプチド
技術情報
ブロッキングペプチドとは
ブロッキングペプチドとは、一次抗体を免疫する際に使用したペプチド抗原からなり、しばしば、免疫ペプチドと呼ばれています。アロモン社では以前から「ネガティブコントロール抗原」と呼んでいます。 ブロッキングペプチドは標的タンパク質のエピトープ(抗体によって認識される特異的なアミノ酸配列)に相当するため、抗体との結合を競合またはブロックするために使用することができます。よって、ウェスタンブロット(WB)や免疫染色実験の抗体特異的コントロールとなります。
抗体の特異性検証するためにブロッキングペプチドを使って対照実験を行います。コントロールサンプルでは、一次抗体とブロッキングペプチドをプレインキュベーションすることで、抗体の全ての結合部位にブロッキングペプチドが結合します。これにより、検出しようとしているタンパク質中のエピトープへの結合が妨げられます。 抗体+ブロッキングペプチドと、抗体のみのサンプルを比較することで、非特異的結合を判定することが可能となります。抗体+ブロッキングペプチドを使用した際に検出できなかった染色は、その抗体に特異的だということが分かります。
プロトコール
試薬・消耗品
- ブロッキングバッファー:TBST (Tris-buffered saline, 0.1% Tween® 20) with either 5% non-fat dry milk, or 1% BSA + 0.05% NaN3
- ブロッキングペプチド
- 抗体
- チューブ 2本
- 同一テストサンプル 2サンプル
使用方法
- 凍結乾燥されたブロッキングペプチドを添付書類に従って滅菌PBSまたは蒸留水(DDW)に溶解します(例:150µg/ml)。
- WBのプロトコールを最適化します。
抗体の希釈倍率は、製品ガイドライン、もしくは過去の実験により決定します。2回分の実験に必要な抗体の量を算出します。 - 最適な抗体濃度が 1:200 希釈の場合は、1.5 ml のエッペンドルフチューブに抗体を20 µgおよび、1%BSA-PBSを 500 µl加えます。チューブに "抗体のみ"とラベルします。 もう1本のチューブには、抗体を20 µg、ブロッキングペプチドを20 µgおよび1%BSA-PBSを 500 µl加え、"+ペプチド "とラベルします。
- 2本のチューブを室温で1時間インキュベートします。
- 大ききめのチューブに移し、2本のチューブに1% BSA-PBS( 0.1% Tween® -20、0.05% NaN3)を4.5ml添加します。並行実験用に各チューブの内容物をそれぞれのテストストリップメンブレンに加えます。
- 両方のチューブを穏やかに揺らしながら、4℃でオーバーナイトインキュベートします。
- 一次抗体として、1つ目のテストストリップに "+ペプチド "、もう1つのテストストリップに“抗体のみ”を使用して、2つの同一のサンプル上で通常通りWB染色プロトコールを実施します。
- 洗浄を十分に行い、結合していない一次抗体を除去し、検出用の二次抗体を使用し、洗浄手順を繰り返します。
- 2つのテストストリップ上の染色を観察し、比較します。ブロックされた抗体を使用したときに消えるバンドは、抗体に特異的です。他のバンドは非特異的な結合を表します。
ブロッキングペプチドを使用した実験データ(WB)
サンプル:ヒト形質細胞腫(INA-6)細胞、ヒト間葉系幹細胞(MSC)、ヒト乳がん細胞溶解物(MCF-7)
上段:抗KISS1受容体(細胞外)抗体(品番:AKR-001)
下段:抗KISS1受容体(細胞外)抗体(品番:AKR-001)+ KISS1 受容体(細胞外)ブロッキングペプチド(品番:BLP-KR001)
ブロッキングペプチドを使うとバンドが消失した。
(Julia Dotterweich et al., PLoS One . 2016 May 9;11(5):e0155087.)
サンプル:てんかんマウスおよびヒト海馬サンプル(n = 1 / レーン)
左:抗 P2X7 受容体抗体(品番:APR-004)
中央:抗 P2X7 受容体抗体(品番:APR-004)+ P2X7 受容体ブロッキングペプチド(品番:BLP-PR004)(+pep7r)
右:抗 P2X7 受容体抗体(品番:APR-004)+ 無関係なP2X4受容体ブロッキングペプチド(品番:BLP-PR002) (+pep4r)
抗体に特異的なブロッキングペプチドを使うとバンドが消失する一方、非特異的なブロッキングペプチドを用いるとバンドは検出された。
(Alba Jimenez-Pacheco et al., J Neurosci . 2016 Jun 1;36(22):5920-32)
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては
使用しないように、十分ご注意ください。